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それからというもの、拓には全てを話して仲直りして、お互いが唯一無二の存在であることを確かめ合った。
お互いがいて当たり前の存在になった。
高校生活は短く、あっという間に過ぎ去った。
毎年黄色のチューリップを1本ずつ増やして、お願い事をして。
拓と温泉勉強会のおかげで3年間赤点を取らずに終えることができた。
「っしゃ最後のテストもギリギリセーフだー!!」
ポンコツでバカな私たちは、勉強するので精一杯だったのにお互いが部長を任せてもらって周囲に支えられた。
おかげさまで進路も無事決まった。
拓は都内のサッカー名門大学に推薦が決まっていて、私も都内の保育専門学校に通う。
同じ都内とはいえ、寂しさを感じていた。
ずっと一緒にいられれば良いのに。
「私も東京なんだからさ、楽しく過ごそうよ」
いつも横にいた樹里は、都内のブライダル専門学校に通うことが決まった。
「みんな夢に向かって頑張ろうなー!!」
卒業式当日、拓は大きな声でみんなを励ました。
3年間同じクラスにしてくれた先生、
そして私のことを見捨てず応援してくれた樹里たち。
本当にありがとう。
拓が校庭にいる話は聞いていたから、私もそろそろ行かなきゃ。
私は少し早足で拓に会いにいった。
すると、黄色いチューリップの花束を持った拓が校庭で待っていた。
みんなに見られてて恥ずかしい…でも、3年間応援していてくれた子たちがたくさんカメラを向けて待っていた。
チューリップの中に、拓が作ったサッカーくんの女の子が入っていた。
「婚約指輪渡せなくてごめん!!!!これで許してくれ!!
俺と結婚してくれー!!」
拓の大きな声は遠くまで響き、みんなが見にきてくれた。
私は大号泣してしまった。
これがプロポーズなのか…と、胸がいっぱいになった。
「それと、4月から俺と一緒に暮らしてください!!」
合鍵を渡された。
東京までは2時間半、私はそれを毎日通おうとしていた。
それなのに、拓はそんな私を心配して家を探してくれていた。
絶対この人と結婚する。
今までずっと付き合えますようにという夢が、結婚に変わった。
大好きな拓と、これからも幸せに過ごせますように。
「結婚式呼べよなー!!」
「お幸せにーー!!!」
みんなの声に包まれながら、学校を後にした。
校門に立ってた先生も、「お幸せに」と声をかけてくれた。
この高校に来てよかった。受験頑張ってよかった。
拓に出会えてよかった。樹里に出会えてよかった。
もう少しで咲きそうな桜の木の下をゆっくり歩きながら、この日は2人で新居に向かった。