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若き覇王に、甘くときめく恋を

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若き覇王に、甘くときめく恋を

189 - 第五章 彼と共に育む、真愛の形 EP.2「幸せな暮らしに落ちる、不穏な影…」⑫

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2025年06月07日

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画面越しに話す彼に知らず知らず見惚れていると、


「本日は、もう一人いらしていただいています。クーガのキャンペーンモデルの、AYAさんです」


紹介とともに、あのAYAさんが現れた──。


彼女は、一旦は不倫疑惑で評判を落としたが、真中氏の謝罪会見で再び息を吹き返し人気を取り戻していた。


「相変わらずきれいだな……」


ポツリと呟く。


彼女が彼のそばにいて、自分は画面の外にいることが、仕事だからとわかってはいてもどこかやるせなく感じられる。


AYAとさや・・かって、ちょっとおんも似てるよね……。


似てるから、よけいに気になるとか、我ながらちょっと情けないかも……。


テレビの中のツーショットを見ていることに、なんとなくモヤモヤとしてきて、リモコンに手を伸ばし電源を落とした。



……貴仁さん、そろそろ早く帰って来てくれないかな。


でないと私、貴仁さん不足みたいです……。



悶々とする思いを抱えて、スマホの時計に目を落とした。


時刻は、夜の九時を回ろうとしていて、少し早いけど彼にも会えないしもう寝ちゃおうかなと思った……。


もう、貴仁さんのバカ……。


違う、貴仁さんは別にバカじゃなくて……。


仕事してるだけなんだもの、バカなわけなんかないのに、だけど……寂しい。


私だって、あなたといっしょにいたいのに。なのに、私じゃない彼女と、いっしょにいるなんて──。


やっぱり、貴仁さんのバカ……。


だから違うの、本当にバカなのは、きっとこんなことをうだうだと思っている自分で……。


そう、自分自身で……。取り止めもない思いに、いざ現実を突きつけられると、涙が滲みそうにもなってきて、ベッドの中でギュッと固く目を瞑ると、鼻まで毛布を引き上げて、無理やりにでも寝てしまおうとした。

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