テラーノベル
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視界にうつったのは、血まみれの、光が入ってない目をした、彼女の姿。刺したナイフも血だらけでたれていた。
こんなことをしたかったわけじゃないけれど、裏切られるのが怖くて、離れてほしくなくて刺した。そうすれば、どこにも行かないと思った。
何をすることもできないままその場で立ち尽くしていると、外からサイレンの音が鳴ってきた。
数分前、彼女を刺そうとしたとき、反抗するためにたくさん奇声をあげられたから、隣人がそれを聞いて通報したのだろうと思う。
ぼくも、彼女のところに逝こうとしたのだけれど、手が震えて、刺せなかった。
何もできないまま警察は部屋にやってきて、捕まった。
レンには、レミという名前の、1歳年下の彼女がいた。
彼女は素直じゃなくて、俗に言うツンデレってやつだった。ツンが強めの。
レンがそんな彼女を嫌うことはなかったけれど、レミの方はどうだろうか。
付き合ったばかりの頃は、好きだとかそういう言葉はたくさん言ってくれたけれど、何年も経てばそんなことはなかったかのように変わった。
素直じゃない上に最近は同級生の男の人と隣で歩いていることも多かったし、別れたと言っても同然だったのかもしれない。
それでも、彼女がそんなでも、レンが嫌うことはなかったし、昔から変わらなかった。
気持ちは変わらずにいても、心の中では不安なところがあった。冷められたのかなだとか。
毎日思い詰めるたび、胸焼けした。
陰キャっぽくて、愛想もない僕をただ好きになってくれたのは、たったひとり、レミだけだったから。
レンは、そんなレミを大切にしたかった。
レミのために尽くして、行動して、
それでも、レミはレンをもうそうしてくれることはない。
僕には見せてくれない笑顔を他の人にはみせて、僕には八つ当たりしてばっかりだ。
確かにレミに悩みを抱え込んだりしてほしくはなかったけど、レンが見たかったのはこんな顔じゃなかった。
久しぶりの2人でファミレス。
レンはとても楽しみにしていたけど、レミはそうじゃないようで、学校で嫌なことがあったみたい。話を聞いたら、同級生の男子に見た目を馬鹿にされただとか。
レンも同情して慰めるけど、それは逆効果みたいで、よりレミを不機嫌にさせた。
レンはレミに思うことがあったけど、最近ずっとこうだから、何もいえなかった。
最近の態度を改めてほしかった。
隣の席の恋人は楽しそうに話をしている。
レンはそれが羨ましかったけど、そのようには行かない。
「あのね、気持ちは分かるんだけど…ここはさ、ファミレスだからあんまり他の人が迷惑に思うようなことは…」
「なに?!じゃあレンが全部どうにかしてくれるっていうの?!学校の嫌な人も、嫌なことも、全部!」
自分だって、そりゃあどうにかしてあげたいとは思う。けどそんな無理なことを言われたって、反応に困るだけだった。
「黙りこくって、なんなの?」
「もういい!わたし帰る」
どうして、こうなんだろう。
昨日あんなことを言っていたのに、またレミはレン以外の男子と隣で歩いて、笑ってる。
レンはきっと、 もうストレス発散するための道具でしかないのだろうか。
レンはずっと思い続けて、我慢してきた不満が爆発した。
レミのところに向かって、腕を強くつかんだあと、家に連れ込んで。
そんなレンにレミも怯えたようで、ごめんという。
けれどレンにとってそんなのもうどうでもよかった。謝ったって、きっとかわってくれない。
その後ナイフでレミの身体を刺して、刺して、レミはそのたびにごめんだとか、助けてだとか言ったけど、レンの手は止まらない。
レミが何も言わなくなったあと、レンは刺す手をとめて、ナイフと、血まみれになったそのレミを、ずっと見つめるだけだった。
警察がレンのところにやってきたあとは、レンは捕まった。そしてレミはそんなレンを天から、複雑そうな目で見つめた
多分続く。
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