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へいへい!!!!!新編スタート!!!!!
それでは本編へーーgo!!!!!
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破 第十四話『生きれない』
「、、、なぁ」
「、、、?」
「もし高い所から飛び降りる人とそれを受け止める人。」
「どっちが死ぬと思う?」
「、、、。」
「飛び降りる人なんじゃない?」
「、、、そう。」
「、、、。」
「、、、いや。」
「、、、?」
「受け止める人だ。」
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西暦1945年8月に世界を巻き込んだ大戦争に終止符が打たれた。
昭和二十年 十月末 元・帝都東京
十月になっても眩しい光が焼け野原の東京を照らしていた。
ここは市街地で綺麗さっぱり跡形もなく焼けて黒く焦げた地面がジリジリと水平線まで広がっている。
この戦争で生き残った少年兵、陸は被弾せず落とされた不発弾の撤去作業に移っていた。
何かの拍子で再爆発してしまう可能性を持ちながら陸は淡々と爆弾を解体し撤去していた。
それが陸ができる戦争終えてもなお国民を守れるの仕事だからだ。
陸は汗を掻きながらも懸命に任務に当たっていた。途中、元従事記者の質問に受け答えして毎日を過ごしていた。
だが、、、何故か陸の心は満たされていなかった。
戦争は終わり、
愛する戦友達の墓場の前に立つ時間もあるのに、
どうしてか
心の傷はいつも穴が空いていた。
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【南方最前線】
バババババ!!!!!火花が飛び散り閃光の弾幕がジャングルを取り囲んでいた。
「万歳ーーー!!!突撃ーーー!!!」
「うあぁぁぁぁ‼︎」
「弾ッ!弾ッ無いか⁉︎」
「痛いッ!痛い!」
「鬼畜米兵め‼︎」
「まずい!“敵砲弾が飛んでくるッ!”」
「助けッ」
自陣が空の薬莢の山積みになり武器などもう殆どなかった。
スモークに紛れ見えない米兵が次々と日本兵を銃殺し山道は血の海となっている。
すぐ隣にいた戦友が首から血が飛び出し自分の体を韓紅色に染めあげた。
激烈な叫び声が、
重く鈍る銃声が、
体を叩く。
陸「、、、あぁ‼︎ぁぁ、、、、、、!」
敵機動隊の飛行機が数十メートル近く上を通過する。
聞き分けられるようになった____
当たる音。
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陸「!」
ガバッ
陸「うあぁぁぁぁ!!!!!」
ガラガラッ、、、バン!ダッダッダッダッ、、、。
陸「ウッあぁ、、、ハァハァ、、、ハァ、、、、、、。」
秋の朝は冷え込んでいて、口から出る息が白く色づいた、、、何故?
気づけば、布団から飛び出し家の外に出てきた。目の前は普通の民家が広がっており、まだ外は暗かった。
数十秒してから気づいた、ここは地獄の戦場では無い。
村人「、、、おーい陸。うるせぇぞぉ。」
陸「え?、、、あっすみません。」
前の家の人が2階の窓から身を乗り出しこっちに向かって怒っていた。陸はその方向にお辞儀をし、開けっぱなしの戸の中に入りガラガラと閉めた。
ここ最近そうだ。戦争は終わり、戦場では無い安全区域に住んでいる。今更敵の砲撃なんか気にしなくていいのに何故か、、、
陸「、、、、、、怖いよ。」
陸は玄関に座り込み自分の裾をギュッと握りしめた。
脅威はいない。だけどあの地獄の日々がフラッシュバックして恐怖を蘇らせる。
消えない、まとわりつく、
『人を殺した感覚。』
陸「ウッ⁉︎、、、」
吐き気がし急いで台所に飛び込む。晩飯が全部出てきた。最悪だ、、、。
陸「ハァ、、、ハァ、、、ッ助けて、、、。」
嘔吐物をそのまま流し、フラフラのまま階段を上がった。部屋に辿り着くまで数十分に感じながら布団に潜り目を閉じる。何も考えないで。考えたく無いから。陸にはもう縋る者がいない孤高な存在になっていることを。
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〜翌朝〜
カーテンから漏れ出す光で目が覚めた。雲一つない快晴とゆうのに朝から気分が良くないな。独り分の布団を畳み押し入れにしまった。押し入れの中はゆういつ何も損傷を受けなかった海と空の軍服があった。それが海と空がいたとゆう一つだけの証明。
押し入れの襖を閉じた。壁にかかっているワイシャツと羽織を取り出し寝巻きを脱ぐ。ワイシャツの袖に手を通しボタンを一つずつ止めてゆく。その上から羽織を羽織った。
陸「、、、ご飯。」
自分の部屋から出て一つの足音が階段を降りた。台所へ行き前掛けの紐を背中で結んだ。腕をまくり米が炊けていた釜に手を伸ばす。木の蓋を開ければ白い湯気が濛々と立ち込めてきた。白米を盛り、昨日余った鮭をお皿に盛って机に置いた。米一合、鮭一切れ。戦後では裕福な方だ。
作法
一、食卓の前で手を合わし「頂きます」
二、次に箸を両手に持ち右手で掴む
三、そして味が薄いものから、、、
陸「、、、そういえば汁物を作っていなかったな、、、まぁいいか。」
ご飯の椀を持ち、箸で口の中に駆け込んだ。すぐに鮭も一切れ全部、口の中へ放り込んだ。まだ戦争の頃の軍事生活が体に染みている。もうゆっくり食べたって上官に怒られないのに。
陸「、、、味がしない、、、。」
南方最前線でのミミズやアリを喰うような飢えと戦う食生活よりかは断然、幸せなはずなんだけどな。
孤食な朝食は秒で済まし皿を洗った。
洗濯は陸、独り分なのでそんなに時間はかからず、物干し竿にかかっている濡れた服が風で揺れているのを縁側で眺めていた。
今日は爆弾の処理もなく久々の休日となっている。
だが戦争の時はずっと仕事で、更にみんなして「月月火水木金金!」って歌っていた。今更休日を謳歌するなんて事できない体になってしまっていた。
いてもいられなくなった陸は苗が入った籠とジョウロを持ち、とある市外地へ出かけた。
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辿りついた場所は土色が広がっており、緑色など見つけるのに苦労する程何もない痩せた土地だった。
だけどここは陸にとってとても大切な場所だ。家族三人とよくここの“森で“遊んだりしていつも共に過ごした懐かしい場所。
だが先ほどの通り木々など一本も生えていない、そんな場所にまたあの美しい森を復興しに陸は来たのだ。更にここは政府直々に緑を増やして欲しいとゆうお墨付きを貰って。
木はそう簡単に直ぐに大きくならない、しかし裏を返せば、この時代があったからこそ、この木が生きているとゆう事を後世に伝えられば___
陸「、、、でもいつかは変わるんだろうな。俺も皆もいつかは、、、歴史の一部とかして忘れさられてゆくだろう、、、。」
土で汚れた手が優しく苗を持ち思い出の場所へと次々と植えた。ジョウロいっぱいに水を汲み、優しく根元にかけた。
未来を描く物語が愛に満ちると願うばかりの生活。
生き延びた俺が遺す物は平和が続く世の中を少しだけ後押しするだけ。
それが終わったら俺は、、、もういなくなっていい。
皇國の為死ねず、
祖國の未来の為に生きれない、
死んでいい。
ふと、、、天を見上げると日は真上に来ており正午を過ぎていた。
籠とジョウロを持ち、家に帰った。
帰ってもすることはなく、復興中の都会へと出てみることにした。ほんの出来心だ。
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第十四話『生きれない』 完
戦後も続く地獄は残った兵士を蝕んでいる。そんな可哀想な者に救世主はいるのだろうか?
それではまた、戦場で。
コメント
2件
陸はおそらくPTSDになってるのか?戦争が生活の一部となっていたから急に生活の一部が取られたから心がぽっかり空いたのか、もしくは大事な人がたくさん死んだからなのか?