お前だけが俺の海
文化祭の準備。女子に囲まれ、嫌そうにしているなつの視線が、遠くからこさめを見つけた瞬間に柔らかくなる。
こさめが怪我をした指を見て、なつは誰よりも早く駆け寄った。
「何やってんだよ……」
「ちょっと、段ボールで……でも、なつくんが来てくれたから、痛くない!」
「……バカか、?」
なつは指をそっとくわえて、血を吸い取った。
その瞬間、こさめの頬が真っ赤になる。
「なつくん……やっぱりこさめの鮫さんだぁ……!」
「……は?」
「吸血鮫っ! こさめのっ!」
周囲がざわつく中、なつは無言でこさめの手を握って歩き出す。
「お前以外、どうでもいい。黙って俺の隣にいろ」
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