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白血球1146番の前に現れたのはスーツを着込んだ2048番たちの姿だった。

「お、お前たち…一体どうしたというんだ…その格好は!!」


淡々と細菌を駆除する姿。仕事とはいえ他の細胞たちに怖がられているのもまた事実。

そこで好中球のイメージアップのために、スーツを着て誠実さをアピールしながら、ティッシュ配りや炊き出しなどの活動に進んで取り組もうということらしい。

その甲斐もあって、怖いイメージが払拭しかかっていた。


1146番たちの後輩・桿状核球くんは血小板ちゃんたちと一緒に「だるまさんがころんだ」で遊んでいた。

立ったまま樹木に顔を伏しておなじみの掛け声を唱える。

「だーるーまーさーんーがこーろーんだ」

「だーるまさんがこーろん・・・だ」

「だーるまさんが~~~こーろん・・・」


「誰がだるまですって~?」

そんな声が聞こえると同時に帽子のレセプターが「ピコーン!」と反応する。

「さ、細菌だーーーーーー!!」

近くにいた一般細胞や赤血球、血小板たちは、突如とした細菌の出現に叫びながら、一目散に退避する。


「なんだか餌がたくさん集まってるわね。手間がはぶけたわ」

現れたのは黄色ブドウ球菌。皮膚や毛穴などに常在する細菌。傷口などから体内に侵入した場合、皮膚感染症や食中毒、敗血症などを引き起こすことがある毒性の高いバイ菌である。


「い、いつの間に・・・」

桿状核球くんは逃げ遅れた血小板ちゃんを庇い守りながら愚痴る。

辺りはすでに数匹の黄色ブドウ球菌に占領されていた。


「オーホホホ、免疫細胞の姿が見当たらない今のうちに増殖して乗っ取るわよ!」

リーダーらしき黄色ブドウ球菌が自信に満ちた表情で宣言する。

しかしその背後には白い魔の手が迫っていることに気付いていない様子。

周りの取り巻きの返事がないことに疑問を抱きつつ

「ちょっと!返事くらいしなさいよ!」と振り返るとそこには地獄絵図が広がっていた。

もちろん、黄色ブドウ球菌にとっての地獄であった。


「細菌だーーーーー!!」

「ブッコロース!!」

白血球2048番と対峙した黄色ブドウ球菌は下半身から顔に向かってナイフで真っ二つに斬り伏せられ、2626番と戦った黄色ブドウ球菌は、顔面に強烈な回し蹴りを喰らい顔が破裂。

残った一匹は4989番が手先を斬り落とし、怯んだところを1146番が首に向かって猛然とナイフを切り込ませ、隆起していた鉤爪の付いた尻尾もろとも斬り落とした。

取り巻きの黄色ブドウ球菌たちは一瞬で始末された。


「な、なによあんたら…初めて見――ってか白血球!?」

普段白い衣装の白血球が黒いスーツを着ていたため、黄色ブドウ球菌は白血球に気付かなかった。

これが文字通り命取りとなった。


「だましたわねー!!」

焦りからか、一心不乱に尻尾の鉤爪を振り回すリーダー黄色ブドウ球菌。

しかしそんな幼稚な攻撃は歴戦の白血球たちにかすりもしない。

「なっなによっ!好中球って一番ザコい奴らでしょ!?ほかの免疫細胞が来る前に全員で束になってかかれば――」

束になる仲間は一匹として残っていないのだが、諦めきれないリーダー黄色ブドウ球菌。


そこへモンスターのごとく迫りくる白血球。

「殲滅だ…一匹残らず駆除してやる…」

「死ねーーー!!」

「いーーーやーーー!!!!」


黄色ブドウ球菌の断末魔の叫びが途絶えると同時に戦闘は幕を下ろした。

スーツ内側の白いワイシャツや手袋は血に染まり、当初の怖いイメージの白血球像の出来上がり。


立ち尽くしている血小板ちゃんに声をかけるも、恐ろしい見た目からかサッと逃げられてしまう。

「そんな…せっかくマイルドなイメージが付いてきたのに…」

声をかけた1146番と桿状核球くんは肩を落とす。

他の仲間達も「落ち込むなよ」と声をかけながら、駆除した細菌の後始末へ向かう。


「あ、あのっ!」

声の主は先ほど声をかけた血小板ちゃんであった。

「助けてくれてありがとう!これ使って」

そう伝えながら綺麗な真っ白いタオルを持ってきて、1146番に差し出した。

「ああ…ありがとう」

不器用な返事をする1146番。

「まあわかってくれる人だけがわかってくれればいいんじゃない?」

1146番の肩に手を乗せながら2626番が笑顔でつぶやく。

「そうだな・・・!」

1146番は純白のタオルで血を拭きながら、さわやかな笑顔で立ち上がった。

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