___何分経ったのだろうか
動く気にもなれなくて、1人誰にも見つかりそうもない場所でしゃがみこむ
もうすぐ一限が始まるというのに、俺は何をしているんだろう。
いっそ、このまま早退してしまおうか
「なーにしてんの。奏斗」
『…え、…………セラ、』
ふと、聞いた事のある声がして顔を向けると赤い色の綺麗な瞳と目があった。
俺がビックリしている間にもセラフは静かに横を陣取り、軽く背伸びをした
『なんで、セラがここにいんの?』
「奏斗こそ。サボりなんて珍しいね」
『……いや、別にサボりとかじゃ…』
それっぽい言い訳が思いつかず、黙り込んでしまう。その間もセラフは何も言わずに僕の隣に座っていた
『……ひばと、喧嘩しちゃってさ』
「え雲雀と?」
『うん。…まあ僕が一方的に言っちゃったみたいな感じだし、雲雀は今頃早川先輩と、いるだろうし』
「…ん?ごめん、話の筋が見えないんだけど」
セラフはよくわかりませんというように頭を捻って僕に問いかけてきた。僕も話す順番がめちゃくちゃな事は自覚しているけど、今はそんな事を考えられるくらい脳が機能していなかった
『セラ、俺、どうしたらいいんだろ…』
自分の不甲斐なさにどうしようもなくイラついて、惨めで、膝に顔を埋めた。
ああ、ダッサイな。俺、
「……あんま分かんないけど、今日はもう帰ったら。そんな状態じゃ考えようにも考えれないよ」
『…はは、まあ、そうだね。こんな状態じゃどっちにしろ無理か、』
セラフの正論が妙に胸に突き刺さる。なぜか泣きそうだ、ああ、駄目だ。今日は本当に色々おかしくなってしまったのかもしれない。セラフの言う通り、もう帰った方がいいのかもしれない
「鞄、取ってこよっか俺が」
『…もしかしてセラって僕の考えてる事分かってたりする、?』
心を読まれているのかもしれない。少し迷ったがセラフの言葉に甘えて鞄を取ってきてもらう事にした。セラフは「りょ」と言ってそのまま凄いスピードでどこかへ消えて行ってしまった。
あまりの速さに少しだけ笑いが溢れる。
セラか来てくれてちょっと元気が戻ったような気がした。…明日、謝ろう、雲雀に
フラフラした足取りで、奏斗の家の前までつく。前にヒートが来た時自由に入れるようにって奏斗に貰った合鍵を使って扉を開けた。早川先輩は少し驚いたような顔をして、その鍵を見ていた。
『…あ、りがとござ、ぃました。…俺、1人で、大丈夫、なんで、ッ…』
「っちょ、ふらついてるじゃん。大丈夫だよ、俺も学校休むし」
その言葉につい甘えてしまいそうになるのを我慢して、首を横に振る。先輩は番がいるし、こんな俺のために世話を焼いてほしくない。こんな姿、早川先輩に見せたくない、
『ほ、んとに大丈夫、なんでッ、…先輩は、番さんのこと、大事にしてやってください、…ッ…ごめんなさい、』
「っちょ_______________」
先輩の言葉を無視して、半ば無理矢理 扉を閉じた。その瞬間、また凄い濃いフェロモンが自分の身体から出た。必死に我慢していた分、反動が来てしまったのだろう。
さっきより格段に奥が疼いてきた。濡れている感覚がして気持ち悪い、早く、早くαが欲しい
その瞬間、奏斗のベットの上にある洋服が目にこびりついた。導かれるようにしてベットに近づく。_ふわっと、鼻腔に奏斗の香りが入り込んでくる。いや、部屋全体が奏斗の香りに包まれているのか、
『ぅッ…ふぅ〜ッ♡、…ふっ、ふーッ…』
我慢出来ないというように俺の奥が寂しげにきゅうきゅうと、鳴いている。やっとの思いで奏斗のベットの上に乗り近くにあった洋服に顔を埋める。先程とは比べ物にならないくらいに奏斗の匂いが頭の中を満たした。
『…んっ…は、ッ…♡、っ…ぅ…』
ギシギシとベットが鳴る。無意識のうちに腰が動いていたようで、俺のズボンにはシミができていた。あたりの服を自分の周りに置いて、その中にくるまるように蹲った。
俺がヒートを起こした時は、ずっとそばにいてくれてたのに、辺りは怖いほどに静かだった。奏斗の声も体温も、ここにはない。
『…か、なと…ッ…ぅ、…かぁと…っ、』
___やだよ、奏斗、マリさんのとこなんか行かんで、
考えたら考えるだけ辛くなり、 ギュッと
服を握りしめる。奏斗の匂いがまた香った。だけど今はそれだけで悲しくて、思わず涙が溢れた。グリグリと頭を押し付ける、_これが奏斗なら、なんて、何考えてんだろ
『…っ、ぅ……ッあ、…ふ、』
「〜〜〜〜〜。〜〜?」
「〜〜〜。」
その時、ドアの向こう側から誰かの声がした。
『か、なと…?………ッ、』
俺の耳は風楽奏斗だと、認識したそうで、自然と身体が動き玄関まで走っていた。
セラフが鞄を持ってきてくれ、そこでお別れだと思ったら、「途中で泣いて車にでも跳ねられたりしたら困るから」と意味が分からない理由をつけられ、そのまま一緒に帰る事にした。
適当に駄弁りながらアパートまで歩く。
話していたらすぐ家に着いたようで、セラフと一緒にアパートの階段を上り部屋の前まで歩く。その時、ほんのり甘い匂いがするのに気づいた
『え、セラ。なんか甘い匂いしない…?』
「甘い匂い…?いや、しないけど」
気のせいだろうか、いやでも僕の鼻にまたフワリと甘い匂いが入り込んできた。少し首を傾げるが気にしない事にして、いつも通り家の鍵を取り出してドアを開けようとした。
___その時だった。ドアが、勝手に開いたのは
『_________ぇ、』
思わず声を溢した瞬間。何かが俺に抱きついてきた。その瞬間、ブワリと甘い匂いが周囲に漂う。
セラフもビックリしたように瞳を見開いていた。まあ、そうだろう___だって、抱きついてきたのは他の誰でもない、雲雀だったからだ
「か、ぁと…ッ、…ぅ、ふぅ、はや、くッ」
『ッ…雲雀___、?』
コメント
9件
マジでうま過ぎませんか!? 毎回LuNaさんの作品楽しみにしてます! 本当に神、尊い、最高、いくらでも待つ 頑張ってください!!!好きです!!!
更新早すぎじゃないですか!?それでいてこのクオリティすごすぎる‼️まじで書き方上手すぎて感情移入しまくってなんともいえない感情が湧き出てきてやばい、、、。次回結構流れが変わりそうでめっちゃ楽しみです🔥でも完結してほしいけど続いてほしい...って思ってなんか複雑です🥹︎これからも頑張ってください!!!いくらでも待ってます🎶