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太中で花吐き病です
※苦手な人や地雷さんは閲覧を控えることをお薦めします
※花吐き病の多少設定変更というかなんというかがあります
「おえっ…ごほっ」
横浜の寂れた路地の奥で中也の声が響いた。
普段の威勢の良さはどこへやら、壁に手をつき苦しげに肩を上下させている。
その足元には悍ましいほど鮮やかな青い椿の花弁が散らばっていた。
「随分と乙女チックな病気にかかったものだね、中也」
背後から声をかけた太宰の口調はいつものように軽薄でどこか他人事だった。
中也は口元を拭い鋭い眼光で太宰を射抜く。
「…太宰、見てんじゃねぇよ」
「見ないわけにはいかないだろう?」
「私の優秀な元相棒が道端で花を撒き散らしてるんだから」
「それが噂の『花吐き病』かい?片想いを拗らせると肺に根を張って花を吐くという…」
太宰は中也の足元に落ちた花弁を革靴の先で無造作に踏みつけた。
「誰に恋なんてしたんだい?羊の元仲間?それともポートマフィアの部下かな」
「…手前には関係ねぇ」
中也の声は喉に刺さった棘を無理矢理引き抜くような掠れ方だった。
実際関係はあるのだ。この病の特効薬は「想い人と抱擁」でも「口づけ」でもない。
「想いが通じ合うこと」
太宰は知っている
中也がこれほどまでに苦しみそれでも隠そうとする相手がこの世に一人しかいないことを。
そして中也もまた自覚している。
目の前で自分をあざ笑うこの男に届かぬ想いを抱いた代償がこの喉を焼くような花の香りであることを。
「苦しいかい、中也」
太宰が歩み寄り中也の喉元に細い指を這わせた。
中也は拒絶する力も残っていないのかされるがままに太宰を見上げる。
「…っ、ふざけんな。手前に殺されるくらいなら花に埋もれて死んだ方がマシだ…」
中也は再び激しく咳き込んだ。
今度は花弁だけではない。
一輪の瑞々しい青い椿が中也の口から零れ落ちた。
太宰はその花を拾い上げ、愛おしそうに眺める。
彼はこの病を治すつもりはなかった。
中也が自分への恋心に殺されかけ、自分だけが吐き出されたその結晶を手に取ることができる。
この歪な状況こそが太宰にとっては「中也を独占している」という何よりの証明だったから。
「死なせないよ中也」
「君が最後の一片まで私への愛を吐き出すまで私はずっとこうして見守ってあげる」
太宰はそう笑って中也の耳元で囁いた。
「美しいよ。君が苦しめば苦しむほどこの花は綺麗だ」
青い椿(青い珊瑚礁)
結構綺麗なので皆さんも調べてみてください
それでは