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「よし、じゃあ、お風呂入ってみようか。 」
俺はそう言って2人を見た。
ゴクッと2人は息を飲む。
俺は基本狐は水が苦手というのを調べた。
トラウマにならなければいいのだが。
「じゃあ、どっちから浴びる?」
お風呂へ行く前に2人に聞いた。
「……。」
お互いに見つめ合っている。
「じゃ、若井からね。」
俺は適当に指示して若井を見た。
「は、お、俺……?うっ……。」
思わぬ指名にきゅっと目を瞑った。
可愛い。そう思ってしまったが本人に言ったら怒られそうだ。
「元貴はここで待ってて。んー、あ、テレビ、ここ付けると電源つくから。ここ押したら番組も変わる。ちょっと待っててね。」
ん、と返事をした元貴の前にテレビのリモコンを差し出し若井をお風呂場へ連れていった。
「若井、服脱げる?」
と若井を見る。
むっとして、そんくらい、できるっ!と服を脱ぎ始めた。
子供みたいだ。
狐の時は当たり前だが裸だし羞恥心はないよだった。
「脱いだ。」
そう言われてじゃあ、入ろう。と浴室をのドアを開ける。
俺はとりあえず様子が見たかったから濡れてもいい服でそのまま入った。
シャワーを出し、お湯になるまで待つ。
水を見て若井は震え出した。
「怖いね、若井。いきなりはかけないから。ちょっとだけ垂らしてみよっか。」
そう言って俺はお湯になったのを確認して手でお湯を少しだけすくい、どう?と若井へ見せる。
狐の姿の癖なのか。顔をすりっとしてきた。
少しだけ懐いてくれたようで嬉しかった。
「ん。大丈夫。」
さっきよりは安心した様子でそう言った。
俺は桶を取って量を増やすことにした。
「じゃあ、まずは量をだんだん増やしてこ。」
俺が桶のお湯を若井に見せてなるべく優しく言った。
ん。と若井も返事をする。
手で少しずつ若井の体にかけていく。
かける度に大丈夫?と声をかけて。
若井は大丈夫、ん、とその都度答える。
そしてどんどん増やしていき、最終的には桶から直接体へかけられるようになった。
「若井すごいね。頑張った。」
俺は思わず軽く頭を撫でてしまった。
若井は照れくさそうにしていた。
時間をかけて慣らし、遂にシャワーも平気になった。
「暑くない?」と聞くと大丈夫。とだけ返ってくる。
「じゃあ、頭洗うよ。」
俺はそう言ってシャンプーを出した。
「入ったら痛いから目瞑ってて。」
そう付け足して。
わしゃわしゃと若井の頭を洗う。
さっきより表情が柔らかくなった。
気持ちいいのか。
「ねぇ。」
突然若井が口を開いた。
「ごめん痛かった?」と俺が手を止めて言う。
違う、と言って
「ずっと、1人だったの……?」と聞いてきた。
俺はシャンプーを再開しながら答える。
「んー。そうだね。親戚の家にいたけど、ずっと1人だったね。」
そう言うと若井はそう……。と言った。
「若井と元貴はお互いにお互いを守ってきたんだね。」
俺がシャワーを出してかけるよ、と若井に言う。
「ん。元貴は……命の恩人だから……。俺が守る。そう決めたんだ。」
若井は目をぎゅっと瞑った。
俺は泡を流しながら「そっか。優しいね、2人とも。」と言い綺麗に流した。
「……俺は優しくない。別に。」
そう答えて少し目を開けた。
俺は次にボディーソープを出す。
「ううん。十分優しいよ。ひとりで立ち向かう勇気があるんだもん。」
と言いながら。
「……あんたのが優しいだろ。」
そう静かに呟く。
俺を優しいと思ってくれたのか。
それだけで嬉しかった。
「ありがと、若井。体は自分で洗えるかな。背中はやってあげる。真似してみて。」
俺はそう言って背中を撫でた。
若井も「分かった。」そう答える。
ある程度洗ってあげたら出来そう?と聞いた。
ん、と答えてきちんと洗い出した。
「偉い偉い。」と褒める。
若井は満更でもなさそうに全部洗った。と俺を見た。
「偉いよ若井。いい子いい子。」
俺は若井の濡れた髪を撫でた。
大人しく撫でられている。
随分と懐いてくれたようだ。
嬉しさに笑みを浮かべながら流そうね、シャワーを出し若井にかけるよと声掛けをして泡を流した。
顔もすんなり洗えた。
見本を見せて若井は一発で覚える。
「若井ほんとにすごいね頭いい。さすがだね。」
俺は感心してしまった。
若井は少しだけ嬉しそうに笑みを浮かべていた。
「お風呂はもう大丈夫そうだね。明日から一緒に入ってみよっか。」
俺がそう言うとん、と短く答えた。
「ありがと……りょうか。」
そう小さめに言った。
初めて名前を呼んでくれた。
俺は嬉しすぎて若井〜!と頭をわしゃわしゃした。
「やめっ」と若井が照れている。
そう言いながらもあまり抵抗してこない。
可愛い。そう思って若井と一緒にきちんと拭いてお風呂から上がったのだった。