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異星人対策室のジョン=ケラーだ。いよいよティナ達を観光名所に案内して地球を満喫して貰う計画がスタートする。まず候補地として用意したのは、グランドキャニオンとイエローストーン国立公園の二ヶ所だ。

我が合衆国にも観光地は山のようにあるが、最初は雄大な自然を感じることが出来る場所の方が喜ばれるだろう。特にフェルは地球の自然に興味津々だった。

対するティナは、口にはしないが日本に行きたいように感じた。然り気無くではあるが、日本についての質問が何度かあった。ミスター朝霧にもその件を話して日本政府との調整を行っている最中だ。

場所としても悪くはない。世界トップレベルの治安の良さ、民度の高さを誇るのはもちろん、科学、文化、自然が見事に調和した社会は観光地としても名高い。合衆国以外の来訪地としては最有力だ。

それに、各国首脳と個別会談を開いた際日本の椎崎首相とは人払いをして密談を交わしているのが判明している。その直後にスーパーマーケットでの事件が発生したからそちらに注目してしまうが、日本の首相に対してティナが取った行動には謎が残る。

当然だがティナに聞くわけにはいかないし、合衆国政府も椎崎首相を問い詰めるような真似はしなかった。

ただ、ミスター朝霧の話だと椎崎首相はティナとの会談後体調が優れないとして半日ほど合衆国が用意したホテルの部屋に閉じ籠ったらしい。

一体何を話し合ったのか、興味はあるが……いや、下手に勘ぐる必要も無いだろう。ティナを信用する。

信用を得る為の必須事項は、こちらが相手を信用することだと思う。

観光地の策定が終わり、次に問題となったのは移動手段だ。大統領によって出されたあの宣言は、案の定国内外で賛否両論の大激論が交わされている。野党は真っ先に反発して政府を攻撃しているし、過激な連中がより一層苛烈な手段に出る可能性すら出てきた。想定内とは言え、頭の痛い問題だ。

渦中にあるティナ達の行動は極力秘匿せねばならない。大量の護衛を引き連れた移動など目立つだけだ。

そんな最中、何故かスケジュールすら丸投げにされて頭と胃が傷んだ。ティナの薬で胃痛とはオサラバ出来たと思っていたが、どうやらそれを越えるストレスが襲い掛かっているらしい。

ふふっ、優れたアードの胃薬すら効果がないか。ある意味興味深いな。

しばらく手段を考えていると、ジャッキー=ニシムラ(ハイレグ装備)が声をかけてきた。

「室長、隠密を優先するなら現地集合でどうでしょうか?」

「ふむ、現地集合か。つまりティナ達とは現地で落ち合うと」

「ええ。現地でこちらが派遣した職員と合流できれば、事前に知られず観光できます。あの容姿ですから目立つのは避けられませんが、行き先でテロリストなどに待ち構えられるよりは遥かに安全です」

「しかし、警備の問題が出てくる」

「ハッキリ申し上げれば、完璧な警備には限界があります。それに、大勢の警備を引き連れたままでは彼女達も観光を楽しめないでしょう」

一理あるな。ティナは大袈裟だったり仰々しい扱いに苦手意識がある。彼女も根本的には庶民的だし、息が詰まるとも話していた。しかし、そうなると警備は……。

「ある程度は割り切るしかありますまい。地球の情勢をそれとなく伝えて、警備は最小限に。少なくとも観光での警備はミス・アリアに任せては?」

「それはいくらなんでも無責任じゃないかい?」

「行き先を特定される危険性を最小限に抑えられますし、何よりフェラルーシア嬢は先の件で警戒心を増しています。ならば下手に警備を増やすよりも馴染みある少数の地球人を同行させたほうが良いでしょう」

見知らぬ地球人が周りにいては警戒を増すばかりか。難しい問題ではあるな。

「目的地は観光スポット、警備に関してもやり様はありますよ」

「観光客に紛れ込ませるか」

「警備の常套手段ではありますが、少なくとも仰々しい警備にはなりませんよ」

「それで行こうか」

とは言え、時間がない。直ぐに調整するにしても限界がある。それに、現地での同行者だが。

メリルが理想だが、彼女は今しばらく時間が掛かる。ティナを心配させたくないと言うメリルの願いは充分に理解できるし、兄として誇らしく思う。

「明日については私が現地で対応しましょう。イエローストーン国立公園でしたな」

「頼めるかい?ジャッキー」

「お任せを。直ぐに飛行機で現地へ向かいます」

どちらも西海岸の近くだ。東海岸にあるワシントンからは距離がある。今出れば明日に間に合うだろう。私は現地警察などに手配をしなければな。

ティナだよ。異星人対策室に来て早々何度目かの土下座を敢行した私。なんだか謝ってばっかりな気がする。まだまだやらかしそうな自分にちょっと憂鬱になったの秘密だよ。

さて、いよいよフェルと一緒に地球を観光することになってジョンさんとその打ち合わせをしてるんだけど。

「現地集合ですか?」

「ああ、警備の問題を考えてもそれが良いとの結論が出てね。現地には異星人対策室のスタッフが待機しているし、現地警察機関が然り気無く君達を護衛することになってる。だから、気にせずにゆっくりと地球を楽しんでほしい」

仰々しいのが苦手な私に配慮してくれたんだろうなぁ。その気になれば二人きりで満喫する手段はいくらでもあるけど、ジョンさんと達の行為に甘えよう。合州国とは仲良くしていきたいからね。

「分かりました。集合場所と時間さえ教えてくれたら、現地で合流できるようにしておきますね」

ギャラクシー号を使う?いやいや、うちにはチートのフェルが居るんだ。目的地のデータや画像があればフェルは地球上何処にでも転移できる。

……やっぱり転生者だったとか、そんなオチは無いよね?

「予定では、最初の訪問先はイエローストーン国立公園だよ」

おっ、前世で名前だけは聞いたことがある。

「どんな場所なんですか?」

フェルも興味津々だ。

「それは現地についてからのお楽しみにしようじゃないか。なに、後悔はさせないよ」

「楽しみにしています。フェル、明日の楽しみにしようよ」

「ふふっ、分かりました」

イエローストーン国立公園かぁ、今から楽しみだなぁ。遠足前の子供みたいに心がときめくよ。ワクワクしてる。

星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~

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