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消える町

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消える町

2 - 第2話 町

2025年08月31日

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確かめずにはいられず、僕は走った。

近くのコンビニへ駆け込むと、自動ドアが「ピンポーン」と無人の空気に鳴り響いた。

蛍光灯が明るすぎるほどに光り、陳列棚にはパンや弁当が整然と並んでいる。

冷蔵ケースのファンが低い唸り声を立て、揚げ物コーナーからは油の匂いが漂っていた。

だが、店員はいない。

レジには小銭が散乱し、レシートが半分吐き出されたまま止まっている。

レシートには「午前7時32分」の時刻が印字されていた。

まるで、数十秒前まで会計をしていたかのように。

おでんの鍋からはまだ湯気が立ち、たまごがぷかぷか浮いている。

誰かがここにいた。

だが、突然消えた。

僕は息をのんだ。

目の前にある「生活の痕跡」と、そこにいない「人間」との矛盾が、頭の奥をじわじわと締めつける。

気がつけば僕は街中をさまよっていた。

駅前。

ロータリーに止まったバスのエンジンはかかったまま、窓ガラスの中は空っぽ。

アナウンスは「次は……」で途切れ、スピーカーから細く途切れた雑音だけが流れている。

学校の校門をのぞくと、校庭に転がったボール。

教室にはノートや筆箱が机に広がり、黒板には「数学テスト」と大きな字で書かれている。

途中で止まったままの授業。

交差点では車が信号を待っていたように並んでいるが、ハンドルを握る人間はいない。

青に変わっても誰も発進せず、ウインカーがカチ、カチ、と無意味に点滅し続ける。

街はまるで一瞬にして時間が止まったようだった。

ただし、止まったのは「人間」だけ。

僕は喉がひりつくほどの乾きを覚え、声を張り上げた。

「誰か……! 誰かいないのか!」

叫びは高層ビルに反響して返ってきたが、それ以上の返事はなかった。

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