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平氏が敗れ、安泰が訪れたかと思えば国の統治は京の都ではなく東へ移動し、政は天皇家ではなく武士が行う時代へと突入した。もちろん菊は新しい上司の方針に沿わなければならない。姿を一新とした菊は縁側にいた桜に後ろから問いかける。
「鎌倉という地へ行くことになりました。桜。行きましょう」
輿などはもう使わず、歩きやすい履物を用意されていた。着物も十二単などと重く動きにくいものでは無い。桜は俯いた。
「,,,,新しい都にも、奥様がいらっしゃいます。政子様というお方です」
「でも、私が本来仕えるべきではない家だわ」
「これから政を行われる地へ行くのが私たちのお役目なのです」
宮の庭で言い合っているとふわりと桜の顔に着物の羽織が覆い被さる。振り向くと洛がいた。絶えない火事の発生からか、顔は少しやつれ火傷の跡が残る。
「うちのことは気にせんといておくれやす。天皇家もうちが守る。どうか,,,,日ノ本をよろしゅうおたのもうします,,,,」
桜に抱きついた姿を見せたかと思えば、次に長身を見せそして、深々と頭を下げる洛の姿に2人はあわあわとする。しかし、顔を見合わせ桜が洛の頭をなで、菊が顔の正面へ移動する。
「ありがとうございます洛殿。再び天皇家に光が戻るまで、お願い致します。」
「当たり前どす。気ぃつけておはようおかえりやす。」
「,,,,,,ねぇ見て菊。海が見えるわ」
「そうですね。都とは違う、また良い青です」
「ずっと、都にいたから分からなかった」
「はいそうでしょうね。いいものでしょう?」
菊はそうして桜の顔を覗いたが、桜は変わらず海を眺めるだけであった。ふぅと息をつきながらも菊は桜の手を取った。
「行きましょう。鎌倉へ」
鎌倉へつくと、大勢の武士が出迎えてくれる。そこで菊と桜は別れた。
「また後で」
「ええまたね」
桜は長い廊下を女中とともに歩いていた。あまりにも暇で桜は話しかける。
「ねぇ貴方」
「は、はい。如何なさいましたでしょうか,,,」
「,,,ここはひどく静かね。京の都は華やかで賑やかであるのに」
「そうですね,,,一番の理由としては、その」
女中がよそよそしく奥の部屋をチラチラとみている。その反応に桜は動揺し、気にしないでと声をかけるも女中は嫌しかしと口を開かない。そうしたところでサッと襖が開く。その様子に女中はすぐに膝まづいた。
「そんな廊下で話さず、こちらへいらっしゃいな御国殿。あら,,,なんとも麗しい姫のようですわね。」
現れたのは現将軍の妻、後に尼将軍と呼ばれる【北条政子】であった。そして政子は歩み寄り顔をあげている桜の頬に手を当てた。
「少し、お話しませんか?」
女中が下がりより静かになった室内では政子に対して桜が少し睨みをきかせた視線をあびせていた。それなど関係なしに政子は話す。
「天皇はいらっしゃりませんのに、鎌倉へお越しいただけたのですね」
「えぇ菊についてきたのです。」
「菊、あちらの方も良い名ですね」
「そうでしょう」
「どうですか?鎌倉は。よい空気がより澄んでいることでしょう」
「都ほどではありませんが」
政子は少し静かになる。
「,,,,,菊は将軍の元で働くのですからこの政権が続く限りここにいるでしょうけれど私はこのに留まることはいたしません。先程あなたがおっしゃったように私は天皇の側仕えであるのですから」
「なんとも,,,,,聡明な方ですね。それでこそ大和撫子とでもいったような,,,,,」
「,,,,,あなたも聡明ではあるのでは」
「御国ほどではありませんよ」
口に手を添えて笑っていた。そしてズイっと桜に近づく。
「それではしばらく菊様にお会いになられることはないでしょうね」
「,,,,,どういう意味かしら」
「私たちは栄華を誇り続けるのです」
政子は海を向いた。
「この大和が海の向こうの国に認められる,,,,,そんな素晴らしい時代がくるまで,,,,,」
「聞き捨てならないわね。ずっと将軍がこの国の命運を握るとでも?」
「当たり前でしょう?」
「!」
「天皇は軍を【きちんと】動かせないじゃないですか。,,,,,京へお帰りになられるのなら法皇様にお伝えください」
「時代は変わるのです」
「,,,,,なんですって」
「王が治める時代は終わるのですよ御国様」
「なんと無礼な!取り消しなさいその言葉」
「棄却致します」
「,,,,,っ!」
桜は身なりを整え出ていこうとする。しかし、後ろからまた静かに声が聞こえた。
「あなたが1番分かっているでしょう?女には待つことしかできないのですよ。もしなにかできるとしてもそれは、男の手助けしかできないんです」