2人が来てから数日、何度か父が来ていつも通りの日々に戻った、変わった事と言えば最近はご飯の量がさらに減った元々1つだったパンが半分になってたり3日経ってもご飯が来なかったり、その変わり父の来る頻度が増えた、
父が来たあとは決まってローク達が傷を癒してくれる、(どうやら昔から癒してくれていたのはロークだったらしい)で、少しずつ自分の能力と向き合って使う練習をしている、何せ名前の無い僕だ魔力の出量だとかを調節するのを人一倍がんばらなくてはならないらしい、正直内容だとか詳しい事はよく分からない
もうひとつ変わったのは
「ルーク!来たぞ!今日はチェスを教えてやる!面白いぞ!」
「ルー!ほら!おやつ持ってきたよ!今日はクッキーいっぱい持ってきたから遠慮せず食べてね!」
この2人が定期的にくるようになった事だ
こくりと頷き傍に行く、ちぇすと言うものを教わる、2人は僕に仮としてルークと名ずけてくれた 2人に名ずけてもらっても意味は無いが僕はこの名前が好きだ
この2人は僕の腹違いの兄弟らしく
白髪の長男ダイナ
紫髪の長女アテ
ダイ兄は白狼だと言う、ダイ兄と僕はいつか王位継承で争わなければならない、そう教えてくれた内容は王の能力という特別な能力を使ってするらしい
アテ姉は猫又らしい、能力は毒を扱っているらしくその毒を使って薬をつくる勉強をしているらしい
アテ姉が持ってきてくれたくっきーを食べるサクサクとした音とふわっと香る甘い味とても美味しい、思わずパッと食べきってしまう
「ぷっ、はははwルークwww、そんなに美味しいか」
「可愛いねルーちゃんw」
?どういうことだろう、
僕がきょとんと固まっているとダイ兄は僕のしっぽを指し
「すっごい揺れてるw」
気がつけば僕は無意識のうちにめいいっぱい
しっぽを振っていた
かぁぁ///っと顔が熱くなる初めての感覚
訳が分からなくなってしっぽを抱きしめて顔を隠す、顔が熱い
「ぷっ、はははwww可愛いなぁ」
ワシャワシャと撫でられる
「恥ずかしかっちゃってw」
恥ずかしい、この感覚が『恥ずかしい』んだろうな、あんまり味わいたくないなぁ、むず痒い
2人が帰ったあとロークが来た
「よ!、楽しかったか?」
楽しい、、、と考えるそれも知らない言葉だったからだ
それをまた察して
「思わずしっぽを振ってしまうような気持ちになったか?」
と、言ってきた僕はさっきのことを思い出してまた顔が熱い感覚がした
「はははっ!ならいいならいい」
と頭を撫でる
兄というものはすぐに頭を撫でるのだろうか、僕はこの感覚が好きで目をつぶった、思わず頬が緩む
「…いい顔するようになったな、笑えるようにまでなったか」
ハッとした、笑ってる、僕が?そんな、ダメない事なのに、どうしよう、笑っちゃった
「そのままでいい、お前は笑ってろ」
何故だかその言葉はストンと僕の中に落ちてきたそっか、笑っていいのか、
思わずまた、頬が緩む
この感情はなんだろう知らないことばかり、いや、知らなくていいと思っていたものばかり
ロークは、ちらっとこっちを見ると恥ずかしそうにガリガリと自分の頭をかき
「その感覚は感謝だよ、ありがとうって相手に伝えるんだ」と、言ってきた
ここで僕はふと思ったのだ
僕はそう言えばロークの前で一度も言葉を発したことがないのだ。では何故、今その言葉が帰ってきた?
「俺らとお前は『心言』(しんごん)っと言う奴で会話ができる、他人には聞かれない、まぁ秘密のお喋りだとでも思え」
僕が疑問に思っていた途端にその言葉が返ってきた、驚いた、
なら最初から最後まで考えていたことが筒抜けだったという事なのか?
「そうだよ、お前は喋ろうとしないからな」
じゃなくて、喋れないんだってば!
僕は心の中で答えた
「いーや、喋れるさお前は、喋ったことが無いだけで、いや、喋っていた記憶が無いだけ…か、 本来声帯を長い期間使わなければ声は出しにくくなるが、そこは俺が定期的に治してるから出そうと思えばすぐに出せるぞ」
え、でもどうやって、
「ん、」そう言ってロークは僕の首に手を回す
締められる!そう身構えた、もはや反射となった
「大丈夫痛くねぇ、だから落ち着け、」
ぽぅと少し暑くなる、胸からなにか響く感覚があった、
「そのまま身を委ねて感覚をつかめ」
言われた通りにそっと押されるまま身を預けた
「あ」
声が出た
「ん、ほら出た」
「え、えっと」
初めて聞く自分の声アテ姉より少し低く
ロークやダイ兄より高い声
「さ、言ってみろ、お前の名前は?」
「る、ルーク!僕の名前は」
ピリピリとでも胸がふわっと熱くなる、
「ルークか、仮名をつけてもらったのか?」
「うん!」
「あ〜、この身なりだしな、」
「?どういう事」
「ルークは本来男性名だからな、男の名前なんだよ、ダイナお前の事弟だと思ってるのか、まぁ仕方無いんだろうけど」
そう言った後に続けて
「でもいい名前じゃねぇか ルークは光を表すそれにチェスの城の名前でもある、皆に光をもたらし誰かを守る城になる、いいな」
「そんな意味があったの?」
嬉しい、意味を聞くとさらに胸が暖かくなった
そっとロークは僕の右頬を撫でる
長い髪で隠された僕の頬を、
僕は右にだけ傷が残ったままだった、治らないずっと治らないロークでも治せないと言った、父に付けられた傷だ、それ以来前髪で隠すようにした父が醜いと言ったから、
ロークは髪をかき分けそっと瞼に口をつけた
「ルークに光があらんことを、祝福だ」
そう言った、なら僕もと
ロークの左瞼に口をつけた、彼もまた僕と同じように片目を隠すように前髪を伸ばしていた
僕らは鏡のようだった、他の2人とは違い僕ら2人だけ、顔、髪、瞳や声も少し似ている、
僕はといかけた
「皆は誰なの?」
ロークは少し困って
「俺らは………」
その時
父だ…
「チッ、わりぃ!」ロークは指を鳴らすと
サッと消えた
僕はいつものモードに切り替えた
笑わない泣かない喋らない人形
ギィッ
また、この時間か………
そっと目を閉じる
その瞬間に来る鈍い音と痛み
地に叩きつけられる感覚の中で…
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