テラーノベル
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僕は、なぜ釣りをするのかふと考えた。よくわからなくなった。
「あ、」
かかった。
「アマゴ、、、おっきい」
結局はこの、釣れた時の喜びを求めているのだろうと、簡単に思考を片付けた。
いつもの釣り場、いつもの場所。
家の前の川、対岸に桜が咲いている。
中学2年も、後半にかかる。
9月下旬も、私は変わらずに釣りをする。
「行ってきます」
「いつも同じところよね」
「うん」
「気をつけてね、行ってらっしゃい」
靴の踵を直す。クーラーボックスを握り直して、ドアを出た。
秋色のアマゴの魚影が見える。嗅ぎ慣れた水臭さ。
釣り糸の先にシンキングミノーを結びつけ、リールのベールアームを起こし、後方を確認する。
「多摩、、、、」
多摩ナンバーの車とバイクが視界に入った。それがなんだというところだが、妙に気になった。
「まぁいっか」
軽く竿を後ろに下げてキャスティングをする。
ハンドルをゆっくり巻いていく。
「すみませーん!」
女性が二人、うち1人、こっちに向かって声を張っていた。
僕なのだろうか、周囲に人はいない。僕であった。
急いでリールを巻いて、竿を置く。
ガードレール側の女性2人に向かって私は歩み寄った。
「すみません、釣りの最中」
何かちょっと不安になった。
「ここって釣り禁止でしたっけ?!」
きょどきょどしながらそう言う。
「すみませんね、困惑させて。そういうんじゃないんです」
『ここら辺の美味しいお店ってありますか?私達ちょっと、遠くから来てて』
「この時期に伊豆ですか?シーズン終わりじゃないですか、、、?」
んぁ、失言。
『日本一周してて』
声を張っていた方の女性がそういった。
「ほぅ、、、」
「すみませんほんと、色々」
なるほど、じゃぁ、、
「じゃぁうちで食べて行きますか?うち飲食店なんで」
旅人。
自由な彼女達を少し羨ましく思ったのは、気の迷いだろうか。
家に着くと、旅人二人に相変わらず距離が近い母の声があった。
厨房の裏で手伝いの準備をすると、旅人さん二人の声が被って聞こえた。カレーを食べるようだ。
「二人ともカレーね」
『あ、あとアイスコーヒーも』
「じゃぁ私も」
「はーい」
厨房に戻った母は私に
「友樹、これ持ってって」
っとアイスティの乗ったお盆を手渡して、厨房に入って行った。
「はい。」
エプロンをぎこちなく着ながら友樹が奥の扉から出た。
「お待たせしたました。」
『友樹くん?は、いつもあそこで釣りしてるの?』
「ちょ、雪、、」
「はい、楽しいので」
嘘はない。なぜか表情筋は少し凝っていた。
「ご馳走様です」
『ありがとうございました』
旅人さん二人がドアを出たのを見送る。
耀聖(ようせい)
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#言葉
榎葉
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「あのこれ!」
私と母で外に出ると、母が二人を呼び止めた。
「あのこれ、、長持ちしますし、使えると思います。」
硬いフランスパンをスライスしたものである。
「あ、えいいんですか、、こんな」
『もらいなよ』
「、、、いただきます」
オーラから落ち着いてる方の旅人が袋を受け取った。
「頑張ってください」
私はなぜか、思考の前にそう口が動いた。
「ありがとう」
落ち着いてる方が車に乗り、もう一人は原付に跨る。
車が先導して、駐車場を抜ける。
僕たちは見えなくなるまでお辞儀した。
「いい人たちね」
「ね」
コメント
1件
えっ、めっちゃ良かった!!😭💕 川辺の釣りがこんなに青春っぽくなるなんて思わんかった!! 「日本一周してて」って言われた時の友樹くんの戸惑いと、それでも「うちで食べてく?」って言える優しさにキュンとしたよ…♡ 最後の見送りシーン、なんか切なくてじーんときた。 まだ1話だけど、この先も絶対気になる!続き待ってるね!✨