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『 身売り 』
モブ × 桃
夜はやけに静かだった。
雨が街の明かりを滲ませて売れた舗道が純く光っている。
俺は古びたビルの前で立ち止まった。
ポケットの中で名刺が汗でくしゃりと曲がっている。
指先に張り付いたそれを握り締め、深呼吸をひとつ。
桃 : もう戻れないね ….
錆びたドアを押し開けると薄暗い部屋があった。
奥の机に座る男が書類を一枚差しだしてくる。
モブ ) サインをすれば金は出す。
淡々とした声。
ペン先が髪をかすめる音がやけに大きく響く。
名前を書き終えた瞬間どこかほっとして俺は少しだけ笑った。
モブ ) 君まだ若いのに。
男がそう呟いた。
俺は小さく肩をすくめて答える。
桃 : 若いから。でしょう?
現金の束が机の上に置かれる。
それは父の借金を返す額。
それと引き換えに自分の未来がなくなる額。
帰り道、夜風がやけに冷たい。
鏡に映る自分の顔はどこか大人びて見えた。
部屋に戻ると机の上に返済証明書を置き
ベッドに座る。
携帯に父からの着信は無い代わりに未読のままのSNSが光っている。
桃 : これでいいんだよね
呟いた声が少し震えた。
でも涙は出なかった。
明日からの俺はきっと別の俺だ。
そう思うと不思議と怖くなかった。
少しだけ誇らしいとさえ思った。
売ったのは身体の方じゃない。
きっと心の方だ。
end.
とんでもない駄作ですごめんなさい