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ここは、魔法というものが存在し今や魔王がいる世界。
そして、この世界では聖女というものが存在する。
聖女とは、簡単に言えば治療師、癒しの力を持って人々の怪我などを治す女性を指す。そして、聖女は複数おり、教会で暮らすことが通常だ。
「癒しの力よ、私に力を貸してください」
そう言うと傷口付近に光のようなものが見え、怪我をした少年の体には傷痕のようなものが残っていなかった。
「有難う!聖女様!」
「この子を助けてくれて…、本当に、有難うございます」
すると、聖女が口を開いて儚げな表情で言った。
「私には、このぐらいのことしか出来ませんので…、御礼を言われる筋合いはないです。ですが、その心は私の胸に残しておきます」
聖女がそう言うと、少年とその母親は教会から出ていった。
「え〜?あの異物、祈りを唱えないと治せないの〜?」
「ちょっと、声が大きいよ」
「あ〜、ごめんごめん」
ーまた、何も言えなかった。
言えるわけがない。何故なら私は祈りを唱えないと治せないのだから。彼女達の言っていることは、間違っていない。
私ーktyは、聖女であるが祈りを唱えないと治すことが出来ないという弱点がある。通常であれば、祈りを唱える必要はなく、殆どの聖女は祈りを唱えずに治している。
嫌味を言われながら癒しの力を使う。これが私の日常だ。
「もう、休憩に入ってもいいよね…?」
そう思い、私は街へ休憩がてら行くことにした。
「ふう…、やっぱり街はいいな〜、気分転換になるし…、ってあれ?」
ベンチに座っていたら、魔物が街へやってきた。それもおよそ十体以上、私には見えていた。
「森へ誘導して倒しておこう」
普通の聖女なら持っていない能力…、魔法が私には使える。だが、私はあまり魔法を使えずにいる。理由は簡単、それで一つの街を滅ぼしてしまったからだ。あれ以降、聖女の能力しか、使えずにいる。
とにかく、私は魔物を誘導しようと急いで走り出した。
魔物を何とか誘導し、森へ連れてった。早速、呪文を唱えた。
「風よ、舞い上がれ、ゼフロス・ユビー」
久々に魔法を使ったが、通常通り、役1ヘクタールの範囲にわたる風を出すことができ、威力は落ちていないようで何よりだが、それ以上に…
「魔物の処理、どうしよう」
一撃で魔物を吹き飛ばしたため、何処にいるのかがさっぱりだった。
そして、遠くの方から拍手が聞こえた。
「これが幻の天才児・ktyね〜」
「っ!だ、誰?」
「俺?俺は、この国の第三王子・tgだよ。さっきの魔法、凄かったよ。思わず見惚れてしまって、危うく職務放棄するところだったよ」
何故私のことを知っているのか、疑問だったけど、第三王子なら、知ってても納得はいく。でも、職務放棄って…
「もしかして、tg様はこの国の騎士ですか?」
「まあ、そうだけど…、それよりも俺から提案があるんだよ」
「何ですか?」
訝しんで見ていると彼はこう答えた。
「近々魔王の配下がこの国へ攻撃してくるから、その手助けをお願いしたい。貴方にしか出来ないことなんだ、どう?」
急にそんなことを言われても…、それが私が思った依頼の印象だった。でも、それで国が少しでも安泰するのなら…
「分かりました、引き受けます」
「急に敬語にしなくていいのに…、分かった。有難う」
何故か残念そうな顔をしていたが、仕方あるまい、身分が違いすぎるのだから。
「じゃあ、これから俺と作戦会議しよう」
「…何故、tg様と?」
「俺さ、誰かとペア組めって言われちゃったんだよ。相手を探していたところだったんだ。それで、ktyを選んだって言う訳」
「何故、私が?」
「まあ、興味本意かな?というか、距離遠いような気がするけど…、気の所為?」
「tg様が突然言うからでしょう?」
「あ!俺のことは呼び捨てね?そして敬語もなし!」
驚いた。第三王子に呼び捨てしていいと言われることがあるなんて…夢にでも思わなかった。だけど、tg様のあの羨望な眼差しは…
「分かったよ。tg」
「あ、これから時間大丈夫?」
「大丈夫、多分魔物がいなくなったから、怪我人は少なくなるはずだし」
「なるほど、じゃあ、早速作戦会議ね。なるべく短く終わらせるよ」
「有難う」
「まあ、簡単に説明するよ」
どうやら、魔王の配下は闇魔法を使うことが出来るらしい。しかも、配下には部下がいるのでその部下が他の街へ攻撃する可能性があるのだ。そして、tgが何よりも気にしているのが…
「突然、何だよね配下が来るのが」
tg曰く配下が来るのは周期で決まっているのでまだ周期ではないはずだけど、何故か来るらしい。理由は第三王子であるtgでも分からない。
「まあ、そんな感じで何処の街へ来るのか分からない、人が足りないという状況だから、強い者は少数で戦うことになったんだよ」
「なるほど、そう言うことなら、即座に承諾したのに…」
「でも、こんな外套をしている男に女性である貴方にそんなことを言ったら、逃げると思うんだけど?」
「うっ、それは否めない…」
「まあ、そんなことだから、よろしくね。詳しい詳細については次会うとき…、1週間後に伝えるね」
「わ、分かった、1週間後、ここで集合でいい?」
「うん、じゃあ」
そう言って私達は1週間後に会う約束をした。
やっと、出会えた。ktyは、覚えていないかもしれないけど、俺はずっと覚えてる。あれは、俺が魔法の練習で森へ行った時のこと。
どれだけ魔法を出しても魔法の技術は上がってない。剣術は人並み以上に出来るが魔法に関しては氷を出すことぐらいしか出来ない。
「あれ?ここで魔法の練習している人、私以外にもいたんだ」
それが、俺とktyの出会いだった。俺がその後、どんな魔法が出せるのか、見せてほしいと子供ながらに無茶なお願いをしたが彼女は喜んで引き入れてくれた。その時の魔法は今でも覚えてる。
「風よ、舞い上がれ、ゼフロス・ユビー」
広い範囲での風の勢いで葉や木の枝が吹き飛んでいき、その時、彼女が付けていた金色のピンが飛んでいった。だが、あの光景が今でも忘れられない。それぐらい、彼女の魔法は技術が高く、綺麗だった。
「ねえ、何でここで魔法練習してるの?」
「えっとね…、私、癒しの力も持ってるの。可笑しいよね、癒しの力と魔法、どっちも使えるなんて」
「ううん、可笑しくないよ。素敵だと思う!」
「本当っ!?有難う!」
その時の彼女の笑顔は忘れられない。そして、その彼女の笑顔に、俺は惚れていた。恐らく、俺はktyのことが好きになっていたのだろう。たった、短い時間で、俺の最高の瞬間となった。
「じゃあね!またいつか会えるといいね!」
「うんっ!そうだね!」
そう言ってktyは家に帰った。そしたら、彼女に金色のピンがついてないことを思い出し、探している間に彼女は遠い所まで行ってしまった。流石に子供が全速力で走っても追いつけない距離であったため、俺はそのピンを拾い、いつか会えた日に渡そう、そう思った。
約束の1週間後になった。
「あれぇ?可笑しいなあ…、小さいときはあった気がするけど…」
今日付けておこうと思っていた金色のピンが無くなっていた。だけど、いつ落としたのかは検討がついてる。恐らく、あの男の子と会ったときに落としている、と思う。
「なら、しょうがないか…、いつ会えるか、分かんないしね」
そう言って、別にピンはつけなくてもいいと思い、ヘアゴムだけ持って森へ向かった。
「kty、聖女の仕事は大丈夫そうだった?」
「あ、うん…、大丈夫」
「じゃあ、詳細を伝えるね」
どうやら私達は、奇遇かは分からないが私が滅ぼした街…、私の故郷にいる魔物を倒すそうだ。日時は来月の未明。
「配下が来るであろう、王城は兄上達が倒すから安心して」
と言われたので配下については心配はないそうだ。
「分かった。でも…、共闘するなら、少しは相手のことを知ったほうがいいよね…?」
「うん、俺もそう思う。だから…」
「だから?」
私が首を傾げると、彼はこう言った。
「今度行われる祭り、一緒に行こうよ」
「え?それって…」
デートのお誘い、とか思ったけど、こんな短期間で好きになる理由が思いつかない。尤も私は、tgのことをどう思っているのか、何も分からない。
「まあ、気楽に行こうよ。あ、もしかして誰かと行く予定でもあった?」
「い、いや…、私そういう友人とかいないし…」
「そっか」
それ以上、tg様は深掘りしなかった。
それから暫くして、tgと一緒に祭りに行く日になった。浴衣は着なくていいと言っていたので、浴衣は着ず、私服で行くことにした。
といえど、魔王の配下がもう少ししたら来るので、一応身軽にしておいた。
そして、私が待ち合わせ場所に行くと、そこにはtgが騎士団の制服であろう服装でその場所で待っていた。
「やっほ、ktyも同じこと考えてた?」
「うん…、奇遇だね」
「まあ、俺は祭りの警備頼まれてたんだけどね」
残念そうな表情でtgが言う。どうやら、祭りに行く直前に警備を頼まれたらしい。
「人員不足はどの時代も問題何だよね〜、何で王子にやらせる思考になったんだっていつも思うよ」
「ま、まあ、自分の身は守れるし、変にタヒぬよりはいいと思うけど…」
「確かにね、ってそんなことは置いておいて、早速行こう!」
「う、うん!」
私達は、雑談をしながら屋台を見回った。祭りは年に一度行われるが、教会で過ごすようになって以降、忙しさと一人で行く寂しさがあったので、家族で行って以降、祭りには行けてなかったのだ。
「ktyは、何食べたいとかある?」
「tgはないの?食べたいのとか…」
「俺は、屋台の余った食材等を貰える権利があるし、毎回、祭りが終わった後に来るから食べたいのとかないんだよね」
「じゃあ、祭りが終わるまで一緒にいる?そしたら、その権利、充分に使えるでしょ?」
自分で言ってて、私がtgのことが好きみたいに聞こえなくないことを言ってしまったが、相手は気にしていないようだったので、別にいいかと吹っ切った。
「そうだね、それまでktyはいてくれる?」
「え?う、うん…、誘った身だし」
「じゃあ、お言葉に甘えてそうさせてもらうよ」
意外な反応だった。何故か、その反応がtgらしくないと思った。
「どうしたの?」
「あ、何でもない」
「じゃあ、ありきたりな射的でもする?」
「tgがやりたいのなら」
「ktyがやりたいのであってほしかったんだけど…」
「だって、久しぶりの祭りだったんだし…、何がしたいとかはないから…」
「そっか」
tgが儚げな表情をする。その表情に私は笑顔でいてほしい、tgには笑顔が似合う。そう思ってしまった。そんなに交流がないのに、何故そう思ってしまうか、分からなかった。
「いや〜、沢山とったね〜」
「…といっても大半はtgがとったよね?」
「そうだけど、ktyもとってたじゃん」
「いや、私は…、一つだけだし…」
射的は、一つを除いて全てtgがとったのだ。
「でも、その一つ滅茶苦茶とるの難しい賞品だったんだから、自信をもって」
「あ、俺がとったやつ全部あげる?」
「…じゃあ、私がとったのと交換で」
別に私がとった賞品ー香水は使い道がないと思ったのでどうにかしてtgに渡したかったのでよかった。
「ktyがとったのって香水だよね?」
「え?うん、そうだけど…?」
「じゃあ、期待してもいいってことかな」
「え…?どういうこと…?」
異性に香水を渡すことに意味なんてないだろうって思ってたから、別に渡しても問題だろうって私の勘違い…?
「意味が知らないなら、俺だけの秘密にし〜とこ」
「えっ、?そしたら尚更意味が気になるよ…」
tgは真顔になった上で私に話した。
「香水を異性に渡したら…、告白になるんだよ」
「えっ!?」
「照れすぎだよ〜」
「だ、だって…、そんな意味だったとは知らずに…tgに渡したってことでしょ?tgにか、勘違い、させちゃって…」
私は言いながら顔が赤いことには気がついていた。それがどんどん赤くなってることも。
「大丈夫だよ、俺としては、期待をずっとしたかったけどなあ」
「それってどういう…」
「それよりさ、ベビーカステラでもどう?」
「えっ、?」
その後、tgに言われるまま、屋台のものを食べていった。そのtgの様子が可笑しく、私は違和感を覚えた。どうすればいいのかと私は屋台を回ってる中、ずっと考えてた。
そして、私は結論に辿り着いた。
「美味しかった?」
「えッ、あ、うん…tg、もしかして、私がtgのこと好きって思ってる?今、でも…」
tgは沈黙だった。いとも簡単にそんなこと言うはずないだろうと思っていた。
だから、
「私、分かったんだ。私…、tgのこと_」
私が言いたいことを防ぐように、tgはキスをするような体勢になっていた。
その時
「おのれ…、その騎士!それは私のものだ!」
驚愕した。何故ならそれが、魔王だったからだ。
「とりあえず、敵味方はハッキリだね? でもよかった。ここが屋台から離れた場所で、ktyに感謝だよ」
「い、いや…私はただ、他の人に聞かれたくなかっただけで…」
「もういいか?」
そう言って、魔王は私達の会話を遮るように言った。
そして、攻撃を仕掛けた。
魔王は無詠唱で黒い渦のようなものを私達に攻撃してきた。流石魔王、威力がとてつもなくすごい。そう思うと、tgが剣で攻撃を防いだ。
「kty、魔法と魔法との攻撃はどんな感じ?」
「威力が強い程有利になるよ、でも、魔法との相性があるから 」
「なるほど、ktyは魔法で攻撃して。俺は守りに専念するよ」
「分かった」
少しの作戦会議をすると、戦いはすぐ始まった。
「雷よ、今集まれ、ヴォルガン・フルート」
雷で魔王の胴体を真っ二つにする勢いで放ったが、魔王に傷をつけることは出来た。でも、小さい傷だ。魔王なら、回復することが出来るかもしれない。
魔王がすぐに威力の強い、雨のような闇魔法を空から撃った。私は即急に逃げた。他の魔法など撃てる隙などがなかった。
「炎よ、燃え上れ、イフラムス・バーデリオン」
威力を最大限に出した爆撃魔法を撃った。とにかく魔法を撃つしかないと思った。だから、私の体力がある限り、色んな種類の魔法を放っていった。
「あの魔法を撃て」
突然魔王が言い放った。言っていることが理解出来ない。魔王が魔法を撃てなんてこの世界が誕生して恐らく初めてだろうというぐらい魔王が言うべきセリフではない。
「ど、どういうこと?」
「あの魔法だ、お前が一つの街を滅ぼした…」
「ーっ!?」
なぜ、その魔法を撃たないといけないのか、撃てば魔王がいなくなることになるがそれ以上に、私はあの魔法で自分の故郷を滅ぼした。だから、撃てないのだ。
「kty、おそらくこれは何かしら魔王も策を練っていると思う、それが俺に傷が負うことも」
「何で…、それを…」
「だから、撃って。俺はどうなってもいいから」
「でも…」
tgの言ったことは本当なんだとは分かる。そして、その覚悟も…
「わかった。もしtgが命の危機にさらされたら、私が癒しの力でtgの命を救うよ」
「有難う」
tgが私に微笑んだ。それで私も微笑み返した。
そしてー
「神よ、私に力をください! グレイシア・ラスト・アルヴィスッ”ヴィルガス・アルゴ・トルゼウスッ”」
息切れしながら、白鳥と不死鳥が魔王へ向かって全身全霊かけて魔王へ攻撃した。息切れながら、私が魔法を撃った瞬間、魔王は不適な微笑みをし、その場にあった剣でtgの体を切った。
「ーっ!?スーハースーハー」
tgの呼吸が乱れた。でも、魔王は満足したのか、そのまま塵となって消えていった。
「tg!」
幸い、急所は免れている。私はすぐにtgの傷を治しに行った。
tgの意識が危ない。脈は聞こえるが、徐々に弱まってる。
「tg、何で、何でっ…」
私は泣きながら聞こえていないであろうに、tgに語った。
「どうなってもいいって、自分がタヒんでもいいってこと…?」
「そんなの…」
傷口に私の手を当てた。
「許さない」
「癒しの力よ、私はどうなっても構いません。どうか…、力をかしてください」
後から声が震えていた。そして、tgは目を覚ましたが、ktyが意識を失ってしまった。
そして、tgが言葉を零した。
「kty…?」
目を覚ますと、そこには見知らぬ部屋で私は寝ていた。
そして、tgが私の居る部屋に花を持って入った。
「あ、tg…」
私が意識を戻したのが分かったのか、tgに抱きしめられた。
「tg?どうしたの?」
「よかった…、ktyが意識を取り戻して。2週間、目を覚まさなかったんだよ」
そうして、私はtgに抱きしめられたまま、私が目を覚まさなかった時のことについて話してくれた。
「魔王の配下、結局来なかったんだよね、多分魔王がktyのこと狙ってたからだと思うけど」
とりあえず、魔王の配下は来なかったらしい、その部下も、だ。
「だから、研究者がある仮説を立てたんだ」
「魔王の配下は、ktyを攫うために来たんじゃないかって」
「まあ、魔王があそこで出てきたのは、ktyのこと好きだったんじゃないかな?kty可愛いし」
突然、tgに褒められた。滅多に褒められることなんてなかったから、少し照れてしまった。
「照れてるじゃん、その姿も可愛いよ」
「か、可愛いって…、私のこと、好きなの?」
少し冗談で聞いてみた。まあ、魔王が現れる前にキスされそうになったけど、あれは私への配慮だろう。こんな欠点がある聖女なんて前代未聞だし、好む人なんてそうそういないだろう。
「好きだよ」
tgが真剣な眼差しで私に言った。驚いてしまった。まさか、私のことが好きなんだとは思わなかったから。
「ktyは?俺のこと、どう思ってる?」
tgは上目遣いを器用に使い、告白の返事を求めていた。そんなの…
「私も…」
返事を言おうとした瞬間、泣いてしまった。
「えっ!?あっ…、なんか、ごめん。無理に言わせちゃって…」
tgが慌てる。でも、私は涙を零したまま返事を言った。
「私も、tgが好き」
「有難う、俺もだよ」
そう言ってtgは私の涙を拭いてくれた。そして、私達は口づけを交わした。
2人の手には金色のピンがあった。
_end
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