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『……っふう…ふ…ッ』
ぶわりとフェロモンが体を纏う
息も荒くなってき、呼吸がしずらい。
俺の奥が疼いて堪らない
早く、αがッ、αがほしい…っ
「っ…なんだこの匂い」
「やべえめっちゃ興奮するんだけど」
『…っ、!』
体がビクリと震える
そうだ、ここは人がいる。襲われかねない
早く、人がいない所に逃げないと_______
足がもつれてあまり早く動けない
奥が疼いてたまらない。誰でもいいから早く、_______
「…雲雀?」
『_______え、』
泣きながら去っていた雲雀の姿が頭の中で再生される。
『……っ、はぁ……』
保健室の椅子に乱暴に座り頭を抑えた
雲雀を傷つけた、そりゃそうだ。好きな人が侮辱されたらイラつくし、もし僕も雲雀の事を侮辱されたら気が気ではないだろう
『……なに、やってんだ俺…』
グシャッと髪をかきあげる。数秒前の自分を殴ってやりたい、ボコボコにしたいくらいだ
『……?なんか、…うるさいな…』
その時、外が騒がしいことに気付いた。
慌ただしいというか、そんな感じ
流されるように椅子から立ち上がり保健室から出ようとする。
一歩
二歩
三歩_______
_______フワッ
『ッ…!?』
甘い匂いが鼻腔を満たした。ドクンッと心臓が震え、今にもΩを犯したい気分に駆られた。
_______なんだ、これ
目眩がしそうなほど目の前が揺れる
こめかみが痛い。顔を顰めて鼻を塞ぐように腕を前に持ってくる
が、あまり意味がない。柔軟剤の匂いをくぐり抜けて甘い匂いが僕の鼻に入り込んでくる
とりあえず、離れよう
その時、少し離れた男子の会話が耳に飛び込んできた。
「…ッ、これΩのヒートの匂いだよな、…やっば、俺ちょっと離れるわ」
「俺も離れよッ、てか意外だよな_渡会がヒート起こすの」
『______________…は?』
戻ろうとした身体がピクリと止まる。
“渡会”_______って、雲雀か?
その言葉を認識した途端、身体が無意識に動いた。
廊下を走り抜け、ヒートの匂いを頼りに雲雀をさがす。進んでいくたびに匂いがどんどん強くなる
雲雀は、大丈夫だろうか
襲われてないだろうか
考えれば考えるほどに冷や汗がブワリと滲む。
息も荒くなってきたその時、
遠くで、甘い匂いを未だに振り撒いて辛そうに呼吸をしている人物を見つけた。
『ッひば______________』
「…雲雀?」
僕の声は他の声によって遮られた。
「…え?………ッ早川、先輩…?」
『_______っ、』
思わず、壁に隠れる。
雲雀からは数メートル離れていて会話もかろうじて聞こえる距離。
早川先輩を呼ぶ雲雀の声が嬉しそうで思わず息を呑んだ
「…っ、、せんぱ…っ、熱い、ッ…」
嫌だ、そんな声色で早川先輩を呼ぶな
「雲雀、とりあえず離れようか」
「…ッぅん、」
ガクンと膝から崩れ落ちる
まあ、雲雀は早川先輩の事が好きだし_____雲雀にとってはこれがハッピーエンドなのだろう
『…ッ、…』
吐き気が込み上げてき、思わず口を塞ぐ
運命の人は俺じゃない
結局αになっても_運命の番になることはできない。意味がなかった。αになっても結局、こうなるのか
早川先輩の細い指が俺の腰に回る
頭がクラクラしてそれをも快感と受け止めてしまい、口から声が漏れる
「雲雀、大丈夫?」
『……_かな、と…』
「…………え?」
『かなと、の、いえっ…いきた、い…』
口から漏れた言葉の意味もわからない。その言葉を聞いた先輩は、一瞬なんとも言えない顔をした後、いいよ。と言ってくれた
早く早川先輩が欲しいのに、俺の頭はそれを拒んでいた。
早川先輩に支えられながらフラフラとした足取りで廊下を歩く
_______なんで、
『……なんできて、くれんの…』
_______________奏斗、
コメント
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先ほど読み始めたばかりなのですが、本当に本当に好きです😭😭 ヒートを前に、KNTの一人称が「俺」になっているのが、本能を抑えきれていない感じがして大好きです🥲 フォロー失礼します❣️
続きが気になる😭
大好きです;;