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もちぷよ
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#山中柔太郎
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コメント
2件

私も一緒に泣きそうでした😭 外に慣らすって言ってもすぐ始めちゃ逆効果だったろうし、🩷が守ってた期間も💛💙のアプローチも🤍の幸せに繋がってて嬉しいです🥹 5人とも本当にかっこいい✨️
〜佐野side〜
背中を向けた太智の言葉が、嵐のあとのように静まり返ったリビングにずっと残っていた。
本当に太智の言う通りだった。
俺は柔太朗を守るふりをして『無害なお兄ちゃん』という都合のいい仮面を被り、彼を暗い部屋に閉じ込め、自分だけの世界に囲い込んでいただけなのかもしれない。
そしてそれは、俺の身勝手な『独占欲』だった。
確かに、今の柔太朗は俺がいないと生きていけないし、一人では呼吸をすることすらままならない状態だ。
俺が柔太朗を守っているつもりになっていたこれまでの期間、柔太朗は一歩も前に進めていなかったんだ。
……このままじゃ、ダメだ。
柔太朗を、もう一度外の世界へ連れ戻さなくてはいけない。
太智に釘を刺されたその翌日から、俺と柔太朗の、本当の意味での奮闘が始まった。
「柔太朗。今日さ、ちょっとだけカーテン開けてみない?」
朝食のスープを飲み終えた彼に、俺はなるべくいつもの穏やかな声をかけた。
それだけで、柔太朗の身体がビクッと強張る。
リビングの厚手の遮光カーテン。
その布一枚の向こうにある外の世界を、彼は何よりも恐れていた。
「大丈夫。俺がずっとここで手を握ってるから。ほんのちょっとだけ、ね?」
俺は彼の細くて冷たい手を、両手で包み込むようにギュッと握りしめた。
そして窓際へ近づき、ゆっくりとカーテンの端をつまんで、ほんの3センチだけ隙間を作る。
そこから細いナイフのように差し込んできた朝の光に、柔太朗は眩しそうに、そして怯えたように目を細めた。
外の道路を走る車のエンジン音が遠くから聞こえた瞬間、柔太朗の指先が白くなるほど俺の手を握り返してくる。
過呼吸が始まりそうな彼の背中を優しく摩りながら、俺は「よく頑張った。終わり!」と言って、すぐにカーテンを閉めた。
最初の日は、わずか5秒。
次の日は、10秒。
その次の日は、窓を数センチだけ開けて、外の空気を胸いっぱいに吸い込む練習。
本当に、本当に小さな進歩を積み重ねる毎日だった。
もちろん、順調な日ばかりじゃない。
少し調子が良くて、窓際まで二人で歩けた翌日には、深夜に激しいフラッシュバックを起こして、柔太朗がベッドの中で頭を抱えて泣き叫ぶこともあった。
ガタガタと震えながら「ごめんなさい、ごめんなさい」と、あの日の恐怖に怯える彼を、俺はただ無言で、夜が明けた後も抱きしめ続けた。
そんな日は、また最初からやり直しだ。
一歩進んでは、二歩下がる。
そんなもどかしい日々の繰り返しに、俺だって焦りでどうにかなりそうだった。
休職期間の残り時間が、砂時計のようにサラサラと減っていく。
だけどあの日、俺を真っ直ぐに叱ってくれた太智の顔を思い出すたびに、傷付けてしまった仁人の顔を思い出すたびに、「俺が諦めてどうするんだ」と胸の奥の弱音を必死に叩き潰した。
ここで俺が諦めたら、柔太朗は一生この部屋から出られなくなる。
だから優しく、だけど決して引かない。
彼のこれからの人生のために、俺は彼の『一番の味方』であり続けようと決めていた。
季節は巡り、閉ざされた部屋の中にもかすかな冬の気配が忍び込み始めた頃。
「佐野さん……」
お昼過ぎ、キッチンで片付けをしていた俺を柔太朗が呼んだ。
振り返ると、彼はいつも座っているソファから立ち上がり、自分の足でゆっくりと窓際へ向かって歩いていた。
俺は慌てて駆け寄り、彼の隣に並ぶ。
柔太朗は、自らゆっくりとカーテンを大きく開けた。
ガラス窓の向こうには、どこまでも広がる冬の青空。
柔太朗はその光をしっかりと瞳に受け止めながら、窓のクレセント錠に手をかけ、ゆっくりと横に滑らせた。
冷たくて澄んだ風が、二人の前髪を優しく揺らす。
「佐野さん……。俺、ベランダまで歩けたよ」
ベランダの手すりに手を置いて外の空気を吸いながら、柔太朗が少しだけ誇らしそうに、だけど本当に嬉しそうに俺を見上げて笑った。
「そうだな……。すごいじゃん、柔太朗。めちゃくちゃ…っ、すごい、」
あぁ危ない。
声が震えそうだった。
胸の奥が、熱い涙でいっぱいになる。
柔太朗は確かに、自分の足でもう一度この世界に立ち向かおうとしていた。
to be continued……