テラーノベル
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眠れるはずもなく外からは朝を告げる鳥の声。隔絶された村のはずなのに当たり前のように鳥はいる。きっと川の水や植物と同じく人間以外は自由に出入り出来るのだろう。
その頃になると恐怖疲れで努の頭はボーッとしていた。それでも扉に人の気配がしたときには一気に眠気が飛んだ。
まだ拷問には早いはずだ。祈るように何度もそう自分に言い聞かせた。扉がゆっくり開かれる。入ってきたのは……セイジとホタルだった。
「あぁぁぁぁ……お願い、助けてぇ……」
努は哀れっぽく言った。
「うーん、ゴメンネ。ウチらにお兄さんを助ける力はないよ」
ホタルは申し訳なさそうにそう言った。
「そんなぁ……」
努はまた涙があふれてきた。
「ほらほら、泣かないでよ。ご飯食べさせてあげるから」
「……自分で食べるから」
「手枷を外すのは無理ですよ」
答えたのはセイジだった。
「セイジくぅん」
努は涙目でセイジを見上げた。セイジは無表情だ。
「僕らにはどうすることも出来ません。だからご飯を食べて体力をつけてチャンスを待ったほうがいいんじゃないですか?」
「それは……」
「体も動ける範囲で動かした方がいいですよ。血行が悪くなると病気になって余計な苦痛を受けることになりますから」
「……うん」
とても年下とは思えないセイジの冷静な言葉に努は素直にうなずくしかない。セイジは口調こそ冷静だが、その言葉の内容自体は努のことを思っているようだ。
「はい、アーン」
あまり食欲はなかったけど素直にホタルに食べさせてもらった。セイジの言う通り、とにかく体力を温存してチャンスを待つしかない。そう思ったからだ。
「お兄さん、おいしい?」
「……うん」
「よかった」
ホタルはニコリと笑う。こんな状態だと少しの優しさも心に染みる。ホタルは男の子だが女の子らしさがあるので余計にそう感じる。
「はい、ご飯おわり」
「……ありがとう」
「トイレしたくなったら、そのまましちゃっていいからね」
「……うん」
拘束されている椅子には穴が空いていてその穴の下には汚物受けの木のバケツが置いてあった。二人は拷問屋敷から出て行こうとする。
「待って!」
思わず呼び止めた。
「なあに?」
ホタルが首をかしげる。
「あ、その……」
特に考えていなかった。ただ一人になるのが怖かった。
「あの……目のこれだけでも外してくれない?」
咄嗟出た言葉だが、これは本心からそう思っていた。常にクギの先端。それも、いずれ目を潰されるものを見せ続けられるのは精神的にきつかった。
「お兄さん、それは無理だって」
ホタルは苦笑い。セイジは無表情のまま。
「ごめんね」
ホタルは寂しそうにそう言ってセイジと一緒に出て行った。
また一人の時間が始まる。最初は恐怖で冷や汗すら滲んでいたが時間が経つにつれ眠気が襲ってきた。
考えなきゃ。そう思いながらもうつらうつらとしていた。そして睡魔と戦っている間は恐怖が少し薄らいでいた。
そんな状態での浅い睡眠。それでも少し疲れがとれて頭もスッキリした。逆にそれは現在の状況を深く考えさせられることでもあった。
拘束された体。
逃げられない村。
どうすれば助かる?
努は必死に考える。恐怖にはもう疲れたからか後ろ向きだった昨夜に比べて前向きに考えることが出来た。
……だからといって解決策が見つかるほど甘くはなかった。
#怪異
イキリ火の玉
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コメント
1件
あ〜〜もうホタルくんの「アーン」が優しすぎてこっちまで涙出そうになったよ😭💦 目の前のクギがずっと見えてる拷問、想像しただけでゾッとするのに、セイジの「体力つけてチャンスを待て」って冷静な助言が逆に効いてる…!年下なのにしっかりしてるのズルい。眠気で恐怖が和らぐ瞬間の描写、すごくリアルだった。続きどうなるの!?次回が待ちきれない〜〜!!🌸