記録番号:0001 対象者:氏名不明(本人の希望により未記載)
終了確認時刻:午前二時十七分。
最終発言――「これで、やっと終われますか?」
了承、と私は答えた。
それが規則だからだ。
机の上の用紙に、黒いインクでゆっくりと書き込んでいく。
筆圧は一定に。感情を挟まないこと。
それも規則。
部屋は静かだった。
壁も、床も、窓もない。ただ白い。
ここに来る人は、みんな少し安心した顔をする。
ようやく「終われる」と思うらしい。
けれど――
終わった人を、私はまだ一度も見たことがない。
私は今日も、記録を続けている。






