ディオの淡々とした言葉に、私は参った。首を傾げたのは知識を持っているのに意外だったからか……。いや、ウロボロスの蛇自体は知らないだけだ。
「ええ……あ、あれ……?」
今度は少し勉強不足の呉林が参ったようだ。
「そうね。恐らく今のウロボロスの蛇は神聖なプネウマ的なものではなく、原初の混沌だと思うわ。シャーマンがそうしたとも言えるのよね。ウロボロスには意志があるのよ。シャーマンが何らかをして……その意志を悪い方へと変えたのね。結論を早めると、私たちはその悪い意志を持った夢と現実を司る怪物……いえ、神のウロボロスの蛇を、何とか目覚めさせないようにしないといけないのよ。その蛇は今は原初の混沌だから、それを完全に目覚めさせると強力な夢の力で、この世界の現実を破壊する意志を持っている……と考えれるわ」
背筋をピンとしていられるのは、やはり霧画のすごいところだろう。
「そうか。それは厄介じゃな……ウロボロスの蛇か。夢と現実を司る……じゃがどうやって完全に目覚めたら眠らすのじゃ」
「それはシャーマンたちの力で……。後は赤羽さんの力なら……」
霧画は少し考える。最後の言葉は尻つぼみとなった。
「とにかく、何とかしないと」
呉林が呟く。
「でも、どうやって何とかするのかな」
私の何気ない発言に、
「それはすぐに解る」
そう言うと、ディオは階下を指差した。
階下へと続く階段を降りると、そこには広大な訓練場があった。勿論、戦いに備えられる。
「相手は好戦的な人ね」
呉林が唸る。
「そうね。どんな人なのかしら。私、夢の世界は多分これが初めてだけど、さっきの食事といい。こんなにリアルで凄いなんて」
霧画が恐怖を覚えて呟く。
「南米のどこかの部族のシャーマンなのだから、恐らく好戦的な性格の部族なのじゃろう。赤羽くん。気を付けるのじゃぞ。相手は本気だ。ここまでするのだから、本格的に叩き潰しにくるじゃろう」
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