テラーノベル
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深夜2時を過ぎたチャンスの部屋。
重たい遮光カーテンの隙間から滑り込む都会の冷たいネオンだけが、静謐なリビングの床に細い光の線を引いていた。
ローテーブルの上には、氷のすっかり溶けたウイスキーのグラスがふたつと、灰皿に燻る一本のメンソール。
「今日こそ、俺の勝ち。……ねえ、チャンス。いい加減、大人の余裕ってやつ、崩してみてよ」
リビングの中央に置かれた、低く大きな黒い革製ソファ。
その上で、エリオットはチャンスの腰に跨がり、傲慢なほどに美しい笑みを浮かべて見下ろしていた。
赤いバイザーはとうに床へ転がり、肩から零れ落ちる長い金髪が、チャンスの白いワイシャツの胸元にハラハラと触れては揺れる。
関係を壊したくないと怯え、本気になりすぎるのを怖がっていたのは、自分だけじゃない。
この銀髪の男もそうなのだと気づいた瞬間から、エリオットのゲームは熱を帯び、加速していた。
細い指先が、チャンスの首元にゆるく結ばれていた黒いネクタイの結び目を、ぐっと力任せに引き寄せる。
限界まで距離が狭まり、お互いの熱い吐息が唇のすぐ傍で混ざり合った。
下から見上げるチャンスの、すべてを見通すような切れ長の瞳が、サングラスの奥で僅かに細められる。
中折れ帽の影に隠された彼の薄い唇が、短く、冷徹な弧を描いた。
「……ほんと懲りないな、お前は」
低く、地を這うような掠れ声。チャンスの表情から『我慢』という名の仮面が消え去った。
「……っ、」
次の瞬間、視界が乱暴に反転する。
手首を掴まれたかと思うと、有無を言わさぬ力でソファのクッションへと押し倒されていた。
背中に走るスプリングの衝撃に息を呑む間もなく、手の中から黒いネクタイが強引に奪い取られる。
チャンスはその長い絹の帯を使い、エリオットの右の足首を滑らかに、だが絶対に解けない強さで縛り上げた。
そして、その端をソファの頑丈な木製の肘掛けへ、きつく結びつける。
「あ、ちょっと……チャンス!……これ、じゃ……」
右脚は高く持ち上げられたまま肘掛けに吊るされ、太腿の裏側から膝にかけての、一番無防備で柔らかい皮膚が虚空へと暴かれた。
左脚はソファの背もたれに押し付けられ、逃げ場を無くした姿勢のまま、完全にチャンスの支配下へと晒される。
しかし、チャンスは急ぐような男ではなかった。
冷徹な独占欲を孕んだ瞳で、エリオットの震える様子をじっと凝視する。
「……や、……ちょ、見ないで、……っ……」
羞恥心で顔を真っ赤に染め、自由な左脚でチャンスの肩を押しのけようとする。
だが、チャンスはその左脚すら大きな掌で軽々と掴み取り、自らの肩の上へと担ぎ上げた。
「言葉で懲りないなら、身体に分からせるしかないな、エリオット」
硬く節くれ立った指先が、太腿の内側はじりじりと擦り上げながら、エリオットの衣服を容赦なく乱していく。
「……っ、あ……」
不意に肌へと触れる、熱く強引な愛撫。
男性的で容赦のない質量が、エリオットの境界線を強引に押し広げるように蹂躙してくる。
エリオットは腰を震わせ、ソファの革を指先で掻きむしった。
チャンスの手は躊躇うことなくその熱を奪い去り、身体の奥深く、最も敏感な感情を執拗に揺さぶり始める。
「ん、んぅ…………ぁ、……ふ、」
抵抗する気力すら、指先の動きによって削り取られていく。
チャンスが、エリオットの身体がビクンと大きく跳ねる場所を見つけ出し、そこを攻めるように、力強く圧迫した。
「あ……っ、んぅ……、そこ……だめ……ぁ、」
頭の中がじわじわと白く染まっていく。
強がりも、挑発も、すべては溶けて消えた。
エリオットは涙で完全に視界を滲ませながら、ガクガクと身体を震わせ、細い声を漏らし続けるしかなかった。
チャンスは、完全に限界を迎えて熱を帯びるエリオットから一度手を離すと、己の白シャツのボタンをいくつか引きちぎり、底なしの独占欲を剥き出しにしたまま、エリオットを完全に己のものにするべく、さらに深く組み伏せた。
「……ぁ、っ」
手荒な愛撫によって徹底的に解きほぐされていた身体へ、さらなる激しい情熱が注ぎ込まれる。
あまりの衝撃に、エリオットの喉から細い息がほとばしる。
片脚をネクタイで固定された歪な姿勢のまま、完全に主導権を奪われ、エリオットの身体は大きく弾けた。
「は……っ、あ、……ん、ぅ、……ちゃん、す……っ」
だが、チャンスはその圧倒的な熱量に馴染む時間すら与えなかった。
吊り上げられた右脚の膝裏を強く掴み、自らの胸元へと引き寄せるようにして、エリオットをさらに深い快感の渦へと引きずり込んでいく。
「……ぁっ、ん、ぅ……っ、……ぁ、……あ、……っ」
一撃ごとに身体の芯を深く揺さぶられるたびに、喉の奥から押し殺した吐息が漏れ出る。
視界が明滅し、頭の中が真っ白に染まっていく。
片脚を吊るされた体勢のまま与えられる容赦のない刺激は、エリオットの理性を完全に押し潰した。
あまりの快感の密度の高さに、エリオットの瞳は焦点を見失う。
息を吸うタイミングさえ掴めず、胸が苦しく上下する。
エリオットは自由な左脚で、必死にチャンスの逞しい身体を押しのけようとした。
だが、チャンスはその左脚を軽々と捕らえると、自分の肩へ担ぎ直し、さらに逃げ場のない角度へとエリオットの身体を拘束した。
「……あ……、……んっ、ん……ちゃん、す……、…ぅ, ぁ……っ」
身体の境界線が完全に融解していく。
下から見上げるチャンスの、いつも通りクールで、だけどサングラスを外したその瞳に宿る獰猛な熱情。
彼の激しい動きに合わせて、エリオットの長い金髪がソファの革の上で狂ったように揺れ動く。
上から見下ろして主導権を握っていたはずの青年は、今や自らの象徴であるネクタイに縛り付けられ、完全に支配されていた。
「……は……っ、ん、あ、っ……、ちゃん、す、……あっ」
限界をとうに越えた快感が頂点へと達する。
チャンスはエリオットの腰を強く掴み、その熱の最奥へと自らのすべてをぶつけるように深く重なった。
「く、あっ………イ、くぅ……っ、……んっ」
エリオットの身体がビクンと大きく脈打ち、甘い熱のなかで完全に果てた。
それとほぼ同時に、チャンスもまた、エリオットを強く抱きしめながら、その高まりのすべてを解き放った。
「……は、ぁ……、っ、……ふ、ぅ……」
限界の向こう側へと突き落とされた衝撃の余韻が、エリオットの身体を激しく震わせ続けていた。
肘掛けに結ばれたネクタイが、エリオットの震える脚に合わせて頼りなく揺れる。
エリオットは完全に脱力し、指先ひとつ動かすこともできずにソファのクッションに沈み込んでいた。
チャンスはゆっくりとエリオットの身体の上へと覆い被さる。
その胸の温もりが、エリオットの肌にぴったりと重なり合い、深夜の静寂のなかに、二人の荒い呼吸の音だけが溶けていった。
#1x1x1x1
ゆ(旧「ゆゆゆゆ」)
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