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──そしてついに。3人は神々の座、山の頂を踏みしめる。不思議と風はやんでいた。
眼下に、これまで登ってきた漆黒の山脈と、その先に視界の果てまで続く、純白の大地が広がっていた。
白い図面に筆を置いた直後のような光景。
ここから世界創造が始まるのではないか、と勘違いさせるような、原始的な風景。
推定標高10363m。
地球上の最も高い位置に、今、君たち3人はいる。
全員「き、来たーーーー!!!!」
(ちなみにデスゾーンペナルティある)
黒(わ、ワンチャン気絶する…)
直央 7→6
凜々蝶、黒 5→4
直央「ぜ、全員満身創痍だけど、ついに…」
凜々蝶「色々あったけど、ついに俺たち、やりましたね…!!」
黒「本当に色々、ありましたね…」
黒「凜々蝶さんがぶつぶつ変なこと言い始めたり、梓さんが逆走して逃げ出したり…」
凜々蝶「いやもっといい思い出もあったでしょ!」
直央「コージーが死んだり…」
凜々蝶「いやコージーはまだ生きてるかもしれないから!」
凜々蝶「ははは…でも本当に俺たち、この狂気の山脈を…登り切ったんですね…」
黒「俺達、帰ったら有名人ですよ…!」
凜々蝶「ま、無事に帰れるかは怪しいですけどね。」
直央「でももうこの光景見たら、死んでもいい気がしてきた。」
直央「だって今いるのは、世界で1番天国に近い場所だもん…」
黒「そうだそうだ忘れちゃいけない!」
黒「俺はこの光景を撮るために来たんですよ…!!」
黒「直央さん、ポーズお願いします!」
写真を撮る。
黒「よし、我ながら素晴らしい写真…!」
凜々蝶「俺もブログに上げる写真撮っておこっと…」
写真を撮るが、上手く撮れない。
凜々蝶「あ、あれ、手がかじかんで上手く撮れなかった…」
黒「これが素人と玄人の差です。」
直央「うーん、折角だし俺も全員写る形で撮っておこうかな。」
直央「ほら、2人とももっとくっついて…」
凜々蝶「ちょ、直央さん、携帯で撮るんですかぁ!?」
凜々蝶「出発前、携帯で写真撮ろうとして失敗してましたよね?」
直央「ま、こんなの写ればなんでもいいでしょ。」
直央は、めちゃめちゃ素晴らしい写真を撮ることが出来ました。
黒(急に上手い…!)
そんな3人の元に無線が届く。
K2と梓から。
K2「『3人とも、無事か?』」
黒「お、すごいタイミング!」
凜々蝶「今、ちょうど登りきったところです!」
梓「『え、本当に!?』」
直央「こんなところで、嘘なんてつかないよ。」
凜々蝶「人生で最高の気分です…!」
黒「また、写真を見せますね!」
K2「『そうか、ついに登り切ったのか…』」
K2「『よかった。おめでとう。』」
K2「『悔しい気持ちがないと言えば嘘になるが、同時に今回のアタックの中まである君たちが登り切ってくれて、誇りに思うよ。』」
直央「K2、梓さん、俺達も君たち2人には助けられた。」
直央「最後まで一緒に来られなかったのは残念だけど、帰ったら名誉は山分けだ。」
黒「そういえば、誰か旗とか持って来てないんですか?」
直央「…凜々蝶くん、その友人のピッケルでも置いていったら?」
凜々蝶「そうですね、きっと友人も喜んでくれています。」
直央「俺も実はその友人の腕を…」
凜々蝶「ええええ!?!?」
凜々蝶「…ま、でも手記は持って帰ろうかな。」
黒「そういえば、こっからコージー見れませんかね?」
黒「双眼鏡持ってきてるんですけど。」
凜々蝶「見れるわけないよ…」
直央「あまりにも無謀」
そして黒が双眼鏡を覗き込んだ瞬間、グラりと、足元が揺れた。
ギシギシと音を立てて、山が鳴動する。
気づけば、ガスも上がってきている。
何か変だ。早く下山した方がいいかもしれない。
凜々蝶「まずい、帰りましょう!」
直央「嫌な気配がしてきた…!」
3人はすぐさま来た道を引き返す。