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朝。
約束はしてないのに、同じ時間に同じ場所。
ジョセフは広場に来たばっかり。
ふと、ベンチの方に行くと、見覚えのある顔が見えた。
「うーっす!偶然〜!!」
シーザーは、ベンチに座って新聞を読んでいた手を止めた。
「ジョジョの”偶然”は信用してない。」
「はー?ひっでぇ!」
ふたりは一緒に歩き出す。
理由はない。
街をぶらぶらして、市場を冷やかす。
ジョセフが勝手に試食品を食べ、お店の人に怒られる。
するとシーザーが、流暢なイタリア語で謝った。
「アラ、シーザーちゃん流石ねン。」
「まぁな。」
昼前。
路地裏の小さな店。
ジョセフがメニューを見て悩む。
「どれがいちばん美味い?」
「これだ。」
シーザーは即答。
運ばれてきた料理を眺める。
そして、一口食べる。
するとジョセフは目を見開き、
「うめぇ!!なんだこれ!やっぱシーザーは流石だなー!」
と、料理とシーザーを褒める。
シーザーは、当然だ、とでも言いそうな顔で、他の料理を食べている。
午後、ふたりは古本屋に入った。
ジョセフは本を手に取るも、数ページ読むとすぐ飽きてしまう。
多分内容もまともに読んではいない。
シーザーは、真剣に本を読んでいる。
「まだ〜?」
「…あと少しだけ読ませろ。」
「それ何回目よ〜。」
ジョセフは文句を言いながらも、シーザーの隣で待っている。
ようやく、本を読むのを辞めたシーザーが、ジョセフに詫びる。
「すまん、つい夢中になって読んでしまった。」
「いいよ〜ン、別に。」
ジョセフは少し拗ねて、そう返した。
シーザーは思わず笑ってしまった。
「は!?なんで笑うんだよ!」
「いや、ジョジョがあまりにも子供っぽすぎてつい。」
「は〜?子供じゃあねーし!」
「悪い悪い。」
シーザーは必死になって笑いを堪え、それにつられてジョセフも笑い出してしまう。
ふたりはしばらく笑いから抜け出せなかった。
夕方、ふたりは川沿いを歩く。
風が涼しかった。
ふたりはベンチに座った。
すると、ジョセフがいきなり言った。
「なぁ、俺たち今日何した?」
シーザーは考え込む。
「……特に何もしてないな。」
「だよな。…でも、悪くない。」
シーザーは黙っている。
ジョセフも、口を開かない。
完全に沈黙。
でも、全く気まずくない。
そうしてるうちに、日が沈みはじめてしまった。
ジョセフが勢いよく立ち上がる。
「腹減った!メシ食い行こーぜ!」
「それはいい案だな。」
シーザーも立ち、ふたりは歩き出す。
ふたりとも家には帰らない。
ただ、意味もなく街を歩く。
手は繋がない。
約束もしない。
お互い名前も呼ばないし、口を開かない時間もある。
でも、また次の日も、そのまた次の日も、きっと一緒。
これが、恋のようで恋じゃない、ふたりの距離。