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今から約70年前
城にはある夫婦が住んでいた。
その夫婦は裕福な人だった。
夫婦は島の住民達の憧れだった。
夫は島の持ち主。
妻は城の中庭でよく花を植えていた。
その中庭に島の住民達を招き、お茶会を開いたりもしていた。
妻はこんな生活がずっと続くものだと思っていた。
ある日、妻は夜中に目が覚めてしまった。
少し暑かったので、夜風に当たろうと部屋を出た。
廊下を歩いていると、夫の部屋から物音がした。
こんな時間にまだ起きているのかと気になり、ドアをノックして開けた。
するとそこには、
城に務めるメイド長と夫がベットに居た。
妻は唖然とし、夫は妻に気がついたのか必死に言い訳をしている。
しかし妻の耳にはもうそんな言葉は入らない。
妻は夫を部屋から出し、問い詰めた。
夫はムキになったのか窓を開け、
妻をそこから突き落とした。
そこは4階、落ちればひとたまりもないだろう。
ドサッ
嫌な音が響く。
夫は窓から下を見た。
妻は中庭に仰向けに倒れていた。
夫はすぐに中庭に向かった。
頭から落ちたのか頭部は血で塗れている。
妻はピクリとも動かなかった。
夫は急いで中庭の地面を掘り、妻をそこに埋めた。
後日、島の住民はいつもお茶会に誘ってくれる妻の姿が見当たらないことを夫に訴えた。
夫は妻は不慮の事故で亡くなったと嘘をついた。
住民は悲しみ、城に花を持って祈りを捧げた。
数年後、夫はふと中庭を見てみると信じられない光景があった。
そこには黒薔薇が咲き狂っていた。
夫は怖くなり、すぐに他の島に引っ越そうとした。
引越しの準備を済ませ、島を出ようとした時、
原因不明の発作が夫を苦しめた。
そのまま夫は亡くなってしまった。
以来、誰も城には近づかなくなってしまった。
「酷い話ね…」
カイナは少し同情する様な声でそう言った。
「…もう少しで着くぞ」
老人は少し低い声で言った。
3人はしばし無言のまま静かに城へと足を進めた。
To be continue…