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「うあっ! やりやがったな糞婆ぁ…… ん? あれ? はぁ~、夢か……」
「漸く目覚めたか」
「うおっ! 貴様はっ、じゃなくて手前ぇっ、でもなくて、貴方様は太師匠っ! グフトマお爺ちゃんっ!」
「お爺ちゃんは止めろ」
「へいっ!」
レイブが目覚めたのは気を失ってから小一時間が過ぎた頃であった。
この間に、鬼神の正体を知ったペトラとギレスラから、事の次第をすっかり聞き取ったグフトマは難しい表情を浮かべて様々な思いを巡らせていた様だ。
魔術師グフトマ。
北の魔術師バストロと剣士フランチェスカの師にして先代の鬼王、つまり最高の拳闘士の栄誉と共に語られる男である。
鋼体術、魔法の行使が出来ない魔術師に唯一残された技、肉体強化を限界まで極め抜き、全身の金属化である鬼化を確立させた事、更にニンゲンとは思えぬ長命でも知られる偉人だ。
当然だがレイブの言う所の糞婆、現在の鬼王、ズィナミ・ヴァーズも彼の弟子の一人である。
長命ゆえか見識の広さも他の追随を許す事は無く、それ専用の武器を精錬する鍛治王の里の職人たちにも有用なアドヴァイスを与え続け、通常で無い尊崇を集めている事でもメッチャ有名っだたりするのだ。
所謂ビッグネームを前にしたレイブの口調は常と変わらないものであった。
「お爺ちゃ、太師匠! バストロ師匠から聞いていた話では糞爺、いいえ、お歳を召していると伺っていたんですけど、全然若々しいじゃないですかぁ! あれですかね? 何をやっても勝てなかった腹いせでネガティブキャンペーン的な? やつですかね? やですねぇ~」
だそうだ……
失神から目覚めたばかりだと言うのにレイブの舌は滑らかさを止めない。
「それにですね、バストロ師匠とその情婦フランチェスカの二人は太師匠は病で身罷った、そんなデマまで流しているんですよ? こんなにお元気なのにですよ? 俺に話して聞かせた時なんか、まことしやかに涙ぐんじゃったりしましてね、酷いでしょ? ね、ねっ?」
銀色の男前、鬼神グフトマは少し遠くに視線を移しながら答える。
「そうか…… あの子達には辛い思いをさせてしまったからな……」
レイブは表情にハテナを加えて聞き返す。
「? 辛い思い、ですか? いやいや失礼なのは師匠達の方でしょ? だって、生きてるのに死んだとかぁ、酷過ぎますってぇ!」
なるほど、そりゃそうだな……
グフトマはレイブに視線を戻して答える。
「死んだんだよ、私は…… 今でも最後に見たあの子達の泣きじゃくる姿を覚えているのだ……」
「え…… 何です? はてな?」
コメント
1件
わあ、第1153話!ついにグフトマお爺ちゃん(失礼)本人が登場ですね。レイブのいつもの軽口がホントに止まらない……それにしても「生きてるのに死んだって言われてた」って流れ、まさかグフトマ本人が「死んだんだよ」とさらっと言うとは。バストロとフランチェスカの涙ぐむ回想、そこに何か壮絶な過去がありそうで……気になります。長命の魔術師、その歴史の重みが一瞬で感じられる会話、好きです。
羽海汐遠
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麗太
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#推理
橘靖竜
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