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あの夏。
あのちっぽけな田舎の小さな村で、
俺たちは出会った。
都会からこの町へ引っ越してきた俺は、まだこの辺りのことを何も知らなかった。
駅から家までの道も、近所に何があるのかも。
もちろん、明日から通う高校までの道なんて分かるはずもない。
)仁、大丈夫?1人で
💛母さん大丈夫だって、俺を何歳だと思ってんの?
💛じゃ、行ってくるね
スマホの地図を見ながら歩いていたけれど、さっきから同じ場所を何度も行ったり来たりしている。
💛「……ここ、どこ?」
地図を見る。
もう一度、周りを見る。
どこを見ても同じような田んぼと住宅。
💛「……やばい。完全に迷った」
途方に暮れていると、
遠くから自転車の音が聞こえてきた。
顔を上げると、制服姿の男の子がこちらへ向かってくる。
そのまま通り過ぎるかと思ったけれど――
🩷「……あれ?」
自転車が止まった。
🩷「もしかして、迷ってる?」
💛「……え」
突然声をかけられて、少し戸惑う。
🩷「さっきからずっと同じところにいるから」
💛「……見られてた?」
🩷「うん(笑)」
少し恥ずかしくなって、スマホを握り直す。
💛「〇〇高校に行きたいんだけど……」
🩷「ああ、学校?」
💛「うん」
🩷「それなら逆方向だよ」
💛「……え?」
🩷「こっち」
指を差された方向を見る。
💛「……嘘」
🩷「ほんと」
くしゃりと笑いながら言葉を続けた。
💛「地図だとこっちだったんだけど」
🩷「この辺、地図だけだと分かりにくいからね」
そう言って、その男の子は自転車から降りた。
🩷「俺も学校行くところだから、一緒に行く?」
💛「いいの?」
🩷「うん」
💛「……ありがとう」
自転車を押しながら歩き出す彼の隣を、俺も歩く。
しばらくして、彼が口を開いた。
🩷「もしかして、最近引っ越してきた?」
💛「そう。昨日」
🩷「やっぱり」
💛「なんで分かったの?」
🩷「この辺で見ない顔だったから」
💛「そっか……」
都会にいた頃は、知らない人にこんなふうに声をかけられることなんてほとんどなかった。
なんだか不思議だった。
🩷「名前は?」
💛「吉田仁人」
🩷「俺、佐野勇斗」
💛「勇斗……」
🩷「うん」
💛「じゃあ、勇斗って呼んでいい?」
🩷「いいよ。俺も仁人って呼ぶし」
💛「分かった」
それから少しだけ会話をしながら、学校へ向かった。
田んぼの間を抜けて、坂道を上っていく。
都会では見たことのない景色だった。
蝉の声。
遠くから聞こえる鳥の声。
そして、隣を歩く勇斗。
💛「……静かだね」
🩷「そう?」
💛「うん。俺が住んでたところ、朝から車とか電車とか、ずっと音がしてたから」
🩷「こっちは逆に、静かすぎるくらいだけどね」
💛「俺、まだ慣れないかも」
🩷「そのうち慣れるよ」
そう言って笑った勇斗の顔が、朝の光に照らされていた。
そのときはまだ、
この町で過ごす夏が、こんなにも大切なものになるなんて知らなかった。
そして――
隣を歩くこいつのことを、いつか特別に思うようになることも。
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𝄞⨾𓍢ִ໋🎧ྀི
ぜひ”いきのこり⚫︎ぼくら”を聴きながら読んでみて下さい…
𝕔𝕠𝕔𝕠
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コメント
2件
更新ありがとうございます‼️🫶🏻 めっちゃ好みです🥹💖
おー、第2話読んだよ!夏の田舎町で迷子になった仁人を、自転車から降りて一緒に歩いてくれる勇斗の優しさにほっこりしたわ。「見られてた?」「うん(笑)」のやり取り、ちょっと照れくさい感じがリアルでいいね。蝉の声や朝の光に包まれた静かな出会いが、これから特別なものになっていく予感がして続きが気になる!次の話も楽しみにしてる🔥