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睡眠時間が短いというのは充分わかっている。
1時間程しか寝れないし、それより少し長くなっても3時間程である。
元々ぐっすり眠る方では無かったのだが、最近は特に酷い。
悪夢で叩き起されるか自然と目が覚めるかのどっちかだ。
そのせいか、寝ることもなく生活していた。
睡眠を必要としない身体なため、恋人が寝ても起き続けていたのだ。
しかし、夜は僕のようなやつを飲み込むように寂しさを撒き散らす。
普段は強がって寂しい、なんて言うことが出来ない僕はそんな夜の格好の餌食だ。
寝ない分、他の奴らより夜の時間が長い。
寝なきゃこの寂しいという感情が増えることは無いのに、寝ることを拒んでいる。
グルグルと巡る思考に呼吸が追いつかない。
誰にも言えない、恋人になんて絶対言えないこの黒く重い感情はどんどん大きくなる。
そんな生活を繰り返す内に、僕は遂に倒れた
かまって欲しいとかそういうのでははなくて
恋人に対するこの重い感情を知られたくなかったのだ。
悪夢を見る度に、失うことが怖くなり
悪夢を見ないように眠らずにいると、夜の寂しさに包まれる。
最初は純粋だった想いも、今は汚い泥のようにどろどでぐちゃぐちゃになってしまった。
こんなの、知られたくない。
知るな、知ろうとするな。
君だけは、僕の神様でいて欲しいから。
いつものように僕の気持ちをわからずに引っ掻き回していいから。
だから
こんなにも汚くて醜くて臆病な僕を知らないで
目覚めると、医務室の天井が見えた。
ぼんやりとした頭で起き上がろうとする …… 起き上がろうとしたのだ。
なんだか腹の辺りに重いものが乗っかっているようで上手く体を起こせない。
腹の辺りをちらっと見ると、泣いていたのか少しだけ目の赤い恋人がすやすやと寝ていた。
僕の右手を両手で握るようにして寝ている彼。
そんな彼に僕は左手を伸ばした。
真っ黒になった感情を抱えたまま手を伸ばした。
殺そうとかそういうことは考えていなかった。
考えていなかったのに。
伸ばされた左手を彼が握る、起きたばっかりなのか怪しい素振りを見せる彼に手を引っ込めそうになるが、それを阻止するように目の前に顔が迫る。
行為をする時とは違う、彼らしい優しい口付け
1つ、2つと降り注ぐように優しく唇を重ねられる。
口付けに精一杯応えている中、離さない気持ちが伝わるほどに抱きしめられ、彼が僕の頭を撫でる。
海の匂いがする恋人の腕の中で、僕は糸が切れた人形のようにぷつりと意識を手放した。
それから、僕は寝るようになった。
1人で寝るとまた同じことになりそうなので恋人の隣で寝ている。
僕の恋人は眠りの神のなのだろうか、悪夢や自然と途中で目覚めることがなく、ぐっすり眠ることが出来ている。
抱き枕のようにお互いを抱きしめながら眠るのは、最初こそ恥ずかしかったが段々慣れてくると寝ている最中にでもお互いを抱きしめるのである。
そして、今日もまたすやすやと彼の隣で優しい眠りにつくのである。