⚠️ご注意下さい⚠️
マイルドめにR18の卑猥な表現が含まれています。
苦手な方はどうかご遠慮願います。
あと話を盛り込みすぎて、
長々となったために前半と後半で割ります。
中途半端なところで切ることになってしまいますが、
何卒ご了承ください。
それでは本編へどうぞ。
大森視点(若干遡ります)
どうにか星崎とLINEで繋がることができた。
しかし連絡先を知ったからと言って、
すぐに会いたいとはメッセージ出来なかった。
最初は無難に、
相談があると言って呼び出そうか。
『仕事ですか?個人的なことですか?』(17話 庇護欲のワンシーン)
星崎の言葉が頭をよぎった。
仕事だと嘘を言ったから応じてくれたのであって、
プライベートな用件で連絡をしても、
拒否される可能性の方が高かった。
まだそこまで親しくはないからーーーー
「はぁ⋯⋯どうしよう?」
星崎に断られない誘い文句を考える、
僕の頭の中はすでに星崎で埋め尽くされていた。
『話したいことがあるんだけど、
⬜︎日って空いてる?』
つ、
遂に⋯送ってしまった。
見てくれるかな?
既読スルーされないかな?
などと俺は妙にソワソワして落ち着かなかった。
そのメッセージを送ってしばらく経った頃、
スマホにある通知が届いた。
ピコンッ
なんだろうと確認して星崎から、
待っていた返事が届いていることに気付いた。
(見間違いじゃなくて、
本当に来てる?)
舞い上がりたくなるほど嬉しい気持ちを抑えて、
俺はすぐにメッセージを見た。
しかしーーーー
『申し訳ありませんが、
その日は予定があります。
翌日でもよろしいでしょうか?』
え?
まさか⋯断られた?
言い回しは事務的な敬語だった。
それだけではなく先輩と後輩の間柄なのに、
まるで事務所に所属するタレントが社長に伺いを立てるような、
言葉遣いにかなりの距離を感じた。
確かにたまたま翌日は午前中のみの仕事なので、
会うための時間は作れるが、
先程の嬉しかった気持ちなど、
あっさりと沈んでしまった。
『忙しいのにごめん。
構わないよ』
本当は全然構わなくないくせに、
また嘘をついてしまった。
嘘がバレたらきっと嫌われるだろうな。
それでも連絡先を交換する時、
会ったばっかりなのに、
俺は星崎にもう会いたくなっている。
「いい加減気付いてよ」
俺の気持ちを知って欲しいと、
祈るような気持ちで俺は眠りについた。
今日は数ヶ月ぶりのオフだ。
何をしようか?
どこに行こうか?
などといつもならワクワクしているはずなのに、
今日はそんな気分じゃない。
原因ははっきりしていた。
星崎のことだ。
もちろん予定があるなら仕方がないことだ。
頭では理解していても、
その予定って仕事?
誰かと遊んでるの?
気になりつつも俺は詮索しないでいた。
束縛が重いとか面倒臭いとかは、
絶対に思われたくなかったからだ。
ピコンッ
『新しい服でも買いに行かない?』
一瞬だけ星崎かと期待したが、
送り主は藤澤だった。
(なんだよ、
人違いか)
何だか部屋に一人でいると、
虚しくなる一方だった。
ピコンッ
『この農家カフェでトマトフェアだって!
一週間だけ限定メニューもあるらしいからどう?』
今度は若井からだ。
ご丁寧に店のURL付きだった。
早速開いてみると家から歩くと遠いが、
車なら比較的に近い立地だと分かった。
トマトか⋯すごく気になる。
(でも新しい服も確かに欲しいな)
両方とも行きたいと考えて、
その旨を二人に伝え、
俺は支度を済ませた。
車を数十分走らせて、
ショッピングモールに着いた。
「あ、
元貴ー!
こっちこっち!」
そこには既に藤沢と若井がいた。
その後3人で雑談を楽しみながら洋服、
予定にはなかった雑貨屋などを見て回り、
いよいよカフェを目指すことになった。
そういえば、
どんな限定メニューがあるのかまでは、
URLで確認していなかった。
楽しみで意気揚々と歩いていた時だった。
「え⋯もしかして優里くん!?」
「馬鹿!
声がでかい」
ん?
あそこにいるのは優里さんと深瀬?
そう思った瞬間だ。
いや⋯もう一人いる。
あれはーーー星崎か?
俺が見間違えるはずがない。
「⋯⋯⋯なんで」
声が僅かに震えた。
俺には予定があるとすっぽかしたくせに、
どうして会っているのだろうか。
二人のために時間を割いても、
俺のためには時間を割いてもくれないということかと、
言いようがないほど凄くショックだった。
星崎に誘いを断られた時、
俺がどんな気持ちだったのか知ってほしい。
そう思った瞬間にはもう、
星崎を責める言葉が勝手に口を伝っていた。
「今日話がしたいって誘ったら予定あるって言うから、
てっきり仕事だと思ってたのに⋯⋯」
「ぁっ⋯⋯⋯」
星崎は気まずそうに目を逸らす。
何だか浮気現場の修羅場に遭遇したようで、
空気がどんどん悪くなっていくのを感じた。
その空気を優里くんが一変させるように、
敢えて明るく弾んだ声で言う。
「ならこのメンツでメシ食えば良くね?」
「俺は構わないけど⋯⋯」
優里さんと深瀬が同意しつつも、
星崎に視線を向けて言葉を止めた。
おそらく星崎が相席をごねれば、
この提案は流れるかもしれないなと思った。
「優里さんがいいなら」
は?
何だその基準?
俺は一瞬何を言われたのか理解出来なかった。
一緒にいる時間を作ってくれたのは、
俺と過ごしたいからではなく、
優里さんがいたからだと言われた気がした。
相席に同意してくれたのは嬉しかったが、
どうにも素直には喜べなかった。
俺は優里さんへの嫉妬を隠し切れなくて、
思わず彼を睨んだ。
しかし本人は特に気にした素振りはない。
ふと視線を感じてそちらをみると、
星崎が困惑気味の表情を浮かべていた。
俺は何でもないと伝えるように笑顔を向けた。
とりあえずいつまでも、
店先で屯しているわけにはいかないので、
俺たちは中に入った。
「いらっしゃいませ!
あの⋯いま座敷席の一つしか空いてませんが、
そちらでもよろしいですか?」
活気のあるよく通る声が響いたかと思えば、
申し訳なさそうな小声で、
愛想のいい接客をする店員が空き状況を説明した。
「大丈夫です」
優里さんがそう答えて、
僕たちはすぐ席に通された。
8人は余裕で座れそうな広々としたところで、
小上がりの座席は畳張り、
机の下はポッカリと穴が空いた掘り炬燵だった。
ごゆっくりという声がかかり、
店員が去っていく。
「い草だ。
畳の匂いって落ち着くな⋯」
「お前は匂いフェチか」
やはり二人の距離が近い。
軽口を叩ける関係で、
空気感にも親密さが含まれていた。
そして何より呼び方だ。
俺のことは「大森さん」なのに対して、
彼のことは「優里さん」と下の名前で呼んでいた。
「あ⋯こういうのって、
確か上座とか下座とかあるんだっけ。
僕はどこに座ればいいですか?」
「古臭っ!
固いこと言わずに座りたいとこでいいんだよ」
こういうところは優里さんらしい。
先ほどの相席もそうだが、
意見の提案はしても、
あくまでも好きなようにすればいいと、
星崎に決定権を譲っていた。
その優しさで彼からの信頼関係を得ているのだろう。
結局右奥から深瀬が座り、
その隣に星崎、
優里さんが座り、
さらにテーブルを挟んで左奥から若井、
藤澤、
俺という順番で座ることになった。
早速メニュー表を広げる面々。
肉料理、
魚料理、
野菜や果物を使ったメニューなど豊富なラインナップが並ぶ。
選択肢が多いのはいいが、
なかなか絞り込めそうにはないため、
うんうんと思案顔で唸っていた。
「よし⋯⋯⋯決めたっ!」
しばらく悩んでようやく全員のメニューが決まった。
深瀬さんがベルで店員を呼ぶと、
優里さんがきちんと記憶していたようで、
全員分の料理と取り皿をさらっと注文した。
(全員分のメニューをよく覚えきれたな)
こういう細かい気使いが、
意識せずとも何気げなくできるところが、
優里さんは人柄だなと驚かされた。
「お待たせしました」
俺が頼んだのは、
トマトパスタとミックスサラダのセットメニューだ。
酸味の効いたトマトソースは、
数種類のハーブが良い香りを漂わせていた。
もちもちの麺とソースを絡ませると、
止まらなくなりそうなくらい美味しい。
セットのミックスサラダはサニーレタスと、
7種類のトマトがゴロゴロと入った具沢山なものだった。
「あ⋯アイコ、だ」
は?
アイコって何?
というか誰?
俺は星崎の発言に苛つくが、
その視線はミックスサラダに向いていた。
「トマト?」
思わず聞き返した俺に対して、
星崎は急に挙動不審になった。
「ト、マ⋯の、
⋯⋯⋯ラ⋯で、
⋯⋯ん、です」
※ちなみに訳すと「トマトのブランドで、
特に甘い品種なんです」になります。
彼がたどたどしく何か、
説明しようとしてくれていることは分かるが、
彼の言葉が理解出来なかった。
「へえ⋯詳しいんだな」
え?
優里さんはこれで分かったのか?
そういえば深瀬さんも理解できていた。
つまり⋯また俺だけが分からないのか。
「⋯んあぁっ!
ちょっとどこ触ってるんですか?」
「相変わらず背筋いいなと思ってさ」
星崎からもれた突然の嬌声に驚いていると、
どうやら優里さんが正座する彼の背中に触れていた。
(何でそんなにエロい声出してんだよ)
足をくずすなり、
掘り炬燵に入れるなり、
楽な体勢にしたら良いのに、
星崎はなぜか正座をキープしていた。
その一方で優里さんは単に面白がっているのか、
それとも彼を揶揄っているのか正直よくわからない。
『俺も星崎に触りたい』
あれ、
今何を考えていた?
自分の中に卑しい感情があるかもしれないと分かり、
俺はめちゃくちゃ動揺した。
(この俺が?
嘘だろ⋯⋯これ独占欲か?)
こんな気持ちに気づかれたら星崎はどうなる?
そう考えた時、
自分から離れていきそうで怖くなった。
「見た目でわかることですよね?」
「んー⋯なんとなく?」
星崎の問いに対して、
優里さんはなぜか歯切れが悪い。
分かりやすく曖昧に交わしていた。
その後も二人は、
この量で足りるのかとか、
味付けはちょうどいいかとか、
ひたすら料理に関する話ばかりをしていた。
「そういえば優里さんって細いですよね」
二人はまだ話し込んでいる。
正直嫌だった。
かと言って会話しているところに割り込むのも、
話題に困る。
何を話せば良いだろう。
そう考えていた時ーーー
「ジムで鍛えてるからな」
星崎はそう答えた優里さんのお腹に触れる。
おい、
それは⋯だめだ。
やめてくれ。
お腹へのボディタッチは
『フェチや安心感』
の意味だろ?
どうしてためらいなく触れられるのか、
とても信じられなかった。
「ジムかー⋯僕はそういうの続かないだろうな」
なんて星崎が独り言をボソリと呟くと、
今度は優里さんの大きな手が伸びて、
彼のお腹を触れた。
まるで恋人のような空気感が伝わってきた。
「確かに柔らかいな」
その言葉にむくれる星崎の姿をどこか遠くで、
ぼんやりと眺めていた。
「そういえば服って普通なんだね」
いきなり若井が話題を振る。
確かに深瀬も優里さんも変装しているが、
星崎だけは身バレを気にしないラフな格好で、
特に変装らしい変装を全くしていなかった。
「向こうじゃ⋯⋯無理だけど、
日本は知名度低いから、
身バレしないんですよ」
彼がそう答えるとああ、
と納得したように若井が声を漏らした。
今まで若井や藤沢とも話したことがなかったのに、
二人とは普通に会話していた。
どうして俺だけあんな喋り方になるのか。
「oh…no! you TASUKU!?」
別の席のお客さんだろうか。
明らかに外国人らしい男性が彼に声をかけてきた。
え?
まさか身バレしないから平気だと言った、
その瞬間にファンに遭遇するなんて、
誰が予測できたんだ。
「い⋯yes」
「l mess you!」
「so happy!」
どうやらその人は、
英語圏の出身らしい。
例えプライベートでもファンとこうして、
直に触れ合えるのは嬉しいようで、
彼の表情がとても柔らかく穏やかにくずれた。
「shake your hands?」
「sure!」
優里さんが隣にいるためぶつかってしまわないように、
慎重に星崎が膝立ち状態になって、
ファンと握手を交わした。
(いくらファン相手でもニヤニヤしすぎだろ)
そのやり取りを見ていた藤沢が、
彼に質問を投げかけた。
「英語の発音が綺麗だね。
ファン層もやっぱり海外の人が多いの?」
「まあ⋯そうですね。
ありがたいことに9割以上の方が海外勢です」
その割合は流石に想像していなかったのか、
藤澤さんはしばらく固まったまま絶句した。
彼はその後もずっと他のメンツとだけ楽しげに過ごしていた。
明らかに俺と絡むのを拒むような態度だった。
藤澤が頼んだきのこの煮込みうどんがテーブルに運ばれてくると、
星崎が鍋ごと来たこともあり興味津々で見ていた。
「俺のも食べる?」
「確かに味が気になるな」
その言葉で星崎は即座に反応して、
取り皿を藤沢に渡して料理を楽しんでいた。
「きのこのエキスかな?
出汁が美味い!」
エキスって⋯変な言い方するなよと、
俺は心の中で突っ込んだ。
どうしてもいやらしく聞こえてしまう。
(俺だけか?)
それだけではとどまらず若井のローフトビーフでも、
「ちょっと独特なソースが美味い」と、
若井が味の感想を言うと彼が興味を示して、
料理のシェアをするほど俺以外とは完全に打ち解けていた。
「ん〜ん?
独特なのは⋯多分バルサミコ酢だね」
星崎はソースだけを小指になすりつけて、
舌で舐めとりながらそう呟いた。
特に彼が意識していなかったとしても、
その仕草がやたらと煽情的に見えて、
俺はゾクゾクと反応してしまう。
すると突然星崎が笑い出した。
「ふ⋯あはは!
若井さんってばガッつきすぎだよ」
自分の左頬を指で突きながら、
若井の顔に米粒がついていることを指摘した。
彼は慌てた様子で顔を手で撫でて探すが、
微妙に位置がずれている。
「しょうがないなー」
そう呆れながらも、
どこか子供相手みたいな優しい語り口調で、
若井に近づく星崎。
難なく指先で米粒を摘むと、
彼はなんとそのまま食べた。
「え!?」
嘘だろ?
今何をしたのか分かっていないのか?
当然された若井も驚きと戸惑いで
赤面した状態でフリーズしていた。
「ん?
何か変?」
その彼がとった行動にはその場にいた全員、
誰も指摘することが出来なかった。
無自覚でこんなにも思わせぶりな態度をとるのか?
ますます星崎という人間がわからなくなる。
雫騎の雑談コーナー
はい、
いかがだったでしょうか?
楽しめた方も、
イマイチだった方もいるかとは思います。
今回はまあまあな長文で太字も多くて、
やや読みにくかったかと思います。
本編に関しましては、
深瀬さんや優里さんだけではなく、
トマトにまで嫉妬する大森さんを書きたかったために、
こんな奇作となってしまいました。
文才が死んでてすいません。
あとね、
余談だけど何でタンパク質がうんたらかんたら〜とか(内容が飛んでる)、
野菜の話になったかっていうと、
リアルだと三代も続いて農家なんです。
だから多少の知識はあります。
世間では令和の米騒動が起こり大変そうではありますが、
正直お米も作っているから全く困っていないんですよ。
なんならお米の売り上げが去年より良かったくらいです。
みなさんは苦労なさっていることと思います。
体調と食事には気をつけてくださいね。
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