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門番が咆哮する
研究施設全体を揺らす、
機械と獣が混ざったような音で
『RX-00再起動確認』
『危険度更新』
『ヴェルトラウム再臨の可能性――』
「うるさいなぁ」
リョーカが一歩前へ出る。
裸足のまま、
砕けたガラスを踏み越えて。
黒い腕が、
ゆっくり背後で揺れていた。
「もう、“あっち側”じゃないって言ってるのに」
門番の胸の目が赤く発光する。
極太の熱線
発射
だが
その瞬間。
黒い腕が何十本も重なり、
巨大な盾を作った。
轟音
熱線が防がれる。
床が溶ける。
空気が焼ける。
それでも、
リョーカは立っていた。
ヒロトが笑う。
「……バケモン」
「褒めてる?」
「半分な」
モトキは静かに銃を構え直す。
リョーカを見る。
今にも消えそうだった仲間。
でも今は、
ちゃんとここにいる。
「リョーカ」
「ん?」
「制御塔、まだ壊せるか」
リョーカが門番を見る。
少し考える。
そして
「三秒あれば」
ヒロトがニヤッと笑った。
「十分」
次の瞬間。
三人同時に動いた。
■■■■■■■■■■■■
ヒロトが最前線へ飛び込む。
白い兵士達が殺到する。
だが
「邪魔ァッ!!」
短剣が閃く。
首が飛ぶ。
腕が裂ける。
蹴り砕く。
血と火花の中を、
ヒロトは一直線に駆ける。
門番が迎撃に腕を振り下ろす。
だが
パンッ!!
モトキの弾丸。
関節部へ直撃。
わずかに軌道が逸れる。
「ナイス!!」
ヒロトが壁を蹴る。
空中回転
そのまま門番の顔面へ飛び蹴り。
ドゴォン!!
巨体が仰け反る。
『損傷率上昇』
「今だよ!!」
リョーカが両手を広げる。
無数の黒い腕が、
門番を拘束する。
ギギギギギ……!!
巨体が止まる。
床が割れる。
施設全体が悲鳴みたいな音を立てる。
「モトキくん!!」
「あぁ!!」
モトキが走る。
制御塔へ。
崩壊する通路を飛び越え、
落下する瓦礫を避け、
最後の距離を跳ぶ。
制御塔の頂上
青白いコアが脈打っていた。
モトキは銃口を押し当てる。
だが
弾丸だけじゃ足りない。
硬すぎる。
その時
後ろから、
暖かい手が重なった。
リョーカだった。
「一緒に撃とう」
黒い光。
いや
青白い光。
優しい光が、
モトキの銃へ流れ込む。
「これ、ヴェルトラウムのみんなの力」
「……使って平気なのか」
リョーカが笑う。
「うん」
少し寂しそうに。
でも、
ちゃんと前を向いて。
「今度は、“守るため”に使いたいから」
モトキは小さく頷く。
照準
呼吸をひとつ。
隣には、
リョーカ。
下では、
ヒロトが笑いながら戦っている。
青リンゴ商会。
いつもの形。
それだけで、
不思議と負ける気がしなかった。
「いくぞ」
「うん」
引き金を引く。
パンッ――
青白い弾丸が、
制御塔の中心を貫いた。
一瞬の静寂
次の瞬間
研究施設全体に、
巨大な亀裂が走る。
門番の赤い目が明滅する。
『制御系統損傷』
『エネルギー供給停止』
『……停止』
巨体が崩れ落ちる。
またもや轟音
白い兵士達も、
次々と動きを止めていく。
長い戦いの終わりみたいに、
施設が静かになっていった。
ヒロトがその場に座り込む。
「っはぁ〜〜〜……」
大きく息を吐く。
「今回マジで死ぬかと思った」
「毎回言ってる」
「毎回死にかけてんだよ」
モトキも、
ようやく銃を下ろした。
その時
ふらっ。
隣で、
リョーカの身体が揺れる。
「……リョーカ?」
リョーカは少し笑った。
「ごめん、ちょっと力使いすぎたかも」
次の瞬間
ガクンと崩れ落ちる。
モトキが咄嗟に抱き止めた。
軽い。
驚くほど。
「おい!!」
リョーカの体温が低い。
黒い侵食が、
腕から全身へ広がり始めていた。
ヒロトの顔色が変わる。
「……嘘だろ」
リョーカは苦しそうに息をする。
それでも、
笑おうとしていた。
「だい、じょうぶ……」
全然大丈夫じゃない。
モトキは強く抱き締める。
「喋るな」
「モトキ、これ……」
ヒロトも気付いていた。
侵食速度が異常だ。
止まっていない。
むしろ
加速している….
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