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 ノアとセレーネ嬢の発案で死に戻る直前に着ていたウェディングドレスをハンレッド侯爵家が懇意にしている仕立て屋に売りにいくことになった。

ウェディングドレス姿は目立ち過ぎるので、セレーネ嬢のご厚意が素直にとてもうれしい。

そして、自分の服を買うのは大聖堂に入る前以来で実に6年ぶりだ。

わたしのような細く枯れ枝のような身体に合う服はあるのだろうかという不安と、普通の女の子のように服を選べる楽しみな気持ちが入り混じる。

セレーネ嬢は服代をハンレッド侯爵家の付にしておきなさいと、何度も何度も申し出てくださったが、わたしがあまりにもその度に固辞したのでわたしの希望通りにウェディングドレスを売った代金を元手に服を買うことになった。


そして、服を着替えてひと段落したら、お兄様の願いをもう一度考えなおさなくてはならない。

セレーネ嬢曰く、ノアについていけばお兄様の願いはわかるはずだと言っていた。

ノアはお兄様の願いについて、なにかを知っているのだろう。タイミングを見てノアに詳しく聞いてみようと思っている。


お店にはセレーネ嬢から連絡を入れていただいているので、あとは護衛代わりのノアと行くだけだ。

先ほど、セレーネ嬢の部屋で売りに行くウェディングドレスは脱ぎ、代わりに着ていく服をセレーネ嬢はお下がりだと言って私にくださった。

お出かけ用の服で、上質な生地に薄い黄色の甘めのドレスで素敵だ。

着る機会があと4日しかないとは言えずに、少し心苦しい。


「アグネス、良く似合っている。可愛いな。さあ、早くノアと出かけておいで」

大聖堂では容姿を罵倒されることも多く、久しぶりに自分に向けられた「可愛い」という言葉にそんな言葉もあったなとしみじみ気づいた。

セレーネ嬢に優しく微笑まれて、ノアと共に送り出された。


とりあえず、騎士団の敷地を出るまでは打合せ通りにお兄様の姿で出る。普通に休日を楽しむ騎士団員のようだ。

「ノア、上手くいきましたね」

「当たり前だろ。いまはレオンの姿なんだから、少しも不審なところはない」

そう言いながら、ノアは少し緊張しているようだった。


ふたりで並んで歩いて仕立て屋を目指すが、お店に着く前にどこかでお兄様の姿から、アグネスに戻らなければならない。

しかし、先ほどから女性の熱い視線をとても感じ、なかなかアグネスになる機会ができない。

ノアとお兄様の姿で並ぶと、やっぱりふたりとも相当目立つらしい。女の子から羨望のまなざしを向けられる「白の王子」「黒の王子」。

お兄様がすごくモテることを身をもって体験する。なんだかうれしくって有頂天になってしまいそうだ。

でもそんな中、お兄様とセレーネ嬢は愛し合っておられるご様子だったので、ふたりの絆の強さを身をもって知った。


「ノア、貴方とお兄様の姿で歩くと、目立ちすぎます。早々にどこかでアグネスの姿に戻ったほうが目立たないかも。アグネスの姿は地味だから絶対その方が良いわ」

わたしの発言に、ノアはギョッとした表情をする。なにか悪いことを言ったかしら?

「本気でそれを言ってるのか?恐らくアグネスの姿の方が、注目を集めると思うぞ。だから、ギリギリまでレオンの姿でいろ。あまりアグネスの姿を他の男に見せたくない」

思ってもいないノアの反対の言葉に少々驚いた。

「それはわたしが筆頭聖女だから、多くの人々に面が割れているということを心配しています?それなら、そんな心配はいらないわ。わたし、外出はほとんどしたことがなくて、たまに大聖堂の麓の街の決まったお店に行くだけだったから、誰もわたしのことを知らないの。それにやっぱりアグネスは男性から見ても酷い容姿なんですね」

それを聞いたノアが眉を下げて、消え入りそうな声で呟く。

「うん。外出ができないことは知っている。でも俺はずっと前からアグネスを知っているし、その…アグネスの容姿は酷くない」

「えっ?」

ノアはそれからはなにも言わずに、ただ黙々と歩く。

いま、ノアは前から私を知っていると言った。どういうことだろう?聞き返そうと思ったが、不機嫌になってしまったノアになんとなくそんなことを聞ける雰囲気ではなかった。

「そうだ!ノア!ノアには好きな人がいるのですよね?その人に「アグネス」と一緒にいるところを見られてしまったら、要らぬ誤解を与えてしまうから良くないですよね。仕立て屋さんが終わったら、別行動しますか?」

なにかわたしは気に障ったことを言ったらしくノアに派手に睨まれ、ますますノアは不機嫌になる。不良っぽい人が不機嫌になると凄みが増すから、なおさら怖い。

「なにを言ってるの?今日は、ずっと一緒だからあきらめて!」

「でも、アグネスと一緒だとノアの好きな人に申し訳ないです。では一緒に歩くときはお兄様の姿になりますね!」

ノアが大きくため息を吐く。

「はあああ。あのさ、それ大丈夫だから。それに今日はいまからアグネスの姿に戻ったらそのままでいてね。レオンの願いを叶えるためにもレオンの姿は絶対禁止!」

ノアは自分の好きな女性に他の女と歩いているところを見られても平気で、嫌なものではないの?

それにお兄様の願いを叶えるために、なぜわたしがアグネスの姿で居続けなければならないのか、意味がわからない。

ノアって、なにを考えているのかしら。

この不良で浮気者!!

女神様に「わたしの隣のひとを成敗してください」と祈りたくなった。


この後は無事に建物の陰でお兄様の姿からアグネスに戻ることができ、いざ浮気者のノアと仕立て屋へ。

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