「いいえ、夢は危険なものよ」
「ちょっと、姉さん! それからディオも!……困ったわね」
ディオと霧画の討論は尽きることがないと判断した呉林は慌てて仲裁に入った。
ディオの考えは余りにも深さを探求するような考え方だ。まるで、言語や論理の梅を泳いでいるみたいだった。
呉林は今度サイダーを買ってあげると言いながら呉林姉妹は顔を見合わせ、
「話の続きをしましょ。ええと。私たちは眠っていながらどこかの場所で、この白い城の食事を食べていたというわけね」
呉林は真剣な眼差しをディオに向ける。
「そうじゃ。五感が勘違いをしている訳じゃなく、現実の世界で体験をしているのじゃ。眠ったままでな……」
霧画はハッとして、
「その仮説だと確かに恐ろしいわ。その通りなら、死んだら終りね。精神が歪み過ぎているから、とてもじゃないけど精神が持たないわ」
「そうじゃろう。だから夢の世界で死んではならん。わしの友人も姿を消した」
「ご友人がいたのね。お悔やみ申し上げます」
呉林は静かに言った。
「でも、ディオの仮説と私たちの仮説を合せると、やはり南米に何かがあるのは確かね。それも強大な敵もセットで……。そして、死んだりしたら助からないか……。これはまずいわね」
霧画は項垂れ、考え込んだ。いや、人生で一番の難局に出くわしたと言ったところか。
「そうね、姉さん。私たちはやっぱり後方支援しか出来ないと思うけど、頑張りましょう。私たち姉妹の力が必要な時はきっとあるわ」
呉林は俯いた姉の肩に手を置いた。それは美人姉妹の美しさを醸し出す。
「それと、ディオ。私も頑張って少し勉強したんだけど、ウロボロスという名の蛇がこの世界にいるはずなの。その蛇の話をしましょう。お姉さんも力を貸して」
呉林が最近の知識を出す。
「ウロボロスという蛇?」
ディオは流石に首を傾げる。……それもそうだと私は思う。
「蛇はグノーシス主義では、プネウマ的(霊的)な象徴なのだそうだ。或いは原初の混沌でもある」
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