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私
の名前は小鳥遊優衣。ごく普通の女子高生……だったはずなのだけれど、ある日突然謎の美女から「君には魔法少女の才能があるわ!」と言われてしまいました! さらに彼女曰く「その才能を活かして悪の組織と戦って欲しい」とのこと。
もちろん最初は断ったのですけど、「もし引き受けてくれるなら何でも言うことをひとつ聞いてあげるわよ?」という言葉に惹かれてつい承諾してしまいました。
さすがに危ないと思ったのか両親からは猛反対されちゃいましたが、結局最後には折れてくれまして。こうして私は、生まれて初めて出来た親友と共に、正義のために戦うことになったのです―――。
***
「じゃあ早速だけど、今日はこれを着てみてくれないかしら?」
そう言って彼女が差し出した紙袋を受け取ると、私は中身を取り出した。中に入っていたのは白を基調としたワンピース型のコスチュームとニーハイソックス、それに真っ赤なマントだった。
彼女は続けて言った。
「それを着て『魔法少女』になって欲しいんです!」
「……えっと?」
突然の提案に戸惑う私に対して、目の前の少女――藤川姫乃さんは真剣そのものと言った表情を浮かべていた。
事の始まりは数分前に遡る。
***
今日もいつも通り学校から帰宅してすぐ、私は部屋のベッドの上に寝転んでいた。
特に何かをするわけでもない。ただボーッとしているだけだ。
(あー、退屈)
いつもと同じ朝、同じ景色、変わらない毎日。
そんな生活の中でふと思ったんだ。
(何か刺激的な事起きないかなぁ~)
「おっ!あれは?」
目の前には小さな女の子がいた。
『うわぁ……迷子?』
少女はとても困った顔をしていた。
それもそのはずここは人通りの少ない道なのだから。
『大丈夫ですか?』
「うん、ありがとう」
そう言って少女は立ち去った。
『ん?待てよ?あの子は確か……』
少し考えた後、「さぁ?」と答えた。
「それは…………」
彼女は答えられなかった。
「君はまだ若いからね。これからいくらでも素敵な人と出会うよ」
そう言って微笑む彼の顔を見て、なぜか胸の奥がきゅっと痛んだ。
「私じゃだめですか!?」
気がつくと私は声を上げていた。
「え?」
彼は驚いていたけど、私は言葉を続けた。
「私はあなたが好きです!」
その瞬間、私は自分が何を言っているのかさえわからなかった。
しかし、私の口から出た言葉を聞いた途端、今まで見たこともないほど恐ろしい形相になった。そして、こう言った。
「お前には失望したよ」
それは別れの言葉だった。
私が言いたいことは一つだけ。『愛してる』。それだけなのに……。
いつもと同じ朝が来るはずだった。ところが、今日に限って目が覚めるなり、強烈な違和感に襲われた。ベッドから飛び起きて部屋を見回しても、何も変わらない。窓の外を見ても、いつも通りの風景が広がっているだけだ。しかし、それはどこかおかしい。まるで何かが違う気がしてならない。
その正体を確かめるべく、俺は急いで支度を整えた。身だしなみを整える暇さえ惜しんで玄関へ走り、靴を履いて外へ飛び出す。それから自転車に乗って、町中を走り回った。通勤通学中の人たちの間を縫うようにして進みながら、辺りの様子を窺ったのだが……やっぱり違う。目に映るものすべてに対して、強い違和感を覚えるのだ。
しばらく走っているうちに、自分が何を気にしているのか分かった。俺にとって一番大事なものが失われていたからだ。大切な人が側にいないことでこんなにも苦しむなんて思いもしなかった。だから俺は立ち止まってしまったんだ。今まで気づかなかったけど、それは本当に重要なことだったんだ。この道を選んだことに後悔はないけれど、あの人のことを想うと胸が締めつけられるように痛くなる。もう二度と会えないかもしれないと思うと、足下が崩れ落ちそうなほど恐ろしい。
人生は長いようで短い。だけど今の自分にはその時間があまりに短すぎたようだ。
さようなら、愛しい人よ。君の幸せを願っています。