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何色にも染まらないキミ

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2 - 赤黒 第二話 あげたゴム

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2023年04月09日

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画像 赤黒編 第二話 あげたゴム


アニキと最初に身体を重ねてから、どれ程経ったのだろうか。初めてアニキを抱いた時のあの感覚が忘れられず、1人での処理がままならなくなったのは何時からだろうか。最近の記憶をほぼなくし、彼に依存している俺は傍から見ればネット活動者として終わっているだろう。

恋人なのか愛人なのかセフレなのか、言葉に出来ない関係だからこそ何も生まれずに生活できているという事は抱く側である俺が痛く感じていた。勿論、俺はアニキが好きで好きで堪らなかった。俺はこの関係を終わらすつもりは無いし、アニキを誰か他人のものにするつもりはなかった。アニキ自身も自分は自分物と自覚しており、誰かが付け入る隙なんてひとつもなかった。

でも、だからこそ、言えない事だってある。恋人だったらアニキを囲える。呼び方だってアニキなんかじゃなくて悠佑って呼べる。

俺はそんな似つかわしくない事を考えながら、ソファから立とうとするアニキを抱きついて引き留めた。

悠佑:「どうしたん?りうら。甘えたさんなのか?」

りうら:「それは、流石にりうらの事子供扱いしてるでしょ笑」

悠佑:「俺にとっちゃ、まだまだ子供だけどな」

そうやってヘラッと笑うアニキの髪は強い光を反射して白く光っていた。

アニキと行為後のピロートークのような雑談を交わしていると、どちらからとも言わず腹の音が鳴り、夜食を作ってくれる事になった。アニキは基本的に男友達だとかだったら平気で上裸でも恥ずかしがる事はない性格の持ち主だった。現に今も、トランクス1枚で台所に立とうとしている。

りうら:「アニキ、何作ろうとしてんの?」

悠佑:「適当にじゃがいもとか揚げようかな、、、あとは酒に合うもん適当に作るわ。りうらはそこに座っとき。」

りうら:「揚げ物するならそこにかかってるエプロン使っていいよ。」

悠佑:「フフっ、裸エプロンしたろか?」

りうら:「そ、それはッ後でベットで見せて、、くれる?///」

悠佑:「ハッ、嘘に決まっとるやろ」

アニキはいつも目をパッチリと開いているのに、この時だけは目を細め、口角を少しあげたように笑っていた。俺は何度もアニキの男として恥ずかしい所を沢山見てきたのに、その時だけは心の奥が締め付けられた気がする。やはり、年上の余裕というものだろうか、俺には持ち合わせていない煽る力を持っていた。

その癖して俺が頬を赤らめながら発した言葉にはズバッと結論を出すアニキに俺はそんなところも愛おしいなだなんて感じていた。


歌を歌いながら陽気に冷蔵庫を開けるアニキを見ていると、ふと気になった事があった。アニキはいつも、なにかと髪をくくっていて、綺麗な項を見せつけているのに、今日は髪をおろしたまんまだったのだ。

俺はちょうどいいと思い、リビングの棚の上に置いといたに紙袋を手に取り、料理中のアニキのもとに向かった。

りうら:「アニキィ〜髪邪魔でしょ?はいコレ、髪ゴム。プレゼントするよ。」

悠佑:「え、まじで!?お前プレゼントとか出来てんか!ありがと〜開けてもええよな?」

りうら:「もっちろん。」

目を輝かせながら、丁寧にリボンでラッピングされた紙袋を開けるアニキの姿は誰がなんと言おうと幼女だった。イヤ、ガチで、冗談抜きで。そんな幼女のような、、、いや、幼女のアニキは髪ゴムを早速使おうとしてくれた。

悠佑:「あ、せっかくならお前が髪くくってくれる?」

りうら:「え、ガチで?え、やっていいの?」

悠佑:「おん、どうせ俺、綺麗にくくれんし。りうらの好きな髪にしてええで。」

俺はアニキの低過ぎる自己管理能力に驚いてしまった。何故彼は俺が変な気を起こさないのか、だとかを考られないのだろうか。そう思いながらも渡されたクシを使い、アニキの綺麗な髪をといていると、アニキが口を開いた。

悠佑:「この髪ゴムすごいよな。りうらの目と同じ真っ赤だよ。すんげぇ綺麗な色しとるよな。こんな、綺麗な    髪ゴムプレゼントしてくれてありがとな」

りうら:「いや、別に?たまたま、出先でいいもんが見つかっただけだから。たまには、俺からプレゼントしようと思っただけだよ。それよりもアニキが喜んでくれて嬉しいよ。」

アニキはきっと俺の本当の気持ちなんて分からないし、知らないに決まっている。この髪ゴムはアニキを縛り付けるため。綺麗に輝く髪に触れる者全員に俺の物だと見せつける為の証明品でしかないことを。アニキの目線も、笑顔も、言葉も、髪も目も手も足も首も全部が全部俺だけのものになればいいのに、そんな欲を限界まで抑えた結果、髪ゴムというとこに落ち着いたのも俺だけの秘密。今までろくな恋愛をしてこなかったからこの想いの抑え方が分からず暴走しかけたがアニキを傷つけなたくない思いでギリギリで踏み止まった俺を誰か褒めて欲しい。俺は嫉妬で黒く染まった想いを心の奥にしまいアニキに笑顔を向けた。


「アニキ、大好きだよ。」

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赤君束縛強め…いいねぇ~我慢せずにもっと束縛激しくして欲しいな…なんつってwメンヘラになってきてますやん、推せる

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