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#シリアス
ゲートをくぐった瞬間、視界に飛び込んできたのは巨大な観覧車と
空を裂くようなジェットコースターの軌道。
スピーカーから流れる陽気な音楽と、至る所から聞こえる歓声。
「最初なに乗る!?」
「まずはジェットコースター一択だろ!!」
到着早々、最高潮のテンションで盛り上がる三人に引きずられるようにして僕は行列の最後尾に並ぶ。
(絶対、情けない悲鳴をあげて引かれるんだろうな……)
そんな予感に身を縮めていたけれど、列が進むにつれ、僕の心臓は恐怖とは別のリズムを刻み始めた。
ガタン、ガタン……。
鎖が巻き上げられる重厚な音とともに、視界がどんどん高くなっていく。
隣に座る天馬くんが「おー、高いな」と横顔を向ける。
地上はあんなに遠い。
「来るぞ!」
天馬くんの声と同時に、視界が垂直に落ちた。
激しい風が頬を打ち、内臓がふわりと浮き上がる独特の感覚。
「っ、……!!」
声にならない叫びを漏らしたはずが、気づけば喉の奥から笑いがこぼれていた。
怖い。
でも、圧倒的なスピードの中で「自分」という輪郭が風に溶けていくような、不思議な解放感。
「え、水瀬めっちゃ楽しそうじゃん!?」
降りた瞬間、足をもつれさせながら須藤くんが叫ぶ。
「いや、俺マジで泣いて動けなくなると思ってたんだけど!」
加賀くんも目を丸くして僕を見ている。
高揚感で火照った顔が、別の理由で熱くなる。
僕は少し恥ずかしくなりながら、乱れた前髪を押さえて俯いた。
「……絶叫系、は好き、かも…」
すると隣で、天馬くんが堪えきれないといった風に吹き出した。
「あはは!ギャップすご」
その後も、左右に大きく揺れるバイキング
空を舞う空中ブランコ
さらに過激なジェットコースター。
「次あっち行きたい!」と指差す僕に、三人が驚きながらついてくる。
休憩がてら乗ったコーヒーカップでは、須藤くんと加賀くんが
「限界まで回そうぜ!」と本気で回しすぎて
降りた後は四人揃って千鳥足で、植え込みの横でしばらく動けなくなったりもした。
昼過ぎ
青空の下で買ったチュロスをベンチに座って食べる。
甘いシナモンの香りと、他愛もない笑い話。
こんな風に、誰かと手放しで笑い合える休日があるなんて、これまでの僕には想像もできなかった。
「……よっしゃ、次はあのお化け屋敷行こうぜ! 結構怖ぇらしいんだよ」
加賀くんのその一言を聞いた瞬間。
さっきまで僕の口元に宿っていた笑みが、石のように固まった。
(……え)
お化け屋敷
無理だ。
これだけは、絶対に無理。
絶叫マシンの「重力」は楽しめたけど
暗闇から何かが飛び出してくる「不条理」には耐えられない。
けれど、「さっきまであんなに楽しんでたのに」と思われるのが怖くて、口を噤んでしまう。
「……水瀬?どした?」
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