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かちゃかちゃ・・・
「・・・・。」
サフィーナは黙々と紅茶の準備をしていた。
「ねぇ、今サフィーがやってる魔法が無属性魔法なの?」
魔法でお湯を沸かしているサフィーナを見ながらローレルに問いかける。
「ええ、お湯を沸かす魔法はそれほど難しくは無いのですが、温度を決めて沸かすのはかなりの魔力操作が必要になりますね。」
「へぇぇ・・・だってさ!サフィー!」
「・・・・。」
「まだ怒っとる。」
「いきなり指に針を刺すからですよ。」
侍女がこういう態度を取るのは良くないのだろうが、千春の心配をしているからこそと言うのが二人にも分かるため苦笑いしか出来ないのであった。
「所でチハルさんの世界で出てくる魔法とかは他にもあるんですか?」
「他?、えーっとさっきの言っていた9属性以外?って事かなぁ、アニメとか物語だと空間魔法とか時空魔法とか?こっちには無いんですよね?属性的にも。」
「ええ、私が知っている限りでは無いですが、そちらの世界に繋げた門は空間魔法と言う事になるんでしょうか、でしたら存在していると言えるかも知れませんね、ただ記録に残っていないだけかもしれませんが、空間魔法だとどんな魔法があるんですか?」
初めて聞く属性かも知れないとローレルは興味があるようだ。
「えっと、一度行った所へ行けるゲートとかワープとかかな?」
「そういう魔法は聞いた事が無いですね、しかしあの門を開く魔法を調べればゲートの魔法は可能かもしれません、移動手段に革命が起きますね!」
「あとは異空間に繋げた入口にアイテムを保管出来るアイテムボックスとか・・・こう・・・空間をイメージして窓を開けて・・・ん?・・・こう・・・・んーーーーー。」
手を伸ばし箱を蓋に窓を開けるイメージで魔力を込める千春、なんとなくイメージが湧く、そのまま『開け』と念じると。
ぽぅっ
「うわっ!なんか開いた!」
「おおおおお!!!!」
手の上に野球ボールが入りそうな程の窓が空中に現れた。
「うわぁ!出来たよアイテムボックスっぽいのが!中どうなってんのコレ。」
そう言いながら窓を覗いてみる、中は見えない、黒い膜で塞がれているような感じであった
「サフィーなにか要らないもの頂戴!」
「コレはどうですか?」
サフィーは先ほど千春の指を拭った血の付いたナプキンを渡してきた
「ありがと、それじゃ。」
そう言いながら窓にそれを入れてみる、するとそのまま窓に入り消えてしまった。
「下に落ちずに中に入ったね、あ、窓消えちゃった、あ!ちょっと待ってね。」
そして鑑定石を触り見てみると、MPが5減っていた。
「空間魔法で良いんですかね、コレは、無属性の一つなんでしょうか?」
「属性的に表示されないなら無属性魔法なんじゃないの?空間魔法が有るってイメージが出来なかったから使える人が居なかった?みたいな。」
「それはあり得ますね、まだイメージが曖昧なので私も練習してみましょう、もしかしたら使えるかもしれませんし、研究出来るかもしれません。」
「私も練習してみようかしら?」
ローレルもサフィーナも練習してみようと言う事だった、しかし。
「で、今入れた物は出せるのかな? 出ろって思えば出るのかな。」
そう言いながら千春は先ほどと同じように手を出し念じる、次は手の平を下に向け落ちてこい!と言うイメージで入れた物を想像しながらイメージする。
「ん-・・・・・開け!」
ぽぅっ
「よっしゃ!出てこい!」
・・・・・・ぱさっ
「でたー!!!」
「「出ましたね!」」
2人も喜んでくれた、ちゃんと出し入れ出来る事が分かった為2人も笑顔だった。
「で!鑑定石!・・・・・MP5消費!開くのに5かー出し入れに5なのか見とけば良かったなー。」
「そうですね、もう少し試したい所ですが魔力の残量も気になりますし研究するのに急ぐ必要も無いでしょう、回復してから何度か試してみても良いと思いますよ。」
「そだねー、ローレルさんが使えたらもっと出し入れできるしね!」
「・・・使えたらですけどね、ハハハ。」
そう言ってローレルは空笑いをしていた、まだイメージが湧かないようだった。
「えっとあとは時空魔法とか言ってましたが、コレは?」
「そのまま、時間を止める?タイムトラベル?コレはぜんっぜんイメージわかないから無理だと思う。」
「あー、残念な気もしますが名前的にもし使うと危なそうな感じがしますねぇ。」
「うん、未来が変わるだの何度もやり直すだの物語でもあまり良いイメージは無いかなー、これは無かったことにしよう!」
イメージも湧かず、ましてや小説で有るようなタイムトラベル、エンドレスに戻るやり直しの物語に良いイメージが一切湧かない千春は無かったことにした。
「あとは異世界お約束のステータス!って言うと自分のステータスが分かる魔法が有ったけどコレはその鑑定石で出来ますもんね。」
「いえ、無属性魔法でも鑑定はありますよ?無属性魔法が得意な人は結構使えます、私も使えますね、ただ鑑定石と違い見え方が人それぞれ違います、私が鑑定する場合は鑑定石で見た物の他に魔法力と魔法防御力が見えますね。」
「ほほー!それじゃ私を鑑定してみて!」
「いいですよ、それでは・・・・・・・。」
そう言いながらローレルは千春に手をかざし目を瞑る、そして一言「鑑定」と。
「はい、先ほどの鑑定石と同じ数値に魔法力5、魔法防御2と出ていますね。」
「それって高いの?低いの?」
「・・・・めちゃくちゃ低いです。」
「はぁ?ま・・まじすか。」
「はい、因みに私は魔法力235、魔法防御130です。」
「ずるい!!!!」
「いや、ずるくないですよ!」
「んじゃサフィーも鑑定してよ!」
「良いですけど、鑑定相手の了承貰わないと人に鑑定は失礼ですからね?」
「サフィー鑑定していい!?」
「?、ええ、かまいませんよ。」
サフィーナも二人のやり取りを楽しそうに聞いていたので何も問題無いですよと言う風に答える。
「では、サフィーナさん失礼しますね・・・・・・・・・・「鑑定」。」
「・・・・どう?」
「はい、魔法力89、魔法防御52、魔導士団の魔術師より高いです・・・魔法の修練をすると上がるんですがまさか魔術師より高いとは、まだお若いので修練を続ければ魔導士として入れるんじゃないですか?」
「えぇぇ・・・高いのかぁ・・・私めっちゃ低いのかー・・・。」
「でも今まで魔法を使った事が無いのであれば低いのは当たり前じゃないですか?修練すれば上がりますよ。」
「よし!頑張ってサフィーに追いつく!」
「・・・それは厳しいかと思いますけどね、ハハハ。」
「いいの!目標はサフィー!で、私も鑑定使ってみる!」
「あ、でしたら物を鑑定して見て下さい、多分私やサフィーナさんに掛けても弾かれますから。」
「弾くなし・・・。」
「しょうがないですよ、魔法力5の人が魔法防御52のサフィーナさんに掛けても・・・ねぇ。」
「チッ・・・、んじゃこのティースプーンで・・・・あ、イメージはどんな感じに?」
「そうですね、鑑定石で出てきた文字が在りましたよね、それをイメージしつつ鑑定して見て下さい、その人が見たいと思う情報が出てくるはずです。」
「わかたー、んじゃ・・・・・「鑑定」。」
ティースプーンを左手に持ち右手手の平をかざしながら鑑定を行ってみる千春。
ティースプーン
・汚れている
素材
・鉄、ニッケル、クロム、他合金
その他
・食用不可
「見えたよ!ティースプーン、汚れてて素材とあと・・・食用不可だってさ、そんなの分かるよ。」
「そういう見え方なんですね、因みに私がそのティースプーンを鑑定するとティースプーン、鉄しか出ませんよ。」
「へぇー、ダメ元でサフィー鑑定していい?」
「いいですよ。」
苦笑いしながら千春に返事をするサフィーナ、どうぞと言う感じで手を出した。
「それじゃサフィーの手に・・・・・・「鑑定」・・・・・・うん、無理、なんかMPがパンって戻ってくる感じだった。」
「はい、弾かれましたね。」
「サフィーは鑑定出来るの?」
「・・・・出来ますけど、分るのが名前と産地だけなんです、使い道が無いんですよね。」
「そうなんだ、そう考えると鑑定石って凄い物なんだねー。」
「コレ私が作った魔道具なので、ほぼ私の鑑定と同じ情報が出るだけなんですけどね、もし仮にサフィーナさんがこの鑑定石を作ると名前と産地が表示される鑑定石が出来ます、その鑑定石でチハルさんを鑑定すると・・・チハル・異世界、になるんじゃ無いですかね?」
そう答えるローレル、納得している千春、苦笑いのサフィーナであった。
ぐぅ~~~
千春のお腹が鳴る
ゴーーーーン
同じタイミングで午後1鐘(15時)が鳴った。
「なんかお腹減った・・・。」
「魔力使うと結構お腹すきますよ。」
「ハツミミナンデスケドー。」
「初めて言いましたからね。」
「何?魔法ってカロリー消費すんの?」
「カロリーはどうかは解りませんがお腹がすきますねぇ。」
「サフィーも魔法使ったらお腹減る?」
「はい、魔法の修練とかすると凄く・・・。」
サフィーナは少し恥ずかしそうに答える。
「3時のオヤツにしよう!あ!そうだ私の家にお菓子あるから続きはあっちの部屋でやんない?」
「良いんですか?」
「よきよき!異世界のお菓子を味わうが良い!サフィーも一緒に食べよ!」
「では、お茶を入れなおしてお持ちしますね。」
「了解!んじゃローレルさん先行ってよー!」
そう言いながら3人はオヤツタイムの為に扉の部屋に移動する事になった。