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868ロスヨントス組
警察時代捏造ノベル
本人や実際のストグラ内のストーリーとは一切関係ない捏造ノベルです。
事実と捏造を混同しないようにお気をつけください。
本編⤵︎ ︎
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それは夕コと出会って2週間が経った頃、休憩がてら夕コと署内を歩いている時の事だった。
レダー
「……で、この業務についてはーーー」
???
「あえ?夕コさん?」
え?夕コ“さん”?夕コってまだ入ってきて2週間の新人だよね?歴的に後輩のやつなんて居ないよね?年齢的にも最年少だよね?
と一瞬俺の頭にはてなが浮かんだが、そんなことはお構い無しにすれ違ったその男の子はどんどんこっちに歩いてくる。
???
「夕コさんじゃん!」
夕コ
「あ、ばに」
上官B
「おい!刃弐!!」
刃弐
「なんすか?」
担当の上官には反抗的だがどうやら夕コの知り合いらしい。2週間で友達ができたんだろうか?まぁ順当に行くと警察学校時代の知り合いかな?と考察を巡らせる。
夕コ
「レダーさん、続きどうぞ」
レダー
「え?行かなくていいの?知り合いでしょ?」
夕コ
「勤務中なんで」
このあいだからずっと、他の上官と接する時は適当なのに俺の時だけめっちゃちゃんと真面目に受け答えしてくれる。夕コなりに尊敬してくれてんのかな、なんて思ったりもするけど、このゴミのたまり場のような街で声を掛け合えるような友達ができたのなら俺よりそっちを優先して欲しい。
レダー
「まぁ別にいいよ。勤務中っても新人だし。最初から根詰めたっていいことないからね」
上官B
「ちょっとレダーさん困るんですけど?」
レダー
「まぁまぁ」
夕コ
「……ありがとうございます」
この人がばに?くんの教育係らしい。確か俺とランクは一緒だったっけ。興味無さすぎて忘れた。まぁ他の連中と同じく、親金積んで昇進したやつだろうな。その証拠に腕にこれでもかってぐらい金ピカの高級腕時計つけてるし。
でも本来こういう金狂い警官は新人教育なんて1番嫌いだからしないのに、きっと人員不足でつけられたんだろうな。それにイラついて気が立ってるし。
刃弐
「夕コさーん!」
夕コ
「久しぶりじゃん!つってもまぁ3週間とかそこらだけど」
刃弐
「配属先違ったから会うことないと思ってたよ」
夕コ
「ラッキーだね」
……やっぱりおかしい。同い年の同期なのになんで上下関係があるんだ??
そう思ってもう直球に聞いてみることにした。
レダー
「えっとー、?」
夕コ
「あ、すいません紹介遅れました、こいつは俺の警察学校時代の同期の刃弐ランドです。」
レダー
「刃弐くん、ね?」
刃弐
「はい」
レダー
「俺は夕コの教育係のレダーヨージローって言います」
刃弐
「よろしくお願いします」
さっきまでの上官Bへの反抗的な態度が嘘みたいに礼儀正しくて驚いた。
俺はそのまま質問した。
レダー
「単刀直入に聞くけど、2人とも同い年だよね?」
夕コ、刃弐
「「はい」」
レダー
「んー仲良いね。なのになんで刃弐くんがずっと夕コさん呼びなの?」
夕コ
「あぁそれは」
刃弐
「自分が夕コさんに勝負挑んで普通に負けたからっす」
レダー
「えぇ?何?ケンカ?」
刃弐
「まぁはい」
夕コ
「言葉足らずすぎる……」
刃弐
「間違ったこと言ってないよ?」
レダー
「と言うと?」
夕コ
「実技試験で『負けた方が1ヶ月舎弟』ってノリで言って勝って、1ヶ月経ったあとも、さん付けが取れないままずっとこれっす」
レダー
「んはははwほんとに仲良いんだねw俺もそんなのやったわw」
夕コ
「やめてくださいよ!俺ずっといじめっこみたいで恥ずかしいんすよ!」
レダー
「まぁ仲がいいのはいい事じゃん笑これからも仲良くするんだぞー」
夕コ
「余計なお世話!」
夕コと2人で笑いあってる影で、刃弐くんは寂しそうに笑っていた。
俺は気付きはしたが、刃弐くんはあまり俺に心を開いていないように見えたから、深く干渉しないように放っておこうとした。
上官B
「もういいですか?」
レダー
「あぁすいませんね。お時間頂いて。」
上官B
「全くこれだから……」
俺に悪態をつくBに夕コが一瞬ガンを飛ばしていたがまぁ見て見ぬふりをしようと思った。
その時だった。
上官B
「行くぞ」
刃弐
「おい痛ぇから引っ張んな」
腕を引っ張られ、半袖で隠れていた二の腕が袖口から見えた。そこにはここ数時間で出来たであろう痛々しい痣があった。
俺は咄嗟に上官Bの肩に手を置いた。
レダー
「すみません」
上官B
「なっ、なんだ!」
自分が新人だった頃のパワハラ教育係がチラついて自然と力が入る。
Bの肩がミシミシ音を立てていたが俺はそんなことはお構い無しに話を続けた。
レダー
「Bさんの新人さん、刃弐くん、でしたっけ。」
上官B
「い、痛い!なんだ!何が言いたいんだ!」
レダー
「他にやることがあってお忙しい中、新人の教育係なんてうんざりでしょうから、 彼は私が代わりに教育係としてつきます」
上官B
「何を突然!第一そんな勝手な真似は」
レダー
「上には私から話を通します。転属届も私が出しますので、今この瞬間から担当を外れていただいてもよろしいですか」
上官B
「……ッ!好きにしろ!!」
ただ物にぶつかっただけの可能性もある。彼、刃弐くんの態度が悪かった可能性もある。
でも俺の勘があのまま任せては行けないと言っていたから止めた。これでよかったのかどうかすぐ反省しようとしたが、後ろを振り向くと夕コも両手で刃弐の手を握りしめていたので
「止めてよかった」と心の底から思った。
それから俺たちは刃弐の手当をするため、署内の倉庫へ向かった。本来は医務室や救急に行くべきなのだが、この街で信頼出来る人間は限られているため俺たちが直接手当をすることになった。
レダー
「ごめんね刃弐くん。突然担当代わるなんて言っちゃって。俺が嫌だったら他にも信頼出来るやつがいるから言ってな。」
刃弐
「……刃弐でいいっす」
レダー
「……そう?」
なんか見たことある流れだな、と思いつつも倉庫に着いたので手当を始める。
レダー
「……じゃあ腕の手当はこんなもんかな。他に怪我してるところある?」
刃弐
「ないです」
レダー
「嘘をつかない!会った時からずっと腹部庇いながら歩いてたじゃん」
刃弐
「えぇ」
夕コ
「この人と俺らじゃ人生経験違いすぎるよ」
レダー
「じゃあ刃弐、手当するから服脱いでくれる?」
刃弐
「……いや、自分でやれるんでいいっす。ありがとうございます。」
今どきの子は男相手でも裸見られたくないって言うし仕方ないか……って思ったんだけど
夕コ
「何うじうじしてんの、脱げって言われたらぱっと脱げ」
そう言って夕コが強引に刃弐のシャツをひっぺがした。やめてくれよそれハラスメントで訴えられるの俺だから!そう茶化そうとしたのもつかの間。
刃弐
「…っ!」
夕コ
「…は?」
レダー
「あいつ……」
そこには目も当てられない量の痣と切り傷があり、背中にはムチを打ったような後があった。
夕コ
「これを2週間……」
レダー
「…………っ、」
このやり口には覚えがあった。俺が新人の頃も同じことをされたからだ。
この警察署では、毎年入ってきた新人のうち1人に狙いを定め溜まった鬱憤を晴らす、いわばストレス解消用の新人が勝手に選出される。
腐った組織だとは思うが俺はもう諦めている。この組織を正したところで結局腐敗の根本はこのロスヨントスそのものだからだ。
だがここ数年新人教育を担当することが少なかったとはいえ、そんな影は見なかったのでてっきりそんな風習はなくなったのかと思っていた。
この子はこんな仕打ちを受けながらも退官せず休みもせずに毎日ああして少しづつ反抗し、周囲には悟られぬよう元気に振舞っていたのかと思うと本当に拭いきれない不甲斐なさに押しつぶされそうになる。
夕コ
「なんで俺に言わなかったの…」
刃弐
「夕コさ 」
夕コ
「なんで俺に言わなかったんだよ!!」
レダー
「夕コ」
夕コ
「なんだよ!」
レダー
「刃弐はお前や他の同期に矛先が向かないようにヘイト管理してくれてたんだよ。」
夕コ
「そんなの……」
レダー
「刃弐にとっていちばん辛いのはお前が自分と同じ目に合うことだったの 」
夕コ
「そんなの俺だって…!」
レダー
「そうだよね。だからね、刃弐」
刃弐
「…はい」
レダー
「これからは俺と夕コを頼ってね」
刃弐
「……はい。」
夕コ
「1人で背負うのはこれで最後にしろ!」
目をうるうるさせながら刃弐に優しく抱きつく夕コ、夕コの体温に身を任せ、うつむいて安心した表情の刃弐。
しばらく俺と夕コは2人がかりで刃弐の手当をし、その後の彼の今日中の勤務は不可能だと判断したため、自宅まで送ることにした。
レダー
「刃弐」
刃弐
「はい」
レダー
「明日からは俺がお前の担当の教育係になれるよう今日中に手配しとくから、改めてよろしくね。」
刃弐
「ありがとうございます先輩」
レダー
「レダーでいいよ」
刃弐
「じゃあ……ありがとうございますレダーさん」
レダー
「敬語も別にいいんだけどなぁ」
刃弐
「ほんとに?やったぁ」
夕コ
「ちょっと!敬語は敬語だろ!」
みんなで笑い合いながらゆっくり歩いた。
こんな街でもこんな平和な時間があるなんて、少し前までの俺は知らなかったな。
そう感慨深くなる日だった。
つづく