誰も知らない、高嶺の花の裏側3
第125話 〚戻った歩幅〛
― 海翔視点 ―
放送室を、
出た。
廊下。
特別なことは、
何もない。
でも。
澪の歩き方が、
違った。
一歩。
次の一歩。
間が、
揃ってる。
(……戻った)
少し前まで。
澪の歩幅は、
ばらついてた。
速くなったり。
急に、
遅くなったり。
今は。
一定。
呼吸も、
乱れてない。
俺は、
何も言わない。
聞かない。
触れない。
確認するだけ。
視線を、
前に向けたまま。
廊下の先。
陽翔。
一瞬だけ、
目が合う。
何も、
言わない。
でも。
「終わった」
そういう目だった。
(……助かったな)
理由は、
聞かない。
聞く必要も、
ない。
守るって、
そういう連携だ。
澪が、
普通に歩けてる。
それが、
答え。
階段の前で、
澪が止まる。
振り返らない。
でも、
立ち止まる癖。
(大丈夫)
心の中で、
そう言う。
俺は、
横に立つ。
距離は、
変えない。
でも。
同じ速さで、
歩く。
澪の歩幅が
戻った。
それだけで、
今日は十分だった。






