コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「マネキンよりも、効果絶大ってところですね」
「ええ、まさにその通りでして」
応えたスタッフさんの視線の先には、にこやかに談笑をするあの人の姿があった。
本当に、一点の隙もないくらいに完璧で……。にわかには信じられないくらいに、パーフェクトな紳士ぶりで……。
「……三ッ塚さん?」
上の空でそんなことをぼーっと考えていたら、目の前に当の紳士が立っていた──。
「うわっ…!」
急にそばに来られたことに、慄いて思わず二、三歩後ずさると、
「何をそんなにびっくりしているんだ?」
と、肩に軽く手がかけられた。
ててて、手が……!
何気なく触れられた手に、よけいにドキドキしてしまう。
「では、そろそろ次の店舗に行こうか?」
そのまま肩を抱くようにして歩き出す蓮水さんに、
「あ、あの…肩の手を……」
どぎまぎと顔を赤らめつつ口にした。
「ああ、すまない。君が何か考えごとをしているようにも見えたから、軽いサポートのつもりだったんだが、悪かったかな」
肩の手がスッと離されて、
「いえ、悪いだなんてことは……!」
と、片手を大きく振って否定をした。
肩なんて抱かれたら、私の心拍数が上がりまくりなだけで……。だけど、向こうにはそんな気持ちなんて微塵もないんだろうなとふと思ったら、なんだかちょっと虚しくもなってくるみたいだった……。