あの頃に戻りたい
どんなに願っても無駄な言葉
第二次世界大戦
日独伊三国同盟が、中心となる枢軸組と、イギリス、フランス、アメリカ、中国、ソ連などが中心となった連合国が対立した戦争
結果、連合軍側が勝利し、我々ナチスドイツは
イギリス、アメリカ軍に攻められ、ドイツ国防軍は降伏し、ヨーロッパにおける戦争は終結した
あの日、こんなにもこの戦争が長く続くとは思っていなかった
それは雪が降るクリスマスイブの日
第一次世界大戦の最中だった
(寒い……)
当たり前だ、今は真冬の12月、今もこうして相手を待ち構えている
家にいる家族は大丈夫だろうか、国は…母国はどうなっているのだろうか…
そんなことを考えながら握りしめている銃を見つめ直した
自分がここにいるということは、死ぬのは当たり前だということだ
何度聞かされた言葉だろう
ここにきてから沢山の仲間を失った
相手はイギリスだ、心底勝てる相手じゃない
今日はクリスマス、いつもなら家で
愛する家族と一緒にクリスマスツリーを飾って、美味しいご飯を食べていたかもしれない
あぁ、早く家に帰りたい
家族を力強く抱きしめたい、愛する子供にクリスマスプレゼントを買ってやりたい、家族で一緒にクリスマスソングを歌って…
考えるだけで涙が込み上げてくる
「お?なに歌ってるんだ?」
興味津々に自然と仲間が集まってきた
「クリスマスソングだよ」
いつのまにか昔、よく歌ったクリスマスソングを歌っていた
次第と仲間も一緒に歌い始めた
不思議と何だか幼い頃に戻ってきたようだ
たくさんの仲間と揃ってクリスマスソングを歌う、何年ぶりだろうか
「〜〜♪」
「待った!」
仲間の1人が指を口に当てる
それと同時に歌もピタリと止まった
「〜〜♪」
そこにはドイツ語とはまた別の聞き慣れない言葉が混じっていた
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