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堕天の契り

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堕天の契り

1 - 《第1章:堕ちる、音もなく》

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2025年07月23日

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空と地の境目に、白い羽が舞っていた。その中心に佇むのは、ひとりの天使── ミンジュ


「……湖?」


静かに水面を見つめるその姿は、どこか儚げで、神聖で。

地上に降り立ったばかりの彼女は、まだこの世界の重さを知らない。


そのとき──


「……君、誰?」


背後から響く声。

振り返った先には、漆黒の瞳をした男が立っていた。


濡れた前髪、鋭い輪郭、地の底から響くような声。

悪の漆黒の翼をもつその男──ジョングクは、ミンジュを見るなり息を呑んだ。


「……嘘。やっと、見つけた」


「……あなたは、誰?」


ミンジュが警戒しながらも静かに問う。


ジョングクは一歩、そしてもう一歩と近づいてくる。


「君のこと、夢で見たんだ。……ずっと、ずっと探してた」


「やめて、近づかないで」


ミンジュは翼を広げようとするが──

それよりも早く、彼の手が彼女の手首を掴んでいた。


「ダメだよ。逃がさない」


──その瞬間、空気が変わった。


ミンジュの身体は宙に浮き、視界がぐるりと回転する。

気づけば、湖の近くの森の奥──古びた屋敷のベッドの上。


「……なに、これ……」


「目、覚ましたんだね。ここから、君は逃げられないよ」


ジョングクがベッドの端に腰を下ろし、ミンジュを見つめる。


「やだ、帰らせて──!」


ミンジュは必死に起き上がろうとするが、魔法の枷が足首を縛っていた。


「……怖がらなくていい、優しくするよ」


ジョングクはミンジュの頬に触れ、そのまま唇を寄せる。


「ねぇ、愛って知ってる?……君に教えてあげるよ」


ミンジュの頬が染まる。戸惑いと混乱。

そして──その唇が彼女の首筋をかすめ、甘く、熱を移していく。


「っ、……やめ……て……」


「嫌でも、身体は……覚えていくよ」


その夜──

天使としての禁忌を犯したミンジュの真っ白な翼の先が、うっすらと灰に染まった。


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