──着替え終わった美都が、部屋から出て来ると、
「「うわぁーかわいいー!」」
二人は揃って歓声を上げた。
「ほんとに? おかしくないかな?」
オレンジのグラデーションスカートに、パステル系のシャーベットグリーンのコートを纏った美都が、着慣れない服装に戸惑うように視線を泳がせる。
「春色コーデ、とってもステキ。美都は、スラリとしたスタイルだから、長めのフレアスカートに、ロング丈のコートも、すっごくよく似合ってるよね」
エミが微笑んで言い、アミと一緒に美都を姿見の前に連れて行くと、
「「ほら、すっごくかわいー」」
二人は、もう一度声を合わせた。
「あ……ありがとう」
美都が嬉しさに、思わず涙を滲ませる。
「ほらほら泣かないの、せっかくのメイクが崩れちゃうでしょ」
アミに言われて、「うん、ありがとう」と、美都がにっこりと顔をほころばせた。
「それでね……最後に一つ、お願いしてもいい? ……矢代チーフの反応を、ちょっとだけ見てみたいんだけど。絶対にデートの邪魔はしないし、コソッと見たら、私たちはすぐに帰るから」
エミがおずおずと申し出た。
「ああ、うん、ちょっぴり恥ずかしいけど、少しなら……。だって二人には、こんなに可愛くしてもらったんだもの」
美都が、はにかんで答えた。
「「ありがとー」」
快い返事に、アミとエミが両手を繋ぎ合い、小さく飛び跳ねて喜んだ。
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