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誰も知らない、高嶺の花の裏側3
第124話 〚静かになった胸〛
― 澪視点 ―
放送が、
終わった。
スイッチを切る音。
いつもと、
同じ。
でも。
胸が、
違った。
放送室のドアを
開ける。
廊下の空気が、
流れ込む。
その瞬間。
――すうっと。
胸の奥が、
静かになる。
(……あ)
さっきまでの
重さが、ない。
耳鳴りも、
遠い。
頭痛も、
引いていく。
何も、
起きていない。
なのに。
“終わった”と
分かる。
海翔が、
隣にいる。
いつもと同じ距離。
何も言わない。
でも。
視線の先に、
人影があった。
廊下の端。
陽翔くん。
スマホを見てる。
悠真くん。
本当に、
そこにいただけ。
瑠斗くん。
……ガラスに
一瞬だけ。
(……守ってたんだ)
はっきり、
そう思った。
私は、
何もされてない。
何も、
起きてない。
それなのに。
胸が、
軽い。
助かった感覚だけが、
残ってる。
言葉は、
出さない。
言ったら、
崩れそうだから。
私は、
小さく息を吐く。
そして、
歩き出す。
――今日は、
大丈夫。
理由は、
分からなくても。
そう思えた。