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こんな優しい世界……大好きです…… 幼なじみ設定とかナチスが世話焼きなのとかとても可愛い…素敵な作品をありがとうございます
死後独ソ世界線良いなぁ....
きゃわ……………可愛い…………どっちもかわ…………
どうも皆様、サカナです
とりあえず思いついた話を適当に詰める部屋です
カプ乱立とかシリアスシリアルとか色々あるかもしれない
スランプの時とかよく上がる可能性あり
多分作りが雑です
書けなくても思いつく時は思いつくんよね…
人の地雷は無視してるので、地雷が多い人は向かないやもしれません
⚠️旧国
ナチ「うわ、お前部屋汚いな」
ソ連「…お前、なんでここに…」
今日も今日とてだらけて終わりかけていた時だ。
そいつは急に俺の家に入り込み、ソファで横になる俺の目の前に現れた。
ナチ「たまには幼馴染の面でも拝んでやろうと思ってきた。…が、かなり堕落しているではないか。なんだそのひどい顔は」
ソ連「うるせえ…今鬱なんだよ…」
ナチ「そうか。清々しいほどどうでもいいな」
ソ連「テメェ…」
こいつのセリフは「傷心したまま時が止まった俺を煽るためにやって来た」の間違いだと思う。
憎たらしくギザギザの歯を見せるそいつは、赤く光るような野望を写す瞳で俺を一瞥して、なぜか汚部屋の掃除を始めた。
ソ連「…おい、何してるんだ」
ナチ「何って、掃除だが」
考える気力すら尽きているとはいえ、殺し合っていた仲のやつが自分の部屋を掃除するのは異常なことだとはわかる。
平然と答えたナチスに困惑しながらも、俺は何かを言う気にもなれない。
黙って掃除するナチスを眺めていた。
ナチ「はぁ…どれくらいの間放置していたんだ?よくこんな環境で暮らせていたな」
ソ連「最近はここから動くこともだるくなって、ゴミ捨てとか面倒だったんだよ…その辺りのは1週間くらい前か…? 」
ナチ「うわ…日帝が聞いたらぶっ倒れるな」
ソ連「あー…あいつ綺麗好きだもんな」
ゴミ袋が擦れる音、箒で掃く音、雑巾でも濡らしているのか、時々水の音も聞こえる。
そこまで大きな音というわけでもないのだろう。
だが、俺としては音を聞くのはかなり久しぶりで、生活音に違和感すら感じる。
気がつけばソ連のやつは眠っていて、埃がついたソファの上で熟睡していた。
ナチ「ったく、本当に仕方のない奴だな…」
眠れていなかったのだろう、目の下にはドイツと同じくらい酷いクマがあり、明らかに疲れている。
崩壊後、こちらの世界に来てしばらくして、こいつの姿は見かけなくなった。
気が向いて探してみれば、こんな場所で1人横になっているとは…全盛期しか知らぬ奴らは誰も気づくまい。
起こしてやるのも可哀想だとわずかな慈悲をかけてやり、しばらくいさせてもらうことにした。
ナチ「…他の家事もしてやるかな」
この私にこんなことをさせるとは、なんと贅沢な奴なのだろう。
ソ連「…ぅ…ん…?」
ふと目が覚めると、そこは自分が最後に見た場所とは異なっていた。
ソ連「布団…?」
そう、だるくなって1ヶ月くらい放置していた寝室だ。
カビとか埃とかでボロボロだろうと思っていたベッドが、ふかふかの状態で俺を包んでいる。
ソ連「…あいつの仕業、か…?」
ソファで布団代わりにしていたコートはなくなっていて、そもそも尋ねてきたのはあいつだけ。
夢遊病ではあるまいし、これはナチスの仕業としか思えなかった。
ソ連「…まだ、寝ていたいな…」
ずっとソファで寝転んでいたから、全身が固くなっている。
枕があるのはいつぶりだろう?
軋む体が休まっている感覚がして心地良い。
同じように横になって目を瞑るだけでも、随分違う。
コンコンコン
ナチ「おい、ソ連。入るぞ」
ガチャッ
ソ連「…返事くらい聞けよ」
ナチ「なんだ、起きていたのか」
そうして布団に包まっていると、ナチスが部屋に入ってきた。
まだいたのかという疑問もあるが、俺はそれよりも奴の手元に驚いている。
ソ連「…それ…」
ナチ「この私がわざわざ作ってやった粥だが」
言い方が偉そうなのは置いておいて、どうやら俺のために作ってくれたらしい。
ナチ「これでも食べてさっさと寝るんだな」
ソ連「…食わせろ」
ナチ「…は?」
ソ連「俺は体がだるい。動きたくない。だから、食わせろよ」
先日まで鈍く痛んでいた頭は幾分かマシになっていて、今なら少しくらいは食べられそうな気がする。
どうしてこんなわがままを言ったのか、そればかりは俺にもわからなくなった。
ナチ「…本当に仕方のない奴だ…そのままでは零すだろ、せめて座位になれ」
ソ連「ん…」
拒否はしないとわかると、俺みたいなタイプはひたすらに甘える。
モゾモゾとゆっくり動きながら、ナチスの方へ顔を向け、口を開けた。
ソ連「あー」
ナチ「幼児かお前は…」
そんなことを言いつつも、ナチスはスプーンで粥を掬って俺の口に運んでくれる。
ソ連「モグモグ…」
ナチ「冷蔵庫に食材が何もなかったぞ。一体、どう暮らしていたんだ?」
そういえば、3日くらい食べてなかったような…
ソファから起き上がるのもだるいのに、買い物なんて行こうとすら思わなかった。
ソ連「モグ…ゴクン…ずっとソファで寝てた。眠れはしなかったが、少しでもエネルギー消費を減らしたくて」
ナチ「動物か何かか?ドイツの方がまだマシだったぞ」
ソ連「…あー」
ナチ「都合が悪くなったからとおかわりを求めるな!」
ソ連「モグモグ…」
ナチ「ほんっとうにお前というやつは…幸せそうな顔をしやがって」
久々に食べた手料理は美味しくて、なんやかんや甘いナチスが可笑しくて、思わず微笑んでしまった。
ナチ「…ったく、まぁた汚部屋を作っているではないか…」
ソ連「いいだろ別に…」
ナチ「全くお前は…」
いつしかナチスは、たまに俺の家に来て、俺の世話を焼いてくれるようになった。
子供扱いされるのは少しむず痒いものの、特に拒否しようとは思わなかったし、むしろ嬉しかった。
まともに世話を焼かれたのはほとんど初めてだったから。
今日も私は、幼馴染のあいつの世話を焼いてしまっている。
図体がでかいくせにやたらとセンチメンタルで、出来るくせに家事は一切しない。
まるで子供のようで目を離せないのもそうだが、我が子にしてやれなかった分を、あいつで晴そうとしているのかもしれない。
こんな関係を心地よいと思ってしまうから、また相手に甘える彼らなのだった。