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くそ、頭イテー凛の奴いつホテルでていったんだよ。
今度は酒抜きで合わないとこっちが先に潰れちまう。
ボロアパートの前の駐車場に車を停めてドアをあける。
「真ちゃん!約束おぼえてる?」
隣の家の紗栄子だ、コイツは幼馴染で地主の娘だ、紗栄子の親はこのアパートの大家でもある。俺の両親は共に離散して俺は中学生の時にこのアパートに1人取り残された、本来なら施設っていう所に連れて行かされるはずだったが紗栄子の両親の好意で俺はここで暮らす事ができた。
18になるまで家賃も取らず生活費、食事、学費までも面倒をみてもらった。
そんな恩もあり今はバイトして毎月家賃も払うようになった。
本来なら就職してもっと返したいとこだが、所詮、底辺の部類の俺は底辺止まりだ。
「約束?」
「マイカー買ったらドライブに連れて行くって言ったじゃないの!忘れたの?」
そうそう、これが俺の愛車、セルシオだ。事故歴ありだが普通に走れる。コツコツ貯めて先週納車だった。
「そうだっけか」俺は二日酔いで最悪な体調なだけにそっけなく返答した。
紗栄子は助手席のドアを開けて座り込んだ。車外にいる俺を上目遣いで見つめる。
ずっと小さい頃から一緒にいたから気付かなかったが上から見下ろしてみるとみると紗栄子の胸の谷間が出来ているのを確認する。推定Dカップくらい18歳にでもなれば少し色気も出て来ていた。
紗栄子は俺の視線の先に気付きシャツを上げ胸元を隠した。
「真ちゃんどこみてるのよ!」
「んん〜。。分かったセルシオに乗せてやるよ」俺はドライバー席に座り、キー回しエンジンをかける。2、3回アクセルを踏みフカす。
ブオォオォ ブオォオォ
「結構いい音するね。」俺も紗栄子もテンションが上がり始めた。
「それじゃ行こうか」そう言って紗栄子を乗せたセルシオは田舎道を走り出していくのであった。
俺たちの住むこの町は、小さな町だが海もあり、山もあり、ひと通り商業施設もあり、暮らしに困ることはない。
俺の人生にはちょうどいいサイズだ。
「紗栄子、進学きまったのか?どこの大学いくんだ?」
「親は東京の大学に行けって言ってる、親戚もいるし、そこから通えばいいって」
紗栄子はうつむきながらそう言った。
「東京かぁ、東京に行った奴らは戻って来ないからなぁ、そんだけ楽しいところなんかな、行った事ないから分からんけど」
紗栄子が昔から俺に気がある事は知っていた、でも俺は世間様から見て対等の立場ではない事は理解していたからいつもはぐらかし回避していた。
「真ちゃんはいいの?会えなくなっても」
「いつでも会えるさぁ、今はスマホとかあるし顔も見れるし問題ねぇよ」
「。。。」紗栄子は不貞腐れたのか無言になりパワーウインドのボタンを押し窓を全開まで開ける、潮のにおいと温かな風が車内に入り込み紗栄子はなびく髪を細く色白い指でかき分ける。
「あっ、なんだネイルなんてして色気づいてきたな(笑)」
「18歳なんだから、ネイルくらいするよ」
車内はまた、少し明るくなり、俺はラジオのボリュームを少し上げた。