テラーノベル
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駅までの道を歩きながら、らんはなんとなく視線を足元に落としていた。
いつもは緊張していた通学路も、今日は少しだけ気持ちが軽い。
塾がある日。家に帰らなくてもよかった昨夜。
そして、ただ黙って話を聞いてくれた“いるま”という存在。
それだけで、世界が少しだけやわらかく感じた。
🎼📢「……駅、こっちで合ってたよな?」
🎼🌸「うん。ありがと」
🎼📢「またそれ言う。もう10回くらい言ってるぞ」
🎼🌸「……ほんとに、そう思ってるから」
にこりと笑ったら、いるまがちょっとだけ照れたように頬をかいた。
🎼📢「……じゃあ、今日の夜も、迎えに行ってやろうか?」
その言葉に、らんは驚いて立ち止まる。
🎼🌸「え……いいの?」
🎼📢「ダメって言っても、たぶん行くと思う。だって……気になるし」
まっすぐな言葉に、胸の奥がキュッとなった。
こんなふうに、自分のことを気にかけてくれる人が、この世界にいるなんて思ってもみなかった。
🎼🌸「……じゃあ、お願いしてもいい?」
🎼📢「もちろん」
その返事が、すごく、あたたかかった。
守られるなんて、知らなかった。
自分が誰かに、優しくされていい存在だなんて。
そんな当たり前を、やっと知った気がした。
このまま朝が終わらなければいい――なんて、少しだけ思った。
でも現実は、らんを「家」へ向かわせる。
家には、あの親がいる。
弟たち――なつとみことも、何も知らないふりをしてくれているけれど、彼らもずっと気づいてるはずだった。
リビングのドアを開けた瞬間。
弟たちの声が聞こえた。
🎼🍍「あ、らんおかえりー」
🎼👑「朝ごはん残してるよ、らんー」
無邪気な双子の声。
でも、そこには、どこか探るような温度が混ざっていた。
らんは静かに笑って、頷いた。
🎼🌸「……ただいま」
コメント
2件
今回も最高でした✨ こういう話好きなので続き楽しみです