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執務室の扉が、バタンと閉じる。
矢野さんがいなくなった部屋は、急に明かりの光度が落ちて、室温も下がったような気がした。
ガシガシ頭をかいて、執務机のイスに座る。
「余計なことまで話したかな……」
婚約パーティー終了後に矢野さんをここへ連れてきたのは、誰にも邪魔されない場所でちゃんとお礼を伝えたかったからだ。
それと、
俺が『非情の狼』と呼ばれていることも一度ちゃんと話しておきたかった。
正式に矢野さんがリタ・スクラインとして王の婚約者であると周囲に認識されたら、
今まで以上に俺――ユージーンの話を聞くことになるから。
そうでなくても、俺が周囲にどう思われているかを目の当たりにさせて、苦し気な顔をさせてしまっている。
（この先、そのことで矢野さんが気に病まないようにしたかっただけなんだけどな……）
『甘かった』なんて、言うつもりはなかった。
周りに合わせるために珍しく＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
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