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ソフィ達はユファの転移魔法で遂にヴェルマー大陸の地へ到着した。


「ここが『ヴェルマー』大陸にある『レイズ』魔国とやらか……」


 あちらこちらに建物が立ってはいるがどの建物も半壊、もしくは全壊しており廃墟のような場所であった。


「こ、ここがレイズ魔国?」


 ユファとシスは自分達が生活をしていたレイズ魔国の変わり果てた姿を見て、驚愕の表情を浮かべた。


「ここにあったのが『レイズ』城よね? ほ、ほんとに私たちの国なのよね?」


 誰かに話し掛けているようにも聞こえるが、視線は誰の顔にも向いておらず、そのままレイズ城を彷徨うようにフラフラとした足取りでシスは歩いていく。


「ま、待ちなさいシスっ!」


 どこか危うさを感じたユファは、慌ててシスを追いかけるのだった。


 ソフィはその様子に眉を寄せて、如何に戦争が凄惨であったかを察した。


(我も『アレルバレル』の世界で幾度となく戦争経験があるからよく分かるが、戦争によって敗戦した国は惨い最後を遂げる。自分の治めていた国の惨状を前に、今あやつは胸が張り裂けそうに気持ちでいるだろう)


 苦悩にソフィは顔を歪める。


(ユファよ……、お主も辛いだろうが今はシスを支えてやってくれ)


 本当であればソフィがシスの傍にいてやりたいが、この国の者ではない者が出来る事はない。


 同じ国であった者、そして長年寄り添ってきたユファにしか、シスの苦しみを分かってはやれないだろう。


 ――ソフィは自分の事のように、シスの気持ちを察し心を痛めるのだった。


 ……

 ……

 ……


 シスは自分の育った国を歩く。誰も居ない、何も無い。


 あれだけ長年暮らしてきた故郷の面影は、ここに何一つ残ってはいなかった。シスは自然に涙が溢れてくる。


 母と過ごした思い出の場所、軍の皆や町の皆。時には笑いあった故郷の思い出、それらが詰まった場所は無残にも崩れ去っていた。


 もう視界はぐしゃぐしゃで、シスの視界には何も見えてはいないというのに愛した自国を彷徨い歩き続ける。


「ピナ……? ラネア……? みんなぁっ……!」


 今はもう居ない。いつもシスに笑いかけてくれたピナや、気にかけてくれたラネアは、もう誰も居ない。


 やがてシスはその場に膝から崩れ落ちた。もう歩けない、もう見たくない……。


「私だけが生きて……、ご、ごめんなさい!」


 やはり私は生き残るべきではなかった。こんな自分だけが生き残って、一体どうしろというのだろう。シスはもう震えが止まらなくなる。


 …………


 そこへシスの耳に声が聞こえた。


「貴方は一人じゃない!」


 後ろからヴェルトマー・・・・・・が追いかけてきて、シスを背中から抱きしめる。


「まだ私がいるじゃない! 貴方は一人じゃない!」


 私は、その言葉に……、感情をもう止められなかった。


「うわああああ、ヴェルぅっ……!!」


 そんなシスをヴェルトマー・・・・・・は、母親のように必死に抱きしめるのだった。


 ……

 ……

 ……


 どれくらいそうしていただろうか。昔の思い出を、ヴェルに一つ一つ聞かせていく。


 何も言わずにヴェルは私の話に耳を傾けて、ときには頷いてくれる。


 気が付けば周りは、暗くなりつつあった。


 ようやく落ち着いた私は、ヴェルに感謝の言葉を言った。


「ヴェル、ありがとう」


 すると今まで黙って聞いていただけだったヴェルから返答があった。


「シス? あのね……」


 ――生きていてくれてありがとう・・・・・・・・・・・・・


 そう言って彼女は頭を撫でてくれた。シスはヴェルに視線を向けると、彼女も目に涙を溜めていたが必死に笑顔を作ってシスを見てくれていた。


 彼女とて自分が長年生活をしていた場所を奪われた立場なのだ――。


 そうだと言うのに自分の気持ちを後回しにしてくれて、弱い自分の為に必死に慰めてくれていたのである。


 その辛さは先に弱さを見せた自分の何倍辛い事だろうか。そこまで考えて私の目から再び、とめどなく大粒の涙が流れるのだった。


 ……

 ……

 ……

最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。

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