テラーノベル
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その時ベビーモニターから晴馬の鳴き声が響いた、二人で二階の寝室に向かった、その頃には私は真希ちゃんに人生で最大の秘密を打ち明けたからか、少し感情が落ち着いて冷静になれた
やっぱり真希ちゃんの言う通り、暫くは晴馬がある程度大きくなるまでは様子を見よう、
おぎゃ~~~おぎゃ~~~!
「かわいい!」
真希ちゃんは晴馬を見て瞳を輝かせた
「かして、おっぱいをあげるわ」
私は真希ちゃんが見ている前で晴馬におっぱいをあげた
「うわ~~~!飲んでる、飲んでる!」
「夜中の授乳はさすがに眠いから最近はミルクを上げてるの」
「哺乳瓶どれ?」
「これよ」
私は消毒したばかりの新生児用の哺乳瓶と缶ミルクを真紀ちゃんに見せた
その時ゴクゴク母乳を飲んだ晴馬がおなかいっぱいになってスポンッと乳首を離した
「うわっ!」
「キャッ!母乳が溢れちゃった!」
勢いよくビューッと飛び出す母乳で、私のシャツもマタニティブラジャーもびしょびしょになってしまった
「あ~あ・・・びしょびしょ・・・」
「あたしが晴馬君見ていてあげるから晴美ちゃんはシャワーを浴びてきたら?」
真希ちゃんがタオルを渡してくれて言う、真希ちゃんは本当に優しい
「そうね・・・お言葉に甘えてそうしようかしら・・・顔も洗いたいし」
そう私は言ってシャワーを浴びている間、晴馬の子守りを真紀ちゃんに預けた
・:.。.・:.。.
真紀はじっと晴馬を見つめていた、その目を覗き込む、晴馬はおなかいっぱいになってキラキラした瞳で、チュパチュパ親指を舐めながら真希を見つめていた
「かわいそうに・・・あなたはW不倫で出来た子ですって・・・この家にあなたはいらないのよ」
真紀はベビーベッドから晴馬を抱き上げた
「さぁ・・・あたしと一緒に行きましょう、ここよりももっと良い場所があるわ」
・:.。.
・:.。.
シャワーの熱い湯気がバスルームに立ち込め、私は泣きはらした顔と母乳で汚れた体を洗い流した
ふぅ~・・・「あ~、さっぱりした! 真希ちゃん、晴馬を見ててくれてありがとう!」
軽やかな声で呼びかけるが返事はない、私はタオルで髪を拭きながら寝室に向かった
そこには、生後2か月の晴馬が昼寝をしているはずで、真希がそばで見守っているはずだった
寝室のドアを開けると静寂が彼女を迎えた、ベビーベッドには乱れたシーツが残り、晴馬の小さなぬいぐるみが床に転がっている、だが、晴馬も真希もいない
「・・・え?」
私の心臓が小さく跳ねる
「真希ちゃん? 晴馬?」
声が部屋に響くが応える者はいない、私の視線は部屋の隅々を彷徨う、窓がわずかに開き、カーテンが風に揺れている、午後の陽光が床にまだらな影を落とし、部屋に不気味な静けさが漂う
「・・・リビングかな?」
私は自分を落ち着かせるように呟き、急いで階段を降りた、リビングもまた、がらんとしていた、ソファのクッションが少しずれており、まるで誰かが急いで立ち去ったかのように
「そんなはずない・・・」
胸騒ぎが抑えきれず、私は再び寝室へ駆け戻る
寝室に戻るとさっき気づかなかった異変が目に入った、
風が再びカーテンを揺らし、開いた窓から聞こえるのは、遠くで聞こえる小鳥のさえずりだけ
「晴馬・・・!?真希ちゃん?どこ!?」
私の叫び声が空っぽの家にこだまする
陽光が差し込む部屋は、まるで時間が止まったかのように静かだった。そして私は晴馬のベビーベッドへ目を向けた
そこに真紀ちゃんに見せてと言われた哺乳瓶と粉ミルクの缶がそっくりなくなっていた
私は叫んだ!
「真希ちゃん!晴馬をどこに連れて行ったの?その子を返してっっ!!」
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