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帰り道は雨や雷が鳴り響き、LINEは見れなかった。
拓を無視して帰ってる自分が情けなくて、雨に紛れて泣いたりもしながら家まで歩いた。
心を表しているかのような雨に、私は驚いた。
そういえば、もうそろそろ球根を植える時期だな…
でも、植える気にはなれなかった。
拓のメッセージを無視して、閉じこもってしまった。
明日は振替休日で休みだけど拓には会いたいと思えない。
1人で考え込もう。
私には拓なんて高望みなんじゃないか。
ずっと心で自問自答していた。
登校日、嫌な知らせが届いた。
「真原さん、永山くんとLINEし始めたらしいよ」
樹里が朝から私の元に来て教えてくれた。
あ。この連絡が取れなかった期間にLINEしてたんだ。
結局、女の子だったら誰でも良いんだろうな。
そんな捻くれた自分の気持ちは、拓との距離を遠ざけた。
連絡しなくなって何日も過ぎた。
毎日拓が連絡してくれているのに、私は許すことができなかった。
ごめんなさい。私にはそれを受け入れることはできないみたい。
他の女の子と連絡取ってるなんて、もういいよ。
月だってチューリップだって、何もかも迷信。
信用になんかならない。
自分の心は荒れてしまっていた。
全部どうでもいい。そう思ったら最後だった。
「そういえば真原と2人で駅にいるところを見た」
サッカー部の可愛いって言ってくれた男の子が、私に言いに来てくれた。
「俺いつでも相談乗るから」
その甘い言葉に、私もLINEを交換してしまった。
もう、どうにでもなれよ。
部活をサボったり、学校をサボったりし始めた私に、ある日拓が話をしに来た。
「ねぇ。どうしちゃったの?」
久々に見た拓の顔は少し痩せてしまっていた気がした。
学校では喋らない、という約束を守りたかったけど限界だったんだって。
「ごめんなさい」
私はそれしか言えず、心が廃れていることに実感ばかりさせられた。
辛い、きつい、腹立つ、怒り…
全ての気持ちを一気にぶちまけてしまった。
拓はこの日、部活を休んで話を聞いてくれた。
「そう思わせてごめん」
拓が真原さんと連絡を取っていたこと、私とはもう無理なのかなと思ってしまったこと、全てを伝えられた。
「このままでいいの?」
「後悔するよ?」
樹里の言葉が身に沁みて涙が止まらなくなった。
好きだから気にしちゃってこんなことになった。
拓がいい。拓しか好きになれない。
全部を伝えたらそっと抱きしめてくれた。
「ごめんなのはこっちだわ…」
大きな目に涙を浮かべ、頭を撫でながら抱きしめてくれた拓は、人目を気にしずキスをしてくれた。
「俺はこの姿を誰に見られたって良い。
俺には萌しかいない、萌がいいんだ。だから自信を持ってくれ。俺のことを大好きって言ってくれ。」
拓、ごめんね。わかってるのに、こんな構ってちゃんのバカな私がこうやって迷惑をかけて。
「手を繋いで帰ろうよ。」
この日は廊下から手を繋いで帰った。後ろには真原さんがいた。
ごめん。でも拓を譲ることはできないんだ。
心の中で何度も謝った。